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「ラジオ深夜便」の特別番組「ママ☆深夜便」がママたちに大反響!
NHKラジオの深夜放送「ラジオ深夜便」をご存じでしょうか?
放送の開始は1990年。音楽やトーク、朗読などで構成されたバラエティ番組が、日替わりで毎日、深夜11時から朝5時まで放送されています。タクシーの運転手さんはじめ、深夜も働いている「眠れない人たち」に支持されて約30年を迎えました。この老舗深夜番組が、赤ちゃんや小さな子どもと眠れぬ夜を過ごす日本全国のママ・パパたちと時間をシェアしたい、と2018年5月に特別番組「ママ☆深夜便」を企画したところ、大きな反響が!その後半年ごとに放送され、11月28日に、第四回が放送されます。
番組の進行役をつとめる村上里和さんに、番組がはじまったきっかけ、リスナーのママからの反響、そして、11月28日の放送の内容をお聞きしました。
中川李枝子さんの話におもわず涙…
高齢のリスナーが多いと言われてきた「ラジオ深夜便」から、なぜ、「ママ☆深夜便」が生まれたのか。
それは、2015年の「ラジオ深夜便」に出演いただいた、『ぐりとぐら』の作家・中川李枝子さんへのインタビューがきっかけでした。中川さんは私がずっと憧れていた方。17年間保育士として勤めた経験をお持ちで、子どもたちとの交流の中から生まれた数々の名作絵本はもちろん、お母さんたちに語りかけるエッセーも多く出されています。インタビューの最後に、子育てに奮闘するお母さんたちにむけてメッセージを語ってくださいました。「子どもはみんな問題児なの。でも、子どもたちは、どんなお母さんでも、自分のお母さんが一番大好きなのよ。だから自信をもって」。
深夜授乳中に聞いたという20代ママリスナーからの1通のハガキ
その、中川さんのインタビューが放送された後、20代の若いお母さんからお便りが届いたのです。「子どもが生まれて、2,3時間おきにおっぱいをあげるために夜中ずっと起きています。テレビをつけると、私も赤ちゃんもまぶしくて目が覚めてしまうので、ラジオを聴くようになりました。中川さんのインタビューが始まり、思わず聴き入りました。自分への励ましの言葉をもらったようで、最後はぼろぼろ涙が出てきました」。それまでは60代から90代のリスナーのお便りが中心でしたので、メール世代のママが、わざわざハガキを買って出してくれたお便りに感激すると同時に、はっとしました。
私自身が赤ちゃんと過ごした、疲れ果て世の中から取り残されたような“深夜の孤独な時間”を思い出したのです。深夜のラジオの向こう側にはそんなママたちもいるんだ!と。
「ママ☆深夜便」の種が私の中で生まれました。その後も、「産後良く眠れず、ラジオをつけるようになりました」「深夜便を知ったのは、産後入院していた病院の授乳室でした」「授乳で、夜中に起きて辛かったとき、深夜便を聞いて、真っ暗な中で明るい声に助けられました。」というママたちからの声が後押ししてくれました。
眠れないママたちと思いを共有できる6時間。リスナーの輪が広がる「ママ☆深夜便」
眠れない仲間の中に新米のお母さんたちもいるんだよ、ということを共有できる「場」になれたら。そんな思いから誕生したのが「ママ☆深夜便」ですが、決して、ママ・パパ限定の番組ではありません。
詩人の谷川俊太郎さんがおっしゃっています。「人は棒のように伸びていくのではない。年輪のように大きくなっていく。だから中心には子どもの自分がいる」と。子どもがいる人もいない人も、ひと時、“自分の中の子ども”を呼び起こしていただけたらと願っています。
討論して何か一つの答えをだすような番組でもありません。ママやパパたちのリアルな声を聞いて、シェアする。モヤモヤした気持ち、苦しい気持ちに、「わかる、わかる」「私もそうだった」「もう少ししたら楽になるよ」「こんな気分転換をしてみて」とラジオを聞いている人たちの声をつないでいきます。
なかなか人と繋がっているという実感がない今の社会。人の声でつづる「ラジオ」というメディアだから感じることができるほっとするあたたかさが発信できたらいいな、と思っています。
きっかけとなった中川李枝子さんには、その後、第二回となる2018年の11月の「ママ☆深夜便」で、宮崎駿さんと対談いただきました。
