夜遅くまで勉強したら、子どもの成績は上がる?それとも…【ビッグデータが導く「伸びる」法則】

効果的な学習方法は、自分で模索するもの。そんな思い込みから、実は遠回りしていませんか?
タブレット教材を展開する RISU Japan 代表で『10億件の学習データが教える 理系が得意な子の育て方』の著者である今木智隆さんは、ビッグデータをひもとくことで見えてくる「効果的な学習」の法則があると語ります。
今回は学習時間の長短や夜型朝型について、解説していただきました。

皆さんのお子さんは夜になると、ようやく勉強を始める、なんてことはないでしょうか。

お子さんの日常には「友達と遊びたい」「好きなTVを観たい」といった誘惑がいっぱいで、ついつい勉強は後回しにして夜遅くからやり始めるなんてことも多いですよね。

塾から帰ってきて、その日に学んだことを忘れない間に復習したいという真面目なお子さんも、夜に長時間勉強するということになりがちです。

親御さんとしては、そんなお子さんを褒めてあげたくなることでしょう。

でも、ちょっと待ってください。良かれと思ってしているその行動が、もしかしたらお子さんの成績を下げてしまっているかもしれません。

タブレット教材「RISU算数」を提供している「RISU算数」を利用したユーザーの、10億件を越える学習データからは、夜遅い時間の勉強は効率が悪く、続かないという残念な結果が出ています。

夜型は朝型に比べて学習スピードが3割も落ちる

午前10時までを朝型、18時以降を夜型、20時以降を夜更かし型とし、「RISU算数」ユーザーのデータを分析した結果、朝方を100%とした時に、夜型は学習スピードが73%、さらには、一番重要な勉強の継続力も48%に落ちてしまうことがわかりました。

どうしてこのような結果となってしまっているのか、具体的な理由について考えてみましょう。

夜型の勉強が効率的ではない3つの理由

共働きの家庭が増え、子どもも習い事や塾にと忙しい。でも、貴重な時間である幼少期に自分の好きなことに思いっきり打ち込むということも、人生にとっては大きな財産となります。

となると、忙しい現代の子どもたちは、自分の好きなことに打ち込むためには、勉強を効率よくこなさなければなりません。

日中は好きなことに打ち込み、挽回するために夜遅くまで勉強をしている子どもの姿を見ると、親もうれしくなってしまい、ついつい「遅くまでお疲れ様、えらいね」と声をかけてしまったり、夜食を作って労をねぎらったりしてしまいがちです。

しかし、そういった行為がますます子ども達を夜型へと導いてしまいます。

私自身もそうでした。夜に勉強していると、日頃はめったに食卓にはのぼらないチキンラーメンを出してくれるのが嬉しくて、遅くまで勉強していた記憶があります。

家族が寝静まった中で1人で勉強していると頑張っているような気になりますが、実は効率を考えた場合、夜型の勉強は以下の理由により、決して良い方法ではないということを知っておいていただきたいのです。

脳が休息できていない状態での勉強は非効率

脳は、勉強以外でも1日に起きたさまざまな情報を吸収するため、夜には疲労してしまっています。

そこに新しい情報を詰め込もうとしても思うようには入らないですし、問題の解き方を考えてもなかなか思いつきません。

脳が疲れていると感じたら、思いきって質の高い睡眠をしっかりと取ることに意識を切り替えたほうが良いです。リフレッシュできた脳は授業での集中力につながり、成績も向上していきます。

受験本番も、睡眠明けでリフレッシュした状態の午前中に行われることがほとんどです。

日頃から、コンディションを整えた状態の脳を最大限に発揮する訓練を積んでいるほうが、より実践的で効率的であると言えます。

睡眠による知識定着ができていない

夜に勉強することは「記憶することに適している」と考えられてきました。

起きている間に得た情報は、睡眠中に整理され、必要なものだけが記憶として定着します。そのため、記憶として定着させたい内容は、夜に勉強したほうが効率的だと思われがちです。

