「百ます計算」などの「隂山メソッド」が多くの学校・家庭で成果をあげている隂山英男先生が、子どもの学力を家で伸ばす方法について教えてくださるコーナーです。
2学期から始まった漢字の学習。そろそろお子さんも、漢字に慣れてきたころでしょう。一年生では80字の漢字を習いますが、冬休み前までに習うのはちょうど半分くらいです。このタイミングでおすすめしたいのが冬休みにかけての「まだ習っていない漢字を含めた80字の練習」です。
冬休みに実践したいおすすめカンタン漢字練習法
親も一緒に「はね・はらい・とめ」を再確認して
練習方法は単純。特別な道具も不要です。「毎日15分を目安に、10種類の漢字を5回ずつ書く」だけ。用意するのは鉛筆・消しゴム・国語の教科書・ます目のある縦書きノート、そして学習時間を計るためのストップウオッチやタイマーです。
最初に今日練習する漢字を親が書き出して、書き順や「はね・はらい・とめ」を示します。その後、子どもが親を真似て5回書く、という流れです。書き順や「はね・はらい・とめ」をまちがっていたり、ていねいに書けていないときはすぐに指摘し、書き直しをさせます。このように、子どもに勉強させるというのではなく、親子で一緒に練習するという感覚を大切にしてください。正しく上手に書けたら「すごい! 書き順も、字の形もばっちりだよ!」と驚き、ほめてあげることで、子どものやる気を引き出しましょう。
ストップウォッチを使って、日に日に練習時間を短くしながら密度を上げる
さあ10文字を書き終えました。このときタイマーを見て、かかった時間を確認しましょう。時間を計るのは急がせるためでなく、練習の密度を上げるためです。学習を「てきぱきこなすことが楽しい」と実感させることで、ぐずぐず・だらだら勉強しないという姿勢が育まれます。
もし15分以内で終わっていれば「すごい、あと○分も残っているよ!」とほめて、練習はおしまい。決して「もっと練習しようか」などと言ってはいけません(勉強をがんばったら、もっと勉強させられる…なんて子どもが思ったら台無しです)。20分程度で終えられたら「よくできたね。明日は15分で終わるようにがんばろうね」と励ましてあげましょう。それ以上かかるようなら、練習する漢字の数を減らし、負担にならないようにしてください。
こうすれば8日~2週間程度でひと通りの漢字を復習・予習することができます。この80字の練習を3~4サイクルくり返せば、かなりの漢字力が身につきます。2サイクル目以降は子どもが要領をわかっていますから、一人でもてきぱきと練習できるでしょう。
冬は漢字! を合言葉に、毎日15分の漢字練習にぜひ挑戦してみてください。
記事監修
1958年兵庫県生まれ。1980年、岡山大学法学部卒業後、教職の道へ。百ます計算をはじめ、「読み書き計算」の徹底した反復学習と生活習慣の改善に取り組み、子ども達の学力を驚異的に向上させた。その指導法である「陰山メソッド」は、教育者、保護者から注目を集め、「陰山メソッド」を教材かした『徹底反復シリーズ』は、総計770万部の大ベストセラーとなっている。現在、YouTube『陰山英男公式チャンネル』で授業や講演を公開して注目を集めている。
編集協力/小倉宏一(ブックマーク) 撮影/奥田珠貴 出典/『小学一年生』