2020年の教育改革により小学校教育に「プログラミング教育」が導入、英語教育もスタートし、教育が大きく変化します。目下夏休みの子どもたちのスケジュールをどうしよう…など、この時期、親御さんの心配事はつきません。
そして、今夏の子ども向けワークショップイベントで、あちこちで飛び交う「STEM教育」というキーワード。今注目されている「STEM教育」ってなあに?ということを、日本で唯一のサイエンス・インターナショナルスクールの校長先生に取材しました。
目次
21世紀に求められる力、「STEM教育」とは?
「『STEM』とは、「Science サイエンス」「Technology テクノロジー」「Engineer エンジニア」「Math マス(数学)」の頭文字からとった名称で、それぞれの分野を統合した学びのことをさします。」と話してくれたのは、日本で唯一のサイエンス・インターナショナルスクールとして2003年設立のローラスインターナショナルスクール日置校長先生。それでは、STEM教育についてより詳しくみていきましょう。
Q.いつ「STEM教育」って登場したのでしょう?
「10数年前に、アメリカで発祥しています。当時オバマ大統領が、国策としてSTEMを取り入れたことが大きなきっかけとなって、全世界へ広まったもの。アメリカで、STEMの大学卒業生を増やしたり、STEMに対応した先生を増やしたりといった施策がとられました。比較的、新しい概念なんですよ。」
Q.21世紀に求められる力って、ほんと?
「『STEM』の概念が生まれた背景というのが、「AI」や「ビッグデータ」にけん引された第4次産業革命にあたります。またグローバライゼーションが進み、世界規模で環境問題やテロ、食糧危機など様々な課題があふれています」
「このような状況を背景にして、20年後どうなの?どうやって子供たちを幸せにできるの?どうやって生き抜くの?ということを考える中で生まれ、必要な資質やスキルを培うことができるのが「STEM教育」です。言い換えると、まさに、これから求められる力なんです。」
Q.世界中で注目されているのでしょうか?
「そうですね。イギリスは早くから取り組んでいますし、エストニアやイスラエルも、子供たちに早くからプログラミング教育を提供しています。フィンランドやシンガポールも、STEM教育に強いと言えるでしょう」
「国際学力調査(PISA)という指標があるのですが、ここで比較的高い数値を出している国はまず、STEM教育が盛んです。日本でも、2020年からいよいよ注目していくことになりそうです」
「S」「T」「E」「M」それぞれの詳しい意味は
「Science サイエンス」「Technology テクノロジー」「Engineer エンジニア」「Math マス(数学)」の頭文字から成る「STEM教育」。具体的には、どんな教育なんでしょう。日置校長先生に、教えていただきました。
Q.具体的に、どんな教育ですか?
「よく、頭文字をとっただけの説明がされるのですが、実はそれだけじゃないんです。それぞれの分野を統合した学びのことをさしています。端的にいうと、STEM教育は『問題を解決するための、プロセスの学び』です。」
「『問題を提起』し、『解決策』を考えて『計画』を立て、実際に『作り』『アクション(テスト)』をする。そして、最後に『シェア(共有・発表)』をする、というプロセス全体にあたります(STEM教育の概念参照)。Process of Engeneering と呼ばれますが、このプロセスを繰り返すことで、クリティカルシンキング・情報分析力・問題解決力・コラボレーション・コミュニケーションなどの、いわゆる21世紀スキルが身につきます。それも、VRやドローン、3Dなど、”最新技術を使いながら”という特徴もあります」
Q.低学年から、学べるもの?
「はい。例えば、小学1年生には『どうやったら、地震に強い建物を建てられますか?』なんて問題を与えます。どうやって建てます 笑?こういった課題を、みんなでブレーンストーミングをし、CADなどの最新ツールを使って子供たち自らが考えて取り組むんです。失敗することは前提です」
「みんな答えが違うわけですから、先生も決して見本は作りません。失敗を恐れない、人前で発表する…など、さまざまなスキルが身につくと期待されています」
人気の“STEM先生” アンディーのクラスを体験!
ローラスインターナショナルスクールで、STEM教育のカリキュラムを作ったり、ICT全般を担当しているという「STEM先生」ことANDY(アンディー)先生。人気の「3D Printing and Design」クラスを、小学3年生のまいさんが体験してきました。
お題は、「1円玉が入る立体キューブを作ること」
英語の授業に緊張しっぱなしでしたが、数字だけは聞き取って、なんとか理解している様子。一円玉の大きさを定規で測って、メモを繰り返します。
人生初めての、キャド(Tinkercad)を使って、立体キューブ作り。パソコンもCADも初心者でも、先生の見よう見まねで難なく挑戦しています。
失敗も言葉の壁も恐れずに、1円玉の大きさを測るところから、立体的なキューブを作るところまで…、頭と最新技術をフル回転。
わずかな時間でしたが、1円玉の入る立体キューブができました!サイズの図り方やCADの使い方、立体的なモノの捉え方など、ちょっとしたことでもたくさんの気づきと学びがあったようです。
『英語がわからなくて、何と言っているのかわからなかったのが一番難しかったです。だけど、先生が優しくて、1円玉を測るのは楽しかったです。CADは初めてだったけど、真似をしながらなんとか完成させることができて良かったです』(まいさん)
STEM教育を身近で体験するには?
「STEM教育」というと、大きな教育機関や準備が必要に思われがちですが、最近では、簡単に体験することができるそうです。日置校長先生オススメのサービスやキットをご紹介します。
レゴ®️プログラミング WeDo 2.0
木製プログラミングロボット キュベット
Strawbees
他にも、ローラスインターナショナルスクールでは、STEMサマースクールを開催予定。この夏、いろいろとチャレンジしてみたくなりますね。
家族の問題を解決するための「家族会議」だってSTEMに
「問題の解決をするためのプロセスですから、例えば、どうしたら部屋をきれいに保てるかなど、ご家庭の問題でも家族全員でSTEMのプロセスにに沿って問題を解決しようとすれば、「家族会議」だって大切なSTEM教育になります。ご家庭でも、身近なところからアプローチしてみてください。」
ローラスインターナショナルスクール
〒108-0071
東京都港区白金台2-26-10
2003年11月21日
2001年10月1日(創立)
https://laurus-school.com/ja/