ただし間違えないでいただきたいのは、睡眠中に定着するのは一日の間に得た知識全てに対してであって、寝る直前に学んだことに限った事ではありません。

塾や学校で勉強してきた学習内容は、定着させるべき短期記憶として既に頭の中にありますので、夜の時点で復習したとしてもそれほど効果が期待できるわけではないのです。

復習にとって重要なのは、何が長期記憶として定着していないのか、何が理解できていないのかを確認することですので、学んだ直後である夜に行っても意味がないのです。

睡眠を経て、しっかりと知識として定着しているかどうかを朝勉強することで判定し、理解できていない箇所を選別したうえで学習を進めることで、効率良く進めていくことができます。

記憶を定着させるためには夜に勉強したほうが良いということではありませんので、間違えないようにしてください。

繰り返しによって知識は定着する

先ほどご紹介した「RISU算数」ユーザーの学習データを分析すると、「1回に一時間以上学習する、長時間型」と「短い時間で何度も学習する、短時間型」を比較したところ、短時間型の子の50時間での平均学習スピードは長時間型の1.1倍、という結果が出ています。

理由の一つとして、記憶は繰り返すことによって定着していくことがあげられます。

これは、ドイツの心理学者エビングハウスが行った実験(エビングハウスの忘却曲線)によって証明されていますが、人が新しいことを記憶した際、1時間後には約50%、1日後には約70%を忘れてしまい、1ヶ月後にはほとんど記憶に残っていないのです。

記憶を定着させるためには、「学習してから2日目に10分、7日目に5分、学習から30日目に2〜4分」の復習を行なう必要があります。

たとえば、週3回20分学習する子と、週1回60分学習する子がいた場合、1週間でのトータルの学習時間は同じであっても、前者が2〜3日に一度は学習をしているのに対して、後者は7日に一度しか学習しないこととなり、学習と学習の間が、160〜170時間も空いてしまいます。

これではいつまでたっても記憶が定着しません。

夜にまとめて行う学習方法よりは、毎朝少しの時間勉強することを続けたほうが、結果として効率よく学習が出来るというわけですね。

ここで注意してほしいのが、「1回の勉強が10分を切ると、学習効果が薄れてしまう」ということです。従って、1回の勉強時間は、20分は確保するようにしてください。

まとめ:朝型の学習習慣を身に付けよう

ただでさえ朝起きられないのに、朝に学習するなんてとても無理だと感じられるかもしれませんが、学習習慣は日々の積み重ねですので。ほんの少しの工夫で学習習慣を身に付けることができます。

・朝は思いっきり朝日を浴びることでメラトニンが分泌され、夜寝つきが良くなる

・夜寝る前にTVや携帯などの光を避けることで、脳が夜であることを認識し、寝つきがよくなる

・親も一緒に寝る前のルーティーンを決めることで、脳がリラックスして寝つきがよくなる

これらの習慣を取り入れることで、朝早く起きられるようになります。

夜一人で頑張っていることを褒めたり、夜食を作ってあげたりといった、夜型の勉強を推奨するような行為をさけて、朝型の勉強へと導いてあげましょう。

例えば、朝起きて勉強をした後、学校に行くまでの時間までであれば自由にしてもよいというルールにしてしまえば、モチベーションアップにつながるでしょう。

夜勉強することをやめさせるのではなく、朝早く起きる習慣を身に付けることから取り組んでいただけると良いかもしれません。

記事執筆

今木智隆|RISU Japan株式会社代表取締役
京都大学大学院エネルギー科学研究科修了後、ユーザー行動調査・デジタルマーケティング専門特化型コンサルティングファームの株式会社beBitに入社。金融、消費財、小売流通領域クライアント等にコンサルティングサービスを提供し、2012年より同社国内コンサルティングサービス統括責任者に就任。2014年、RISU Japan株式会社を設立。タブレットを利用した小学生の算数の学習教材で、延べ10億件のデータを収集し、より学習効果の高いカリキュラムや指導法を考案。国内はもちろん、シリコンバレーのハイレベルなアフタースクール等からも算数やAIの基礎を学びたいとオファーが殺到している。

〈タブレット教材「RISU算数」とは〉

「RISU算数」は1人ひとりの学習データを分析し、最適な問題を出題するタブレット教材。タイミングの良い復習や、つまずいた際には動画での解説の配信を行うことにより、苦手を克服し得意を伸ばします。

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構成/HugKum編集部

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