日本語と韓国語は多くの共通点が!
日本語と韓国語は、見た目も音も全く違う言語のように思えますが、実は単語レベルで驚くほど多くの共通点を持っています。韓国語を学習する方にとっては、この共通語彙の存在は大きな助けとなります。その共通項の秘密と、日常で「あれ、同じだ!」と気づく単語たちを紹介します。
その昔、中国から伝わった漢字をそれぞれの発音で読んだから
日本語と韓国語の単語が似ている最大の理由は、両言語ともに漢字文化圏に属していることにあります。韓国語の語彙の約7割は漢字語で占められていると言われており、これは中国から伝わった漢字をそれぞれの言語の発音で読んでいる言葉です。

たとえば、「約束」という単語。日本語では「やくそく」ですが、韓国語では「약속(ヤㇰソㇰ)」となります。音は少し違いますが、日本語の漢字の音読みに非常に近いです。「家族」は「かぞく」に対して「가족(カジョㇰ)」、「時間」は「じかん」に対して「시간(シガン)」と、発音も意味も驚くほど似通っています。
さらに「準備」は「준비(ジュンビ)」、「意味」は「의미(ウィミ)」など、抽象的な概念や学術的な用語、そしてビジネスシーンで使われる言葉の多くが漢字語であるため、日本人にとっては類推しやすく、非常に覚えやすいのです。これらの単語は、日本語の漢字の音読みに非常に近いため、共通性が一目瞭然です。
このように、日本語の音読みに近い発音で、韓国語でも多くの漢字語が使われています。「教授」が「교수(キョス)」、「無料」が「무료(ムリョ)」なども典型的な例。音は少し異なりますが、元の漢字の音が共通しているため、意味の理解に困ることはありません。
近代以降も、西洋の言語をそれぞれの音で取り入れた
漢字語以外にも、日本語と韓国語は外来語の分野で多くの共通語彙を持っています。これは、近代以降に英語などの西洋の言葉を両国がほぼ同じ時期に受け入れ、それぞれの音韻体系に合わせて取り込んだためです。
たとえば、「バス」は韓国語で「버스(ボス)」、「コーヒー」は「커피(コピ)」、「サービス」は「서비스(ソビス)」といった具合です。微妙な発音の違いはありますが、元の単語が同じであるため、日本語を知っていればすぐに意味を理解できます。
これらは英語由来ですが、日本語を経由して伝わった言葉も少なくありません。特に興味深いのは、日本から韓国に伝わった「和製外来語」、つまり、日本で英語などを基に作られ、その後韓国でも使われるようになった言葉です。
「かばん」は韓国語で「가방(カバン)」と発音され、意味も同じです。「アルバイト」は「아르바이트(アルバイトゥ)」となり、短縮形は「알바(アルバ)」として広く使われます。
食べ物の「ラーメン」は「라면(ラミョン)」として、その人気は世界共通です。これらの単語は、もはやどちらの国が発祥というよりも、東アジアの共通語彙として定着していると言えるでしょう。日本語を学ぶ外国人が「かばん」や「アルバイト」を覚えるのと同じように、日本人にとってもこれらの単語はすぐに受け入れられます。
文法の構造も同じだから学びやすい

さらに、日本語と韓国語の類似性は単語だけに留まりません。基本的な文法構造が「主語+目的語+動詞(SOV型)」という点で同じであり、「〜は」「〜が」「〜を」といった助詞(てにをは)を使う点も共通しています。
この「文法が同じ」という土台に、前述のような「似ている単語」という要素が加わることで、日本人は韓国語を学習する際に、他の言語に比べて圧倒的なアドバンテージを得ることができます。単語の発音を少し韓国語寄りに変えるだけで、そのまま文に組み込めるケースが多いため、「日本語の文章に韓国語の単語を当てはめるだけ」で通じることも少なくありません。
日本語と韓国語の間に存在するこれらの共通語彙は、単なる言葉の類似に留まらず、歴史的な交流や文化的な近さを物語っています。この共通点を活かせば、韓国語学習は一層スムーズで楽しいものになるはずです。
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記事執筆/国際政治先生
国際政治学者として米中対立やグローバルサウスの研究に取り組む。大学で教壇に立つ一方、民間シンクタンクの外部有識者、学術雑誌の査読委員、中央省庁向けの助言や講演などを行う。
