教材、歌や英語教室の選び方は?プロに聞く「幼児の英語教育」おすすめ方法

この先、ますます世界はグローバル化していくと言われています。もちろん、日本語を使って日本の中だけで生きていく選択肢もあると思いますが、英語を使いこなせれば、人生の選択肢は大きく増えていきますよね。「わが子には、英語で苦労させたくない」「英語を身につけさせて、わが子には就職などで有利になってもらいたい」と考える親御さんも少なくないと思います。その影響か、子どもが小さいころから英語を習わせる家庭が少なくない割合に達しています。幼児から英語を習っても、本当に効果はあるのでしょうか?

そこで富山市で英会話教室「英会話フレンズ」とアメリカンスタイルのプリスクール「フレンズプリスクール」(認可外保育施設)を運営するフォルカーソン・ 愛さんに、幼児英語に関するポイントを取材しました。

 

効果ってあるの? 幼児の英語教育でおすすめ方法は?

子どもに英会話、ならびに英語を習わせるとき、親として最も気になるポイントは、「効果があるのか?」ということ。教材を買うにせよ、英会話スクールに通わせるにせよ、英語のDVDを買うにせよ、「これって効果ある?」とつい考えてしまいますよね。

しかしフォルカーソン・愛さんは、幼児の英語教育において成果とか効果を求めすぎない方がいいのではないかと語ります。

英語教育に、成果や効果を求めすぎないで!

「成果を求めたくなる親御さんの気持ちもすごく分かります。ただ、日本語で考えると分かりやすいですが、私たちは自分たちの子育てにおいても、日本語を「教えて」いるわけではないと思います。たくさんの日本語に触れさせるだけで、子どもたちは日本語ができるようになっていきます。同じように幼児期は英語を教えるのではなく、英語に触れさせるというスタンスが大切で、成果や効果を求めすぎない姿勢も重要になってくると思います」

フォルカーソン・愛さんは、幼稚園教諭と保育士資格があり、長らく私立幼稚園などで勤務したキャリアもお持ちです。幼児教育の観点からも、「○○ができたからすごい」という条件付きの褒め方をすると、子どもに誤ったメッセージが伝わる恐れもあると言います。

プリスクール、英会話教室を運営する立場から、英語教育に熱心な親御さんにもたくさん出会うそうですが、「教室のレベルはどの程度でしょうか?」と入会時に気にする方が少なくないとか。レベルとはあくまでも成果や学習到達度を英会話スクールに求めているからこそ出てくる言葉。

大切なのは英語に「触れる」こと、「好きになる」こと

「週に1回1時間のレッスンでは、正直に言ってしゃべれるようにはなりません。言葉を覚え始めのころに身につけた英単語なども、その後の生活に必要性がなければ、忘れてしまいます。ただ、週1回の英会話教室でネイティブスピーカーの英語に触れる中で、英語を好きになって海外に目が向くようになってくれれば、成功だと私たちは考えます

確かに英語が好きになり、海外に目が向けば、自学自習が進み、留学への興味がわいて、結果として英語ができる人材への入り口になるということです。

 

幼児に対する英語教育に弊害はある?

フォルカーソン・愛さんの運営するプリスクールの生徒たち

小さいころから英語をやっても、日本語も英語も中途半端になる!?

一方で、子どものころから英語教育に熱心になる親について、否定的な意見を寄せる人もいます。小学校でも英語が授業となり、評価の対象科目になりましたが、「小さいころから英語ばかりやっても、日本語も英語も中途半端になる」などの意見もありますよね。

この点をフォルカーソン・愛さんに聞いてみると、ご自身の小学校1年生、4年生、6年生のお子さんの例を紹介してくれました。

富山県にあるフォルカーソンさんのお宅では、ご主人がアメリカ人という点もあって、家庭内では「英語」、家庭外の保育・教育の場面では「日本語」の環境で育ててきました。現状で、どちらの会話にも困らない程度に言語能力が育ってきていると言いますが、「正直に言って、意外なところに多少の不自由さを実感した経験はある」と言います。

例えば家庭内では英語を使っていますから、数字は「One, two, three」、物を数えるときは「One pen, two pens, three pens」と言った感じで話します。しかし子どもが小学校に行き始めると、数自体は「いち、に、さん」と言うのに、物は「ひとつ、ふたつ、みっつ」と数える日本語特有の変化を、子どもが知らなかったことに気づいたといいます。

ただ、その手の不自由さは、十分に後から対応できるレベルの問題です。小さいころから英語を身につけさせると言っても、身につけさせる度合いも各家庭によってさまざま。例えば両親が日本人で、週に数回の英会話教室や学校の英語の授業を楽しませる程度では、母国語である日本語に悪影響は出ないはず、とのことです。

 

幼児の英語教育でおすすめの教材、アニメDVDや歌、ゲームや動画とその選び方って?

フレンズプリスクールの教室内の様子

英語への入り口として、キャラクター教材はあり?おすすめ教材の選び方は

英語を好きになるような環境を与えるだけで、後は成果や学習到達度を過度に求めない親の姿勢が、結果として英語の得意な子どもを生んでいくという話を聞きました。では、英語への興味関心を高めさせるための道具として、家庭内でも使える教材やおもちゃ、アニメDVDや歌、ゲームや動画などはどうやって選べばいいのでしょうか?

