自分で意思を伝えることができない赤ちゃん。赤ちゃんのうんちは、赤ちゃんの健康状態や腸内環境を図るバロメーターといわれます。そうは言われても、赤ちゃんのうんちで問題ないかどうかを判断するのは、初めてではむずかしいですよね。本当は問題ないかもしれないのに、些細なことが気になってしまったり、不安になってしまったり…。
この記事では、赤ちゃんのどんなうんちに気をつけるべきなのか、「新生児の下痢」についてアンケートと一緒に対処法をご紹介します。
目次
新生児のうんちが下痢っぽい…これって大丈夫?
新生児のうんちは、下痢っぽくて不安になったことありませんか?
筆者も、初産の時は、「赤ちゃんのうんちってこんなに柔らかいんだ」と初めて目にしてびっくりしたことを覚えています。授乳した時間とうんちの回数を、小まめに手帳に記録して観察したものです。1日に3〜4回、多い日は10回近くうんちをする日もありますよね。色や柔らかさ・回数、どれをとっても全く新しい出来事で、これって大丈夫?と不安に思ってしまいます。
新生児のうんち【ママパパの体験談】
新生児のうんちに関する、ママとパパの体験談をご紹介します。ママとパパが疑問に思ったことや驚いたことなど、ある!ある!ポイントがいっぱいです。
『黒や緑のうんちにびっくり!』
ママとパパが一番驚いたのは、新生児のうんちの色。「緑色でびっくりした!」「うんちが緑色とは意外だった!」「緑色のうんちが出て大丈夫なの!?と思った」「黒緑っぽいうんちでびっくりした!」など…、うんちの色について、驚きがたくさん寄せられました。
『水のようなうんちで不安』
新生児のうんちの柔らかさについても、コメントがありました。「黄色で見た目はサラサラのカレー」「水っぽいためお腹の調子が心配になった」「やわらかくて水のようなうんち」など、新生児のうんちの柔らかさを初めて知ったという方も多かったようです。
『うんちが下痢なのかわからなくて戸惑った』
「下痢なのかどうかわからなくて戸惑った」「独特で、いいうんちなのか悪いうんちなのかよく分からない」など、新生児のうんちの状態に大丈夫かどうか、不安になる声も見受けられます。
『うんちの回数が多い』
新生児のうんちについて、その回数や量についてもコメントがあります。「水っぽいうんちで、一日何回もオムツを変えなくてはならなかった」「量が多くてよくお尻から背中漏れしてしまって、肌着を毎回洗って大変だった」など。オムツのみならず、肌着も毎回洗って着替えさせるなど、大変さが伺えます。
新生児の下痢はどんな状態?新生児のうんちの特徴
新生児のうんちについて、ママとパパが感じたいろんな驚きや不安を紹介してきましたが、新生児から離乳食前の赤ちゃんは、母乳やミルクしか飲んでいないのでうんちはゆるいのが基本です。
では、どんな状態が正常で、どういうときにお医者さんにかかるべきなのか、新生児のうんちの特徴をまとめました。
新生児のうんちはゆるゆるが普通
新生児のうんちはゆるゆるで、大人でいうと下痢のような水っぽい状態が普通です。
特に母乳の場合は「母乳便」という水分の多い便が出ます。新生児のうんちが水っぽいのは、便を作る腸が未発達で、水分を吸収する機能がまだ弱いからです。
新生児のうんちは1日10〜20回ぐらい出るもの
新生児は、うんちの回数も頻繁です。1日10〜20回ぐらい出ることもあります。生後1ヶ月ぐらいまでは、まだ腸に便を溜めておくことができないため、授乳するとすぐに腸が動いて排便するためです。
緑色っぽいうんちでも心配ない
緑色っぽいうんちが出ることがありますが、心配ありません。これは黄色のビリルビン(胆汁色素)が腸内で酸化されて緑色になるためです。また、白いつぶつぶ(顆粒)が混じっているのは、乳成分が固まったもので、これもよくあります。
うんちがゆる感じたり、回数が多くて気になることがあっても、赤ちゃんの体重が順調に増えて機嫌よく元気に母乳やミルクを飲んでいれば、まず心配の必要はありません。
