“全日本 急に「変われ」と言われても協会(略称:全日急)”をご存じですか。私(HugKum編集部・H子)は知りませんでした。が、しかし。その名前を聞いただけで「わかるわかる!」と共感しまくるという、すごい名前の団体です。
どんな団体か調べてみました。
全日本 急に「変われ」と言われても協会とは
全日本 急に「変われ」と言われても協会(略称:全日急)とは、熊野英一さん(株式会社子育て支援 代表取締役)と杉山錠士さん(兼業主夫放送作家 子育てサイト「パパコミ」編集長)を中心に、ウィズコロナ・アフターコロナの中で急激な変化を求められているすべての人々を応援するために、2020年10月25日に発足した任意団体です。
各界の「新しい生き方」の先駆者・専門家たちとともに、急に「変われ」と言われてとまどう多くの人々に「ワクワクすることを、仲間とともに。小さな一歩を踏み出そう」というメッセージを発信してきました。
さて、それでは「急に『変われ』と言われて」とまどっているのは、どんな人たちのことでしょうか。
急に「変われ」と言われてとまどう私たち
全日急では、子どもを持つ40代の男女1,059人<男性629人(59.4%)、女性430人(40.6%)を対象に「コロナ禍における生活変化に関する調査」を実施しました。(調査期間:2020年11月18日〜11月20日)
「これからの生き方を変える必要があるか」という問いに対して、半数以上の61.8%がその必要を感じていながらも(図1)、その変化に対する向き合い方は「変化しはじめている」「どう動けばいいかわからない」「変化したくない・変える必要がない」の三者が三つ巴状態(図2)という混沌。
さらに、「変われ」に対してとまどう理由には、下記(図3)のように「正解がわかるまで動きたくない」「面倒くさい」「周囲の目や評価が気になる」など、さまざまな要因が挙げられています。
うーむ、わかります。わかりみが深すぎます。
「この先どうすれば?」を考えるヒント
そんな私たちのとまどいに緊急提言!ということで、新型コロナによる緊急事態宣言が完全解除された2020年 5 月 に開催されたオンラインイベント「My Revolution 2020」。のちに「全日急」の発起人となる熊野氏・杉山氏が聞き手となり、各界のパイオニアたちを迎えて繰り広げられたここでの熱いトークが、ニュースタンダードを生きるすべての人への応援バイブルとして、一冊の本にまとまりました。
章ごとに登場するゲストスピーカーは、以下のとおり。
前野隆司氏(慶應義塾大学大学院 教授)、田中靖浩氏(公認会計士)、林田香織氏(ワンダライフ LLP 代表)、藤田一照氏(曹洞宗国際センター 前所長)、副島賢和氏(昭和大学大学院 准教授)、三谷宏治氏(KIT 虎ノ門大学院 教授、著述家)。
この網羅性。いやはや読みごたえありました。
ニュースタンダードのモヤモヤを本書にぶつける!
HugKum編集部・H子もウィズコロナの今年を、さまざまなモヤモヤとともに生きてまいりましたが、本書のなかにそれを掬いあげてくれる記述があるあるある! その例をいくつかご紹介します。
モヤモヤ1)リモートワーク、いいんだか悪いんだか
コロナによって出勤時間は減り、ムダな会議もなくなったけれど、自宅のPCの処理スピードがしょぼすぎて仕事の効率はイマイチ。リモートワークっていいんだか悪いんだか、モヤモヤ…。
「幸せをどうする?」の章を参照すると
アンケート調査でおもしろい結果が出ています。幸福度が上がった人は40%いた一方で、「仕事はやりにくくなりましたか」という設問には「やりにくくなっている」という答えが多かったのです。<中略> つまり、目の前の仕事の満足度は下がっているのに、トータルの幸せは上がっている、というパラドックスが読み取れるんですね。<第一夜の章(前野隆司さん)より抜粋>
なるほど…。幸福度って、もしかして効率や利便性とは別モノなの?
モヤモヤ2)パートナーとの家事分担、これでいいのか
家にいる時間が長いと、夫婦間の家事分担について再考したくなってくる。でも慣れてる側がやったほうが早いという現実もあって、自分が何を求めているのか悩む…。
「パートナーとどうする?」の章を参照すると
社会学の枠組みで、公平感には「量的公平感」と「情緒的公平感」があります。要するに、家事育児分担の割合が5対5であることで夫婦関係満足度が上がるという、「量的公平感」を重んじる夫婦と、割合は7対3でもいいから、話を聞いて共感してほしい、という「情緒的公平感」を求める夫婦がいるんです。<第三夜の章(林田香織さん)より抜粋>
あ、これもわかる。もしかして私がパートナーに求めているのは、単なる負担の分担とは違うものだったのかも?
モヤモヤ3)こんな時だからこそ「つながり」が大事とか…
ソーシャル・ディスタンスで、人との出会いやつながりが希薄になったなどと言うけれど、個人的には「このくらいの距離感でよくない?」なんて思う。ただ、子どもについてはちょっと心配。「個」でいられる子に育てるべきと思いつつ、ひとり遊びが多すぎる気が…。
「子どもたちはどうする?」の章を参照すると
「ひとりじゃない」と思えたときに初めて、「ひとりでもだいじょうぶ」と思えるようになるんです。「ひとりじゃない」と思えた人はひとりでもいられますが、「ひとりぼっちだ」と思っている人は、ひとりじゃいられないんですよ。<第五夜の章(副島賢和さん)より抜粋>
…そうかもしれない。となると、子どもにとって大事なのは精神的な連帯感ということか。それならやっぱりその基本って、家族や親子関係にあるんじゃないかな…。
というように、本書にぶつけたモヤモヤは、わかりやすい「答え」として返ってくるのではなく、あらたな「問い」を自分の中に呼び込みます。「変われ」と言われて変わる方向はあらかじめ用意された正解ではなく、これらの新たな「問い」の先にあるということなのでしょうか。
急に変われない私にも、あなたにも
まだまだ続くコロナ生活。ニュースタンダード。新しい生活様式。
いやおうなく「変われ」と言われ続ける日々に疲れ気味の私たちですが、歴史の本をひもとけば、ダイナミズムと興奮に満ちた時代は、産業革命だの戦後だのといった激動の時代だったりします。未来の目でふりかえった時、今がまさにそんな時代だとすれば、自分は、家族は、子どもたちは今をどう生きるべきか。おおいに考えさせられます。
構成・文/HugKum編集部
2人の編著者が、リスペクトする6人の先駆者に聞いた「これからの生き方のヒント」。先駆者たちの言葉は、読者の伴走者として不安な気持ちに寄り添ってくれます。ウィズコロナ時代の閉塞感を晴らし、変わりゆく時代をワクワクしながら生きるための一冊。