乳歯から永久歯へと生えかわる時期の子どもの歯のケアについて、公益財団法人ライオン歯科衛生研究所の阿部有美子さんに、お話を聞きました。
これまでの記事で、6~7歳の「生えかわり」期の歯の特徴や、正しい歯のみがき方、仕上げみがきの具体的な方法についてご紹介してきました。今回は「小学1年生」の歯によくあるお悩みを歯科衛生士さんに聞いてみました。
■1年生の歯、親が気になる「あるある」お悩みは!?
小学1年生の歯の「あるある」なお悩みを歯科衛生士さんにうかがいました! お子さんに当てはまる例はあるでしょうか? 参考にしてみてください。
Q. 前歯の生えかわりがほかの子より遅い気がします。このままでいいですか?
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A. このまま様子を見ましょう。
生えかわりの時期には個人差があるため、ほかの子と比べて数か月遅くても心配はありません。ただ、生えてくるといわれている時期(別記事参照)より、1年以上過ぎても生えてこない場合は歯科医に相談しましょう。
Q. 乳歯が抜けた後、なかなか生えてこないのですが。
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A. 同じ歯の左右差が半年以上の場合は、歯科医に相談してみてください。
歯が抜けてから生えてくるまでの期間は個人差があり、数か月遅くても心配はいりません。
ただし、反対側の同じ歯が生えてから半年以上生えてこない場合は歯科受診をして、歯ぐき内に永久歯があるかどうかや、その状態を確認してもらいましょう。
Q. 乳歯のむし歯は治療しなくてもいいですか?
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A. 歯科医院で治療してもらいましょう。
乳歯のむし歯は永久歯の歯並びや、乳歯の下で生える準備をしている永久歯に悪影響を及ぼす場合があります。
また、乳歯のむし歯は進行が早いのが特徴のひとつです。たとえ小さくても、見つけたらすぐに受診しましょう。
Q. 歯並びが気になります。矯正は早いほうがいいですか?
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A. 必ずしもそうではありません。気になるようなら歯科医に相談してみてください。
反対咬合(受け口)なら程度により早期に治療を開始することもあります。
また、9〜11歳頃に前歯が「ハ」の字のように生えてくるため、歯並びが悪く見える時期があります。気になるようなら歯科医に相談しましょう。
■むし歯がなくても4か月に一度は歯科健診を
歯科健診を通じて、プロのアドバイスに基づいた毎日のセルフケアを行い、むし歯などのトラブルを未然に防ぐ「予防歯科」。大人がやるものと思われがちですが、実は、生えかわりの時期から子どもも実践することが大切です。
4か月に一度は、歯科健診を受ける「予防歯科」を実践しましょう。
自覚したむし歯がなくても、子どものうちは定期的な歯科健診を受け、フッ素塗布などをしてもらうのがおすすめです。家庭でのセルフケアに歯科医のプロケアを上手に取り入れ、生えたばかりの永久歯を守りましょう。
生えかわり期にある不安や疑問は、歯科で歯医者さんに相談することでも解決できます。定期的な歯科検診を受けることで、お子さんの歯を大事にする意識も高まるので、ぜひ親子で通える歯科医を見つけてみてください。
イラスト/畠山きょうこ