フォルカーソン・愛さんによれば、別に歌のCDであってもアニメDVDであっても、媒体は特に関係なく、0~1歳、2歳までの子どもは、シャワーのように英語の音を浴びせているだけで、一定の効果はあると言います。

一定年齢に達したら、双方向性も意識して

ただ、この手のツールは、英語の一方通行が基本です。子どもが成長して、反応を求めてくるような年齢になった場合は、教材や音楽なども乗り換えて、「双方向性」を意識した方がいいと、幼児教育の専門家としての立場からもフォルカーソン・愛さんは教えてくれます。そもそも言語はコミュニケーションのためのツールですから、「双方向性」が重要だという指摘は、大いに納得です。

ただ、教材やおもちゃなどに「双方向性」を求めるといっても限度がありますから、やはり道具を与えて終わりではなく、子どもが遊びながら喜んで口にした英語を、親が拾って大いに反応してあげるといった行動が重要になってくるのだとか。

中には「私の変な英語の発音をすり込んだら駄目だ」と潔癖なまでに子どもの前で一切自分の口から英語を話さないようにする親御さんも居るはずです。しかし、フォルカーソン・愛さんによれば、「一緒に楽しむ勇気」が親にも必要で、反応を求めている子どもに、反応を返してあげない方が、よほど子どもにはマイナスだと言います。

「実際に私の英語の発音は、今でも大したことありません。大人になって、バスケットボールのサークルで主人と出会ったため、昔から英語に熱心だったわけでもありません。それでも子どもには赤ちゃんのころから、英語の絵本の読み聞かせを楽しんできました」

たとえ苦手でも、親が子どもと一緒に楽しむスタンスが重要

学ぶ、教えるというよりも、英語を楽しむというスタンスを忘れなければ、別に自分の英語の発音や文法が悪いなどと気にする必要も確かにありません。大いに楽しむ勇気を持って、教材などを通じて子どもから出てきた英語に、大いに反応してあげたいですね。

 

東京だとどこ⁉ 幼児向けの人気英語教室ランキングと英語教室の選び方

フレンズプリスクールの修了式の様子

たくさんある英会話教室から、いい教室を見抜く方法

最後に、フォルカーソン・愛さんに、英会話教室の上手な選び方を教えてもらいました。プリスクールと英会話教室を営む立場上、なかなか難しい質問ではありますが、「基本的には暗記学習ではなく、英語を体験し、楽しむ中で、フォニックスを身につけられる教室がいいのでは」との回答してくださいました。

フォニックスとはよく聞く言葉ですが、英語圏の子どもたちのために開発された指導方法で、1つのアルファベットに複数の読み方がある英語を上手に読み書きできるようにするための工夫になります。

英語教育でよく耳にする「フォニックス」とは?

例えば「d」は普通、「ディー」と読むと思います。「o」は「オー」、「g」は「ジー」です。しかし、「dog」とまとめると、「ディーオージー」ではなく、「ドッグ」になります。考えてみれば、面倒な話ですよね。一方でフォニックスで「d」は「ドゥ」、「o」は「オ」、「g」は「グ」といった具合に最初から発音とつづりを教えます。すると「dog」と並んだ場合でも、すんなりと「ドッグ」と発音できますし、「ドッグ」と耳にしただけで、「dog」とつづりを正確に書けるようになるのですね。

マーケティングリサーチをベースとしたデザインマネジメント・コンサルティング会社の株式会社イードが行なったイード・アワード2018「子ども英語教室」を見ると、未就学児向けの英会話教室として評価の高い英語教室の上位3位は、

  • 最優秀・・・セイハ英語学院/ラビスクール
  • 優秀・・・AEON KIDS (イーオン こども英会話)
  • 優秀・・・Benesseこども英語教室

となっています。調べてみると、どの教室もフォニックスは導入している様子。どこも全国に教室を持っていますから、この手のスクールを近所に探してみるといいかもしれませんね。

ちなみに英会話教室の先生は、ネイティブスピーカーがいいのか、日本人の先生がいいのかについては、遊びながら生の英語に触れ合うという意味で言えば、幼児のころはネイティブスピーカーの先生とやりとりできる環境が好ましく、小学校も高学年になってきて、頭で英語を理解するようになった子ども達には、日本語を介して英語を教えてくれる日本人の先生にも大いに意味がある、ということでした。

英語教育に興味のある親御さんの教室や教材選びの参考にしてみてください。

(取材・文 坂本正敬)

 

【取材協力】

フォルカーソン・愛さん・・・英会話フレンズ&プリスクール代表にして、幼稚園教諭と保育士経験のある3児の母親。人を楽しませることが大好きな元数学教師のアメリカ人の夫とともに、英語で生活を送るプリスクール(認可外保育施設)と少人数制クラスの英会話クラスを富山市で運営する。複数のアメリカ人講師が在籍するスクールは、「楽しい時間を過ごせる」、「英語学習を意欲的に続けられる」と高い評価を受けている。

英会話フレンズ&プリスクール

Address: 富山市中老田799

Tel: 076-413-2343

Mail: contact@friendsenglish2006.com

 

【参考】

イード・アワード2018「子ども英語教室」 – イード

 

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