赤ちゃんのうんちは月齢とともに変化する
赤ちゃんの成長とともに、うんちの特徴も変わっていきます。個人差はありますが、赤ちゃんの健康状態や個性を知る上でも知っておくといいでしょう。
生後0ヶ月
新生児のうんちは、3~5日ぐらいの間に、胎便→移行便→普通便と変化していきます。生後3~5日ほどで粘り気がある黒褐色~緑色から黄色に変化します。その後は、その子の母乳やミルクの飲み方などにより、回数や状態が違ってきます。
胎便とは、生後48時間以内に新生児がするうんちのこと。飲みこんだ羊水や、腸管の分泌物、胆汁色素や脂肪などが含まれ、ねばねばで黒褐色~緑色をしています。生後24時間までに初めてのうんちが出て、その後2、3回排泄されます。母乳やミルクを飲み始めると、緑色~黄色の水っぽいうんちが出ます。これが移行便です。
その後、生後3~5日ほどで黄色っぽいドロドロした普通便と呼ばれるうんちになります。
生後1ヶ月~4ヶ月ごろ
うんちの回数が、徐々に減ってきます。母乳栄養の赤ちゃんのうんちは水分が多くゆるめで、ミルクを飲んでいる赤ちゃんはやや硬めのうんちになります 。個人差が大きいものの、4ヶ月頃には回数が少なめになってくるでしょう。
生後5~11ヶ月ごろ
離乳食開始直後は、一時的にうんちがゆるくなったり便秘になったりします。食べ物により、色や形、匂いが変わってきたり食べたものがそのまま出てくることもあります。
離乳食が進むにつれて、うんちは硬く色も黄色から茶褐色へ変わっていきます。
こんなうんちは気をつけて!新生児の下痢の受診目安
いつもよりうんちの回数が多く、より水っぽい、においが強い・臭い、色が違うというときは注意深く観察しましょう。次のような状態のときは受診が必要です。
水のようなうんち
いつものうんちより水っぽく、あやしても笑わずにぐったりしている場合、脱水症状を起こしていることが考えられます。すぐに受診しましょう。
赤や黒のうんち
腸管の出血で血液が混じっていることが考えらえます。
赤ちゃんの腸管は刺激に弱いため、うんちが固くて一時的に出血したならすぐ元に戻ります。
白いうんち
胆のうの病気が原因の場合があり、注意が必要です。灰白色で固さが普通のうんち、お米のとぎ汁のような白っぽい下痢便のようなときは、すぐに受診しましょう。また、ロタウイルスに感染した時も白い下痢便が出ます。
便の色や状態に異変を感じたら
排便の様子がいつもと違い、嘔吐を伴うとき、熱があるときは、ウイルスや菌に感染していることがあるので、早めに受診しましょう。
便の色や状態に異変を感じたら、スマホなどで写真を撮り、おむつをビニールに入れ、口を閉めて持参して受診すると診断の役に立ちます。ただし、感染症の場合は隔離が必要だったり、うんちを持ち歩くのにもリスクがあるので、受診前に病院にまず電話をしてから行くといいでしょう。
日々観察して、いつもと様子が違ったら医師に相談しよう
赤ちゃんの健康状態や腸内環境を図るバロメーターといわれる、新生児のうんち。大人とかなり違う新生児のうんちは、ママやパパにとって問題ないかどうかを判断するのはむずかしいですよね。
ですが、今回紹介した新生児のうんちの特徴を知っておくと判断の基準になります。新生児のうんちはどういうものなのかを先輩ママ・パパのアンケートを参考に、そして先生の対処法を目安にしてみてください。
記事監修
金子 法子
1989年川崎医科大学卒業後、同年山口大学産婦人科学教室入局。同大学病院、関連病院勤務を経て、1998年より実家である針間産婦人科副院長。2001年より現職。2016年第五回西予市おイネ賞全国奨励賞受賞。2017年山口県医師会功労賞受賞。日本産婦人科学会専門医。日本性感染症学会認定医。日本産婦人科学会女性のヘルスケアアドバイザー。敷居の低い産婦人科をモットーに、地域のかかりつけ医として、悩める全女性の良き相談相手となるべく、性教育や女性の健康教育の講演活動も精力的に行っている。二男一女の母でもある。
針間産婦人科
文・構成/太田さちか