子どものうんちが出るのは2~3日に一度。便秘の治療をしたほうがいい?【小児科医監修】

今回は「子どもの便秘」の対処法・予防法などを小児科専門医の森戸やすみ先生にお聞きしました。

Q:うんちが出るのは2~3日に一度。便秘の治療をしたほうがいいですか?

1日でもうんちが出なければ便秘なの?

便秘とは、排便の回数が少なかったり、出にくかったりする状態のこと。具体的には、うんちが週に3回以下、または続けて5日以上出ない場合をいいます。便通が毎日あっても、出すときに痛がったり、肛門が切れて血が出たりする場合は便秘とされます

幼児の便秘のおもな原因は?

子どもの便秘のほとんどは、病気や体の機能の異常によるものではありません。原因として多いのが、便意をがまんすることです。かたいうんちを出したときに肛門が切れて痛い思いをすると、子どもはうんちをがまんするようになります。がまんを続けるうちに便意を感じにくくなってしまい、排便の回数が減っていくのです。

ただし、まれに先天的な病気がかかわっている場合もあります。おなかの張りがひどかったり、浣腸をしても出にくかったりする場合は、まずはかかりつけの医師に相談してみましょう

トイレトレーニングが便秘のきっかけになる?

トイレトレーニング中にいやな思いをすると、トイレでうんちをしたくないために便意をがまんしてしまうことがあります。トイレトレーニングで大切なのは、トイレを「楽しいところ」にすることです。

子どもの好きなポスターなどで雰囲気づくりをする、トイレでうんちができたらごほうびにシールをあげる、などの工夫をしてみましょう。トイレトレーニングを始める前から、子ども向けの動画や絵本などを使って「トイレで何をするのか」のイメージづくりをしておくのもよい方法です。また、便座の足元に台などをおき、足をつけてしっかり踏ん張れるようにすることも大切です。

便秘の予防&改善につながる習慣って?

病気などが原因でない便秘でも、改善のための努力は必要です。いちばん大切なのは、便意をがまんしないこと。トイレトレーニング中なら時間を決めてトイレに誘い、すぐに出なくても、しばらくはトイレに座っているようにします(子どもがいやがらない程度の時間でよい)。

「うんちは朝ごはんの後」というイメージがあるかもしれませんが、朝食後にこだわる必要はありません。忙しい朝や夜は避け、親子ともに時間と気持ちに余裕のあるときにトイレタイムを設定してもよいと思います。このほか、食物繊維を十分にとることも有効。野菜や海藻、きのこ、くだものなどをメニューにとり入れましょう。

「便秘かな?」と思ったときは?

便秘に気づいたときは、市販の小児用グリセリン浣腸を使ってみましょう。即効性があるため、便秘の不快感をすぐになくすことができます。浣腸はぬるま湯などで人肌程度に温め、容器の先にワセリンやベビーオイルを塗って肛門に1~2センチ入れます。容器を押してゆっくりと薬液を押し出し、少し待ってから排便します。

子どもがいやがる場合は無理をせず、かかりつけの病院へ。病院では症状などに応じて飲み薬が処方されることもあります。「便秘薬は癖になる」などといわれることがありますが、癖になるのは薬ではなく、便秘です。便秘は長引かせるほどひどくなるので、浣腸や薬を使って早めに治すのが正解です。

 

記事監修

小児科専門医 健康アドバイザー
森戸 やすみ 先生

一般小児科、NICU(新生児特定集中治療室)などを経て、小児科クリニック勤務。著書に『小児科医ママの子どもの病気とホームケアBOOK』(内外出版社)など。

『めばえ』2020年10月号 イラスト/原あいみ(京田クリエーション) 構成/野口久美子

 

親と子をつなぐ、2・3・4歳の学習絵本『めばえ』。アンパンマン、きかんしゃトーマスなど人気キャラクターと一緒に、お店やさんごっこや乗り物あそび、シールあそび、ドリル、さがしっこ、めいろ、パズル、工作、お絵かきなど、様々なあそびを体験できる一冊。大好きなパパ・ママとのあそびを通して、心の成長と絆が深まります。

 

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