深夜の授乳がつらいママからのSOSに、助産師さんのアドバイスとリスナーからの応援メッセージ
番組には、全国からさまざまな声が届きます。その中には、ママからのSOSを感じるものもありました。
「子どもが9カ月になる今までずっと2時間おきに授乳で、まとめて眠れたことがありません。ストレスからかずっと下痢と腹痛が続いています。パパと交代でがんばっていますが、最近は夜泣きも出てきてどうしてもつらくなる時が。子どもに寝る薬を処方してもらってはダメでしょうか」という、ただ共感するだけでは解決できないような切羽詰まった声が届いたことがありました。
この時は、番組に応援メッセージをくださった、日頃から産後ママのケアをしていらっしゃる助産師の方に電話をつなぎました。「あなたの暮らす地域にも育児支援の窓口が必ずあるから、そこでまずは相談をしてみて。一人で悩まないで。」と助産師さんからの言葉。リスナーからも、そのママを応援するメッセージが寄せられました。
パパの育児参加を応援する50代男性からのメール
今の時代の若いパパたちが積極的に子育て家事をがんばる様子を聞いた50代の男性から心に残るメールも届きました。「育児より仕事!それが男の美学」という時代だったので、もう戻ってこない子育ての時期をすっかり逃してしまった。「仕事より育児!それが男の美学!」と堂々と言えるそんな職場、そんな時代になって欲しい。そして、そんな同僚を支えられる存在でありたいと思う」。
繋がっていく、思いが広がっていくなと感じた瞬間でした。
11月28日の放送は、ママたちに魅力的なゲストがいっぱい!
番組冒頭23時台~0時台の2時間は、スタジオにゲストをお招きして、メールをくださったママやパパと電話を繋いだり、リアルタイムで寄せられるメールやツイッターを紹介しながらお送りしていきます。
現在、11月28日の放送に向けて、皆さんからお便りを募集しています。放送中も、メールやツイッターで、皆さんの声を募集します。
https://www.nhk.or.jp/shinyabin-blog/200/414179.html
*投稿フォームからのメッセージ募集は終了しました
◆11時台は、「イヤイヤ期」をテーマに子育ての喜怒哀楽をリアル生トーク。HugKumでもおなじみの柴田愛子さん登場!
出演は、春風亭一之輔さん(落語家)×山崎ナオコーラさん(作家)×柴田愛子さん(保育者。「りんごの木」代表)
テーマは「イヤイヤ期」。イヤイヤ期で大変なこと、子育てで感じるいろんなモヤモヤ、不安なこと、ラジオで共有しませんか?
スタジオゲストの、春風亭一之輔さんや山崎ナオコーラさんに聞いてみたいこと、テレビ番組「すくすく子育て」にもご出演の柴田愛子さんに相談したいことなどもどうぞ。
◆1時台は、ゆったりと過ごす絵本の朗読コーナー<真夜中の絵本> 岡田義徳さん登場!
パパ俳優さんが、ご自身の子育てのエピソードやママ・パパたちへのメッセージを語ります。普段見られないパパとしての素顔を感じられ、イケボによる朗読は、全ての世代から好評のコーナーです。
今月の「ママ☆深夜便」では、岡田義徳さんが朗読してくださいます。
◆2時台3時台は音楽の時間。今回は、子育ての思い出の曲、子育て中のママ・パパたちに贈りたい曲のリクエストを募集
リクエスト曲と、番組に届いたメッセージをご紹介していきます。
過去の「ママ☆深夜便」では、23時台に「お嫁さんの陣痛が始まった!」というメールがあり、3時台に「無事に生まれました!女の子です」という続報が届いたこともありました。
◆4時台は、子育て中のママ・パパへの「ことばの贈りもの」。大竹しのぶさんスペシャルインタビュー!
今回は、女優の大竹しのぶさんのスペシャルインタビューです。第一線で仕事をしながら2人の子どもを育て、親の介護も経験された大竹さん。子育ての苦労と喜び、今だから話せるエピソード、子どもと向き合う中で得たものなどについて、じっくりと伺います。
11月28日の夜、お目覚めでしたら、「ママ☆深夜便」にぜひ、お付き合いくださいね。
スマホでラジオを聴くには、アプリ「らじる★らじる」をお使いください。また、放送後の1週間、「聞き逃しサービス」でお聞きいただくこともできます。
文/村上里和(むらかみ・さとわ)NHKラジオ「ママ☆深夜便」担当アンカー
イメージ写真/山本彩乃