Q:子供に「1日3回、食後に服用」という薬を処方されました。食事の間隔が均等でない場合も、食後に飲ませればよいのでしょうか?
A:適切な間隔をあけて飲ませることが大切
薬の種類によって服用の回数が決められているのは、血中濃度を一定に保ち、効果を持続させるためです。ただし、「1日3回」だからといって、きっちり8時間おきに飲ませなくても大丈夫。1日3回の場合は3~4時間以上、1日2回の場合は6時間以上あけて飲ませるようにするとよいでしょう。
薬の効果を理解し用量を守って服用を
原則として園では薬の服用をさせられないため、昼食後すぐに薬を飲ませることができません。こういった場合は、朝食後→家に帰ってから→寝る前の3回に分けてもよいでしょう。子どもに処方される薬は体にやさしいものがほとんどなので、「食後」と指定されている薬でも、食事をとらずに服用しても大丈夫です。
帰宅してから寝るまでの時間が短く、3~4時間以上の間隔があけられないようなら、昼食後の分をお休みし、朝食後と夕食後の2回飲ませるようにします。このときに注意したいのが、「3回に分けて飲むべき1日分の薬を2回に分けて飲ませる」のではない、ということ。薬の回数を減らす場合も、1回分の用量は必ず守ります。
子どもの薬の種類は?
シロップ、ドライシロップ、粉薬など種類に応じて飲み方を変えて
子どもに処方される飲み薬は、シロップやドライシロップ(顆粒)、粉薬などがあります。シロップはそのまま、ドライシロップや粉薬は水や白湯に溶かして飲ませます。子どもが好きな飲みものに混ぜる方法もありますが、酸味のあるものだとドライシロップの甘いコーティングがはがれて薬の苦みが強まってしまうことがあります。また、乳製品と一緒にとると十分な効果が得られない薬もあるため、何に混ぜてよいか、薬剤師に確認しておくと安心です。飲みもののほか、市販の服薬ゼリーなどを利用するのもよい方法です。
自己判断は危険!
薬には、症状をやわらげるためのものと、治療のためのものがあります。解熱剤やせき止めといった症状をやわらげるための薬は、その症状が治まれば服用をやめて構いません。でも、抗菌薬(抗生物質)のような治療のための薬は、処方された分を飲みきることが重要。症状が治まったからといって、自己判断で服用をやめてはいけません。
市販の「かぜ薬」がさまざまな成分を少量ずつ配合した「総合感冒薬」であるのに対し、病院では、「ひとつの症状につき1種類」の薬が処方されます。病院でたくさんの薬を出されることがあるのはこのためです。量が多いことを心配する保護者もいますが、どれも子どもに必要なものなので、それぞれの薬の効果を理解したうえで正しく飲ませてください。
受診の際はおくすり手帳を持参
薬の中には、一緒に飲んではいけないものもあります。別の病院で処方された薬の情報も必要なので、受診する際は「おくすり手帳」や現在飲んでいる薬を持参しましょう。薬剤師の説明を受けるときは、用法・用量や注意点などを確認します。気になることがあれば、具体的に質問しましょう。
また、飲みきらずにあまった薬は早めに処分を。処方薬の場合、「とっておいて、次に同じ症状が出たときに飲ませる」という使い回しは、絶対にしてはいけません。見た目の症状が同じでも原因が違う場合があるからです。
記事監修
東京都八王子市・金井内科医院院長。「国立小児病院」、米国の小児病院などで小児外科の臨床・研究を行い、2008 年より現職。診療科目は内科、小児科、小児外科、外科。保育園の園医、小・中学校の校医も務める。
イラスト/小泉直子 構成/野口久美子 出典/めばえ2018年10号
親と子をつなぐ、2・3・4歳の学習絵本『めばえ』。アンパンマン、きかんしゃトーマスなど人気キャラクターと一緒に、お店やさんごっこや乗り物あそび、シールあそび、ドリル、さがしっこ、めいろ、パズル、工作、お絵かきなど、様々なあそびを体験できる一冊。大好きなパパ・ママとのあそびを通して、心の成長と絆が深まります。