第四次産業革命とは?
第四次産業革命の基礎知識を解説します。言葉の定義を知って、ニュースや特集記事を理解するための下地を整えましょう。併せて、これまで起こった産業革命の概要も解説します。
IoTやAIを用いた技術革新を指す
第四次産業革命とは、「IoT・AI・ビッグデータなどを用いた技術革新」を指す言葉です。
■IoTとは「Internet of Things(=モノのインターネット)」を略した言葉です。今までインターネットにつながっていなかったモノをインターネットに接続し、データを収集したり遠隔操作を行ったりする技術を指します。
■AIとは「Artificial Intelligence(=人工知能)」の略であり、人間の知的行動を模倣・補完する技術全般を指します。
■ビッグデータとは膨大なデータ群を指す言葉です。ビッグデータはその膨大さゆえに、人間の力だけでは全体像を把握するのが困難だといわれています。
第四次産業革命により、ビジネスシーンでは業務の自動化がさらに進化しました。個人に合わせてきめ細やかにカスタマイズされたサービスの提供が可能になったのも、第四次産業革命の影響といわれています。
これまで起きた産業革命をおさらい
世界の歴史の中で最初に起こった産業革命が、18世紀後半から19世紀初頭に起こった「第一次産業革命」です。第一次産業革命では、蒸気機関の改良や紡績機の発明をきっかけに機械工業が発展し、社会構造に大きな変化を及ぼしました。
19世紀後半から20世紀初頭に起こったのが「第二次産業革命」です。第二次産業革命の時代は、効率的な大量生産が可能になったことで市場獲得競争が激化しました。革命の原動力となったのは、電気の普及や燃料を燃やしてエネルギーを生み出すエンジンの発明であるといわれています。
20世紀後半、特に1970年代から1990年代にかけて進行したのが「第三次産業革命」です。第三次産業革命では、コンピューターによる自動化をきっかけに単純作業の機械化が起こりました。また、インターネットの普及に端を発した情報のデジタル化の進展に伴い、情報のやり取りが簡単になったのもこの頃です。
第四次産業革命がもたらす影響

第四次産業革命は、日々何気なく暮らしている人々の生活にも深く関わっています。第四次産業革命がもたらす影響について解説します。生活がどのように変わったのかを知れば、より第四次産業革命を身近に感じられるようになるはずです。
IoTの普及により生活が便利になる
第四次産業革命がもたらした影響としてまず挙げられるのが、生活が便利になったことです。具体的には、IoTを活用した機器が広く使われるようになったことで、「こんなものがあったらいいな」が実現できるようになりました。
IoTの事例の1つが、スマホを使った遠隔地からのエアコン操作です。これまでは部屋に入ってリモコンを操作しないとエアコンをオンにできませんでしたが、帰宅途中の電車やバスの中から自宅のエアコンを操作できるようになりました。
また、「スマートタグ」と呼ばれる忘れ物防止タグもIoTを活用した機器の1つです。大切なものにスマートタグを付けておけば、遠隔地からそのものの置き場所が分かります。
家から出なくても経済活動ができる
自宅にいながらさまざまな経済活動が営めるようになったのも、第四次産業革命がもたらした影響の1つです。
例えばインターネットが個人にまで広く普及したことにより、自宅にいながら世界中の商品を買えるようになりました。わざわざ店舗に行かなくても、自宅から簡単に好きなものを購入できるようになったのです。
また昨今では、さまざまなオンラインサービスを自宅で受けられるようになりました。オンラインジム・オンラインヨガ・オンライン診療など、展開されるサービスの分野は多岐にわたります。
雇用の形が大きく変化する
第四次産業革命は人々の働き方にも影響を及ぼしています。
第四次産業革命の影響としてまず挙げられるのが格差の拡大です。AIに代替されかねない単純労働を行っている人が仕事を失う一方で、高度なスキルを持つ人材への需要は今まで以上に高まる可能性があります。
また、「勤務地」という概念が希薄になる可能性があるのも、第四次産業革命の影響の1つです。スキルを持つ人が独立することにより、流動的な働き方がより一般的なものになれば、オフィス以外の場所で働くスタイルが一般化すると考えられます。
第四次産業革命が生む課題

日本社会は、第四次産業革命の恩恵を100%享受できているとはいえません。第四次産業革命には課題も指摘されています。第四次産業革命がもたらす課題を2つ紹介します。
デジタル化の波に乗り切れていない
第四次産業革命が進行している現在でも、日本社会全体としてはデジタル化の遅れが課題とされています。デジタル化の波に乗り切れていない日本社会の現状は、生産性の低下のみならず、国際競争力の低迷をも引き起こしています。
日本のデジタル化が遅れている理由としてまず挙げられるのが、デジタル技術に長けた人材の不足です。デジタル分野に精通したリーダーが不足しているため、日本のデジタル化はなかなか進まないといわれています。
その他にも、ビッグデータを上手にビジネスに生かせていないことや、経営者の間でデジタル化に対する理解が足りていないことなども、日本のデジタル化が進まない要因の1つです。
単純労働を行う労働者の仕事を奪う
AIの発展により、単純労働を行っている人の仕事が奪われる可能性も指摘されています。AIの台頭により将来的に自動化が進むと予測されている仕事の一例は、以下の通りです。
・データ入力
・レジ業務を担うスーパーやコンビニの店員
・電車やタクシーの運転手
・警備員
消滅する仕事がある一方で、第四次産業革命により新しい仕事が生まれる可能性も指摘されています。データサイエンティストやAIエンジニアなどが、第四次産業革命によって新たに登場した職業の一例です。
誰も取り残さずにAIが活躍する社会を築いていくには、消滅しつつある職業に従事していた人々が新たな技術を習得し、新たな職場で能力を発揮できるよう支援することが重要です。
第四次産業革命は生活を大きく変える
第四次産業革命は、IoTやAIなどを活用した技術革新を指す言葉です。第四次産業革命は、これらの産業に直接関わる人だけでなく、何気なく毎日を過ごしている人の生活をも変える力を持っています。新しい技術を積極的に取り入れ、第四次産業革命の波に乗り遅れないようにしましょう。
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構成・文/HugKum編集部