
5歳の息子にYouTubeを見せていると静かなので、家事をやっているときは見せてきました。ところがやめられなくて「今はダメ」と言うと泣き叫びます。他のおもちゃで遊びません。静かでありがたかったのですが、今はYouTubeから離れられないことに危機感を持っています。どうしたらいいでしょうか。
いきなり取り上げるのではなく、子どもと折り合えるタイミングを話し合って
先日、地方の蕎麦屋さんに行きました。数量限定のざるそばだけの知る人ぞ知る店です。前の日食べ損ねて、再度翌日早めに行き席に着くことができました。
斜め前に子ども二人を連れた家族連れが座っていました。小学1年生くらいと3年生くらいでしょうか。食欲は旺盛で箸で上手に蕎麦を食べています。が、その子の前にスマホが立てられていて、目はスマホにくぎ付け。「食べるときは見ない!」と、私はひっくり返したい衝動に駆られました。その日も食べられずに帰っていく人がいるというのに…。
今やスマホやゲームは、親が子どもを静かにさせておくための、何よりの道具になりました。
親の都合はスマホにまんまとはめられ、今度はどうしたらやめられるかに苦戦しています。昔から「うまい話には裏がある」ということわざがあります。
子どもがなんで夢中になるのかを考えてみたこと、ありますか
ちょっと意地悪な角度から話を始めてしまいましたが、自分に先を見通しての判断ができていなかったことを反省してもらいたいと思うのです。それを見せておくと静かになるというのは、子どもがひきつけられる要素が強いということですから、まず自分が見ることから始めたらいかがでしょう。
ゲームやってみませんか? YouTubeを見てみませんか? もしくは、あなたが夢中になっているときに声をかけられても気持ちを変えられないときのことを想像しましょう。そのくらいひきつけられるのですから、偉大なスマホとも言えます。
きっと、体験すると呼んでも気がつかない、途中で止められない気持ちがわかるかもしれません。気持ちがわかったら、どうしたらやめてもらえるかが、見えてくるのではないでしょうか?
切りがつけられるタイミングは時間より、内容なのではないですか?
何を見ているか知らないで取り上げるのは、子どもに失礼。まず、話し合って
子どもの区切りと、親の都合の区切りのタイミングを折り合う決め方を考えられませんか?
「スマホをやめてくれないんです」と言う親御さんに「何を見ているんですか?」と聞くと、知らないことが多いです。親は単に自分の思うようにいかないということに不都合を感じている。それは子どもに失礼です。
話し合って折り合えるなら、それがいいでしょう。けど、折り合えないなら、「続きはまたあとで!」と、このタイミングという区切りで取り上げてしまえばいいです。
かつてのテレビの時代は親にも何を見ているのか、これはあと何分くらいで終わるかが見当がつきましたから、「おしまい!」と区切りをつけやすかったのです。しかし、スマホはのぞきにくいので、事前調査が必要です。
今やおとなたちもどこでもスマホを手にしています。依存症も多くなっているようです。子どもの依存症も同じ。さらに視力の低下、スマホ斜視という現象も起きているようです。もはや否定しては進めない時代ですが、早くから便利に使うことの代償は軽くない気がします。
家事をやっているとき、うるさくしちゃ困りますか? 多少散らかっても、ひとりで集中できる遊びはないですか? 自分の家事労働のタイムスケジュールをチェックしてみませんか? 料理や掃除の手伝いをしてもらうのもいいかもしれません。
立ち止まって考えてみてほしいと思います。あなたも子どもも、ほどほどに歩み寄れる、折り合いをつけられるやり方を見つけてください。
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監修

保育者。自主幼稚園「りんごの木」代表。子どもの気持ち、保護者の気持ちによりそう保育をつづけて半世紀。小学生ママ向けの講演も人気を博している。ロングセラー絵本『けんかのきもち』(ポプラ社)、『こどものみかた 春夏秋冬』(福音館書店)、『あなたが自分らしく生きれば、子どもは幸せに育ちます』(小学館)など、多数。親向けの最新刊に『保育歴50年!愛子さんの子育てお悩み相談室』(小学館)がある。
