アトピー性皮膚炎は、肌が荒れ・炎症と慢性的な痒みを伴う疾患です。表皮のはがれや掻きむしったあとなど肌の見た目からうつるのでは?と思われるパパやママいるのではないでしょうか。子供のアトピーは、うつるのでしょうか?また、アトピーによってうつりやすくなるその他の疾患はあるのでしょうか。
治療だけでなく、正しいスキンケアを指導など患者と家族に寄り添う病院として人気の、北浜こどもクリニック院長でカリスマ小児科医の北浜直先生に、子供のアトピーの誤解についてお話を伺ってきました。
アトピーは移る(うつる)のか?
アトピー性皮膚炎は、鼻炎や花粉症と同じようにアレルギーが原因となる疾患です。鼻炎や花粉症も人にうつらないですよね。アトピー性皮膚炎も人にうつることはありません。
アトピーの原因は遺伝
アトピーの原因の多くは遺伝によるものです。「アトピー素因」を持って生まれた方が、外からの刺激や環境によりアトピー性皮膚炎を発症します。しかし「アトピー素因」を持っているからと言って、必ず発症するわけではありません。
大人でも赤ちゃんでも、性行為やキス、汗などでアトピーはうつらない!
アトピー性皮膚炎うつらないのは、大人でも赤ちゃんでも同じです。アレルギーが原因なので、性行為やキスはもちろん、アトピー性皮膚炎を発症している方との接触や汗でうつることはありません。
なぜ、アトピーはうつると勘違いされるのか?
アトピー性皮膚炎がうつることはありませんが、勘違いされる可能性のある他の疾患を紹介します。
とびひや水いぼも、うつらない
夏場の皮膚のトラブルの二大要因と言われるとびひや水いぼも、菌は付着することがあっても、肌の状態が良ければ発症しません。
アトピーによってうつりやすくなるその他疾患は?
カポジ水痘様発疹症やヘルペスのウイルス感染によって、アトピーが悪化してしまうことがあります。アトピーがベースにあると肌が刺激を受けやすくなってしまうので、ウイルスや細菌の感染症にはなりやすいです。
また、アトピー性皮膚炎を始まりとして、喘息や食物アレルギー、アレルギー性鼻炎などの病気を順番に誘発してしまうアレルギーマーチを起こしてしまう場合もあります。
アトピーはうつらない。誤解を解くためにできること
アトピーが移るとの偏見をなくすためには、正確な情報を知ってもらうことですね。病院や医師からの積極的な情報発信も大切ではないかと考えています。
アトピーの症状と治療法
先にお伝えした通り、アトピーの原因は両親からの「アトピー素因」の遺伝です。きちんとしたスキンケアと信頼のおける小児科医に診断を仰ぎましょう。
正確な知識と理解を
アトピー性皮膚炎は人にうつることはありません。間違った情報に振り回されず、正確な知識と理解が重要です。
記事監修
神奈川県川崎市・北浜こどもクリニック院長。
1976年生まれ、埼玉県出身。2002年聖マリアンナ医科大学卒業。2006年からは山王病院の新生児科医長務める。2010年に北浜こどもクリニックを開院。2012年医療法人社団ペルセウス設立。The Japan Times誌の「アジアのリーダー100人」に、2015年から3年連続選出されている
文・構成/HugKum編集部