子どもが熱性けいれんを起こしたら… やってはいけないこと、救急車が必要なケースの見分け方【小児科医監修】

今回は「熱性けいれん」の対処法・予防法などを小児科専門医の森戸やすみ先生にお聞きしました。

Q:発熱した子どもがけいれんを起こしたときの対処法って?

「熱性けいれん」はなぜ起こる?

脳内では、さまざまな情報が電気信号でやりとりされています。通常、こうした情報処理には一定のリズムがありますが、高熱が出るとリズムが乱れ、無秩序な放電が起こることがあります。その結果、意図しない動きや意識の異常などが現れるのです。

熱性けいれんの症状は?

熱性けいれんは熱が上がりはじめるときに多く見られ、大きくふたつのタイプに分けられます。

①単純型

・全身が激しくふるえる
・15分以内におさまる
・24時間以内に繰り返すことがない

②複雑型

・左右のどちらか片側など、体の一部だけがふるえる
・24時間以内に2回以上起こる
・発症前から神経の病気がある
・両親やきょうだいにてんかんの人がいる
・生後6カ月未満、または6歳以上

どちらの型の場合も、顔色が悪く、呼吸が不規則になり、呼びかけに応答しないなど意識の異常も見られます。

けいれんを起こしたらどうすればいい?

子どもがけいれんを起こしたときは安全な場所に寝かせ、呼吸をさまたげないようにのど元のボタンなどを外します。おう吐した場合にのどにつまるのをふせぐため、顔は横向きにしておきます。

けいれんが始まった時刻を確認し、落ち着いて様子を見守りましょう。けいれんがおさまったらその時刻も確認し、始まった時刻や症状とともに記録しておきます。

口にものを入れる、体をゆすったりたたいたりする、大声で名前を呼び続ける、などは絶対にしてはいけません。

熱性けいれんは、数分でおさまることがほとんどです。症状がおさまったら、すぐに病院へ。診療時間外の場合は、夜間救急外来を利用しましょう。

心配なけいれんって?

熱があるときにけいれんを起こした場合、15分以上続くようなら救急車を呼びます。また、ごくまれに髄膜炎や脳炎、脳症などのために発熱とけいれんが起こることもあります。けいれんに加えて、頭や首の痛み、おう吐などが見られたり、けいれんがおさまっても意識障害が続いたりする場合も、救急車で病院へ行きましょう。

発熱していないのにけいれんを起こす場合、てんかんの可能性も考えられるので受診が必要です。病院では脳波や脳のCT撮影などの検査を行い、てんかんかどうかを診断します。

熱性けいれんを起こす子はどれぐらいいる?

熱性けいれんは、おもに生後6カ月〜5歳の子どもに見られます。両親のどちらか、またはきょうだいが熱性けいれんを起こしたことがある場合、発症の頻度が上がります。熱性けいれんを経験するのは、子ども全体の7〜11%ほど。そのうち3分の2以上が、1回しかけいれんを起こしません。

記事監修

小児科専門医 健康アドバイザー
森戸 やすみ 先生

一般小児科、NICU(新生児特定集中治療室)などを経て、小児科クリニック勤務。著書に『小児科医ママの子どもの病気とホームケアBOOK』(内外出版社)など。

 

『めばえ』2021年1月号 イラスト/原あいみ(京田クリエーション) 構成/野口久美子

親と子をつなぐ、2・3・4歳の学習絵本『めばえ』。アンパンマン、きかんしゃトーマスなど人気キャラクターと一緒に、お店やさんごっこや乗り物あそび、シールあそび、ドリル、さがしっこ、めいろ、パズル、工作、お絵かきなど、様々なあそびを体験できる一冊。大好きなパパ・ママとのあそびを通して、心の成長と絆が深まります。

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