目次
子ども同士のトラブル② 「いじめ」と感じた時は?
筆者:保育園で、一人の子をいじめるような場面はあるのでしょうか。
年齢が上がってくると、相手が困る様子を面白がることも
島田先生:就学前の時期になると、子ども達もナイーブになってきて、準備が遅い子などをターゲットにすることがあります。
以前、特定のお子さんのモノを隠して、その子が困る様子を面白がることがありました。
加害者の子は「いじめ」とは思っておらず、優越感を感じたかったのかもしれませんが、保育者にとってもショックな出来事でした。
「ふわふわ言葉」と「ちくちく言葉」で解決へ
筆者:その時はどうやって解決しましたか?
島田先生:子ども達に「ふわふわ言葉」と「ちくちく言葉」を教えました。
「ふわふわ言葉」は、「ありがとう」など言われて嬉しかった言葉。「ちくちく言葉」は、心が傷ついた言葉です。私も書籍を買って勉強しました。
島田先生:この「ふわふわ言葉」と「ちくちく言葉」の2つの言葉を毎日“帰りの会”で発表してもらいました。
ちくちく言葉はなかなか出てきませんが、周りの子どもが発表したり、保育者が聞いていた場合は誘導したりして引き出します。
言った本人に悪気はなくても、こんなことを言ったらお友だちは傷つく、ということを知るきっかけになったようです。
子ども同士のトラブルは未然に防げるの?
筆者:喧嘩やトラブルを経験するのも大切だとは思いますが、未然に防ぐ方法があれば教えてほしいです!
同じ子の場合は、寄り添いや言葉がけで
島田先生:先生の気を引くために、ひんぱんに悪さをする子もいます。その場合は、意識的にその子をお膝に乗せてあげるなど、愛情を注いであげます。
また、噛みつきが急にひどくなった子は、お母さんが下の子を妊娠している時も。面談の時にさりげなく聞いて、一緒に対応策を考えます。
同級生同士の場合は、ルール確認で防止
脇山先生:5歳児クラスでは、ゲームなどのルールの食い違いで子ども同士トラブルになりがちです。
そのため、ゲーム等を始める前は最初に必ずルール確認の時間を設けるようにしています。氷鬼なら、「氷になったら動けないよね、タッチしてもらったら逃げるんだよね」と確認することで、トラブルが起きません。
筆者:家庭でも真似できそうですね!
年齢差がある場合は、ペアをつくると◎
田中先生:ゲームの時、月齢や年齢差で理解にバラつきがある時は、分かる子と分からない子をペアにして、お世話をしてもらいます。お世話してもらう方も嬉しくて、仲良く遊べますよ。
親同士のトラブルに発展してしまったら?
筆者:子どものことで、親同士のトラブルに発展するのも嫌ですよね。
普段から保護者同士の関係性を良くする努力も
島田先生:保護者同士の関係性が出来ていると、大きなトラブルに発展しない場合が多いんです。そのため、保護者会等でコミュニケーションを取れるような工夫などをしています。
保育士さんに相談するベストなタイミングは?
筆者:保育士さんはいつも忙しそうなので、相談事をするタイミングに迷うことがあります。どうするのがベターなのでしょうか?
事前に声かけをすれば調整しやすい
田中先生:「今日のお迎えの時間に、お話できますか?」と朝のうちにお伝えいただければ、お迎えの際、保護者さまとお話しする時間を取ることができます。その際、お子さんには聞かれたくない話題もあると思いますので、子どもは別の部屋で待っててもらいます。
筆者:なるほど。お互いに準備が出来て良いですね! 今日はためになるお話をありがとうございました!
喧嘩やトラブルは、成長に必要な経験
保育士さんからは「喧嘩をするのは成長の証」というお話もありました。親としては心配になる喧嘩やトラブル。でも、きちんと自分の主張ができ、感情を表に出せるのは、大事な成長過程なのですね。また、座談会に同席した編集者Hさんは「我が子は一人っ子なので、家では両親に可愛がられるばかり。保育園でいっぱい喧嘩して、いっぱい悔しい思いをしてきてくれたことは嬉しかった」と話していました。友達といろいろな経験をしながら、たくましく優しい心が育つよう、見守っていけるといいですね。
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文・構成/寒河江尚子