毎日、子どもの世話だけで手いっぱい。家事もきちんとしたいのに、うまくできずにイライラ【井桁容子先生の子育て相談】

乳幼児教育保育実践研究家の井桁容子先生が、子育て中のママのお悩みに答えます。今回は「背負いこまない子育て」についてお話を伺いました。

毎日、子どもの世話だけで手いっぱい。家事もきちんとしたいのに、うまくできずにイライラしてしまいます。

子どもは「わかってくれるおかあさん」がいい

子育て中の女性は責任感から、子育ても家事も仕事も!とひとりで背負いこんでしまいがちです。

でも頑張り過ぎている人には、跳ね返されそうな近づきがたさがありますよね。「母親だから頑張らなければ!」と気負い過ぎていないか、深呼吸して自分を見つめてみてください。幼児期の子どもたちが本当に求めているのは、頑張っているおかあさんより、「今」の自分の思いを受け止めてくれる笑顔のおかあさん。不完全でも、自分と一緒に喜んだり迷ったり揺れたりしてくれることを望んでいるのです。

家事は子育ての合間の気分転換の感覚で

本当はくつろぎの場であるはずの自宅なのに、子育て中は何ひとつ手を抜けず、たくさんのことをひとりで抱えこみがちです。でも、「~ねばならない」ことに追われる日々は、息がつまってしまうものです。意識して、気分や発想の転換をしていけるといいですね。

これからの子育てでもっとも大切なのは、「子どもの心」の育ちです。幼いうちは、親が子どもの求めに応じるのを最優先にすることで心が豊かに育つと言われています。ただし実際には子どもとずっと一緒にいるとお互いに疲れてくることもありますよね(笑)。

気持ちにゆとりがなくなってきたな、と思ったら、少し子どもと離れる時間を作るのは悪いことではありません。気分転換をする時間をはさめば、またスッキリした気持ちで子どもと向き合うことができるからです。こうした気分転換のためにちょっとした家事をする……と考えてみてください。

気分転換のためにササッと片付けるわけですから、もちろん完璧にはできません。でも、子育て中の家事は手抜きで十分。子どもにとっては、ピカピカの部屋や手の込んだごはんより、親が自分の話を聞き、気持ちをわかってくれるほうがずっとうれしいのです。

子どもの心は、常に育ち続けています。汚れた食器や散らかった部屋はいくらでも待ってくれるけれど、子どもの心の成長はそうはいきません。だから何よりも優先してほしいのです。

「いつでも子どもの要求に応えていると、わがままになるのではないか」などと言う人がいますが、そんな心配は必要なし! 子どもは、「親はいつでも自分に注意を向けてくれる」と確信することができれば、「今は忙しそうだから、少し待ってみよう」などと考えられるようになります。まずは親が譲る姿を見せることで、「譲れる子」に育っていくのです。

家族の協力を得るためには工夫も必要

子育て中の生活は、健康で幸せな子どもを育てるプロジェクト。こう考えれば、夫婦で分業するのは当然ですね。

プロジェクトを成功させるポイントのひとつめが、してほしいことははっきり言うこと。「口に出さなくても察してほしい」では、伝わらないのです。「子どもをお風呂に入れるか、食器を洗うか、どっちにする?」のように、「選択方式」(笑)で示すのも効果的です。そして相手に任せたことについての苦情は控えめに。少し気に入らないことがあったとしても、「ありがとう」「さすが!」などの言葉を添えると、次への意欲につながります。

ふたつめが、子どものかわいさや一緒に過ごす楽しさを伝えること。「楽しそうだから、自分もやりたい!」と
思うようになれば、子育てへの関わり方も大きくかわってくるはずです。

 

記事監修

乳幼児教育保育実践研究家、非営利団体コドモノミカタ代表理事。
井桁容子先生

(乳幼児教育保育実践研究家、非営利団体コドモノミカタ代表理事。東京家政大学短期大学部保育科を卒業。東京家政大学ナースリールーム主任、東京家政大学・同短期大学部非常勤講師を42年務める。著書に「保育でつむぐ 子どもと親のいい関係」(小学館)など。)

 

2020年4月号『めばえ』 イラスト/原あいみ(京田クリエーション) 構成/野口久美

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