子育ては日々悩みの連続ですね。保育者歴47年、常に子どもに寄り添い、ママたちからの信頼も厚い自主幼稚園「りんごの木」の柴田愛子さんが、豊富な経験を元に、悩めるお母さんにアドバイス。
自主保育に通っていますが、小学校に馴染めるか心配。幼稚園に転園させたほうがいい?
娘は、アットホームな雰囲気の自主保育に通っています。保育の内容にも満足しており、娘ものびのび楽しく過ごしています。ただ年中クラス以降は人数が少なくなり、女の子は娘だけの可能性も! 女の子という意識が芽生えてきたときに、まわりに男の子しかいない環境はどうなのでしょうか? また小学校に入学したときに、あまりの環境の違いに戸惑わないか心配です。自主保育は人数も少ないので、娘はこれまで集団行動の経験もありません。いずれは小学校で集団のルールに従うことになるので、今のうちに幼稚園に転園させて集団生活に慣れさせたほうがいいのでしょうか。(4歳の女の子のママ)
幼稚園は、集団生活や小学校に慣らすための場ではありません
お母さんや娘さんの性格、考え方によって答えは違ってきます。新1年生になって、万一、環境の違いに戸惑ったとき、娘さんは立ち直れないと思いますか?
また娘さんが戸惑う姿を見たとき、お母さんは自主保育に通わせていたことを後悔しますか?
もし「うちの子は立ち直れないかも…」「自主保育に通わせていたことを後悔しそう」と思うならば、幼稚園に転園させたほうがいいかも知れません。けれど、環境が変わっても順応していく力を人間は持っています。特に子ども自身は選べないだけに、戸惑いながらも馴染んでいきます。
そして、幼稚園は、集団生活や小学校に慣らすために通わせる場ではありません。
子育てで、何を大切にしていきたいか考えると答えが見つかります
「年中クラス以降は人数が少なくなり、女の子は娘だけの可能性も!」と心配されていますが、「りんごの木」も設立してから38年経ちますが、最初のころは男女のバランスや、年齢ごとの人数なんてバラバラでした。でも子どもたちは、そんなことなんて気にしません。年齢や性別なんて関係なく、子どもたちは楽しく遊び、健やかに成長しています。
もし悩んだときは、お母さん自身、子育てで何を大切にしていきたいか、じっくり考えてみてください。「こういう体験は幼児期にはいらない」と思ったものを、どんどん捨てて行くと、お母さんが大切にしていきたい子育ての柱が見えてくるはずですよ。
子どもの今を充実させてあげませんか?
教えてくれたのは
保育者。自主幼稚園「りんごの木」代表。子供の気持ち、保護者の気持ちによりそう保育をつづけて半世紀。小学生ママ向けの講演も人気を博している。ロングセラー絵本『けんかのきもち』(ポプラ社)、『こどものみかた』(福音館書店)、『あなたが自分らしく生きれば、子どもは幸せに育ちます』(小学館)など、多数。親向けの最新刊に『保育歴50年!愛子さんの子育てお悩み相談室』(小学館)がある。
イラスト/海谷泰水