西野亮廣原作の映画『えんとつ町のプペル』が絵本を超えた高みとは?【親子で観たい映画】

©AKIHIRO NISHINO, GENTOSHA 2016

お笑いコンビ・キングコングの西野亮廣原作で、2016年の発売以降、ロングラン大ヒットを記録した話題の絵本をアニメーションで映画化した『映画 えんとつ町のプペル』が、12月25日(金)のクリスマスに公開されました。

舞台はいつも厚い煙に覆われ、空を見あげることを忘れた「えんとつ町」。「本当は空に星がある」という父の言葉をずっと信じてきた少年ルビッチが、ハロウィンの夜にゴミから生まれたゴミ人間プペルと出会います。2人が友情を育み、やがて星を見つける旅へと繰り出します。

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アニメーションを手掛けたのは、2019年に公開された『海獣の子供』などで知られるSTUDIO4℃で、2次元の絵本の世界を、立体的かつアーティスティックに映像化しました。映画には、なぜえんとつ町が生まれたのかというルーツなど、絵本には描かれていないバックグラウンドも丁寧に織り込まれていて、大人の琴線に触れる内容に仕上っています。そう、実は西野さんが目指した最終地点が、この映画でした。

役に魂を吹き込める、窪田正孝と芦田愛菜ら声優陣の共演!

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絵本を手掛け、映画の製作総指揮・原作・脚本を務め、並々ならぬ情熱を注いできた西野さん。その情熱を受け止めた声優陣には、これ以上ないほど理想的なキャストが勢揃いしました。

ゴミ人間プペル役にNHK連続テレビ小説「エール」(20)の実力派俳優、窪田正孝、いつも空を見上げて星を信じ続ける少年ルビッチ役に映画『星の子』(20)も話題となった芦田愛菜。この2人は、もはや職人芸ともいえるほど、アフレコのスキルが高いです。

とはいっても、彼らの良さは、小手先だけの技術で演じるのではなく、自分の役が作品にもたらすメッセージを丁寧に咀嚼し、息を吹き込んでいる点です。つまり、台詞の1つ1つに魂がこもっていて、非常に心に刺さります。

©AKIHIRO NISHINO, GENTOSHA 2016

窪田さんは演じたプペルについて「プペルは生まれたてのような、何者にも染まってないピュアなキャラクターです。ルビッチと一緒にいることで様々な感情や言葉を知り、お互いを信じ合い一緒に成長していきます」とコメント。また、コロナ禍にある今を踏まえたうえで「当たり前だったことができなくなり、人との距離や制限が生じてしまった1年でした。だからこそこの作品は、2020年に公開すべき映画だと思います」とも言っています。

愛菜ちゃんはイベントで「ルビッチの『星があるかどうか分からないけど、でも無いことも分からない』っていう台詞がすごく好きです。出来るって思うのも自分だけど、出来ないからって諦めてしまうのも自分だから、とにかく一回チャレンジしてみようという意味だと感じていて、それってすごく大事だと思いますし、心に響きました」とルビッチの台詞の深みをきちんと受け取めていたのが印象的でした。クライマックスで2人があることに気づくシーンは、特に胸アツです。

他にもルビッチの父親役の落語家・立川志の輔や、母ローラ役の小池栄子、おしゃべり鉱山泥棒のスコップ役のオリエンタルラジオ・藤森慎吾、レター15世役の野間口徹、えんとつ掃除屋のボス、ダン役の國村隼まで、適材適所のキャスティングが秀逸。

なかでも「ドラえもん」でいえば、ジャイアン的なポジションであるアントニオ役に、伊藤沙莉がキャスティングされた点には驚きました。彼女は「映像研には手を出すな!」などで、声優としての評価ももともと高かったけど、実際にアントニオ役にもドハマリしていて、声優としての伸びしろが未知数だなと改めて感心させられました。

西野亮廣が告白「本作は自分の自叙伝」

©AKIHIRO NISHINO, GENTOSHA 2016

えんとつ町の厚い煙の向こうに、星があると紙芝居で語っていたルビッチの父親ブルーノ。息子のルビッチは、父の教えを信じ続けていましたが、町のみんなには嘘つき呼ばわりされてしまいます。

西野さんは、「えんとつ町」について「夢を持てば笑われて、行動すれば叩かれるという現代社会の縮図」とし、「『えんとつ町のプペル』は僕自身の物語でもあります」と語っていました。

先日の完成披露試写会でも、西野さんが「『えんとつ町のプペル』は自分の自叙伝です」と繰り返しつつ「自分もいろいろと言われてきて、その時の気持ちを正直に書いたら、同じ境遇の人に刺さるんじゃないかなと思って。でも、この公開を迎える年のタイミングで、新型コロナウイルスで大変なことになって、この作品が持つ意味が変わってきた」と感じたとか。

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西野さんはこの1年を振り返り「もう駄目だと思った人もいたと思います。でも、そういう人に対して、僕は『本当にダメなのか?ちゃんと全ての選択肢を試したのか?』と疑問に思っていました。白旗を揚げるには早すぎると思います。えんとつ町の住人みんなが白旗を揚げるようなシーンのアフレコの時に、芦田さんが『だれか見たのかよ、誰も見ていないだろ。だったらまだ分かんないじゃないか』って叫んだ時に泣きました。これは世界中が求めているメッセージだと思います」とコメント。

どんな逆境に置かれても、自分のことを信じ、決して諦めないこと。そのことを、非常に美しくも力強い映像で、ちゃんと説得力をもって訴えかけてくれる本作。コロナ禍において、こういう作品こそ、親子で観てほしいなと思います。

『映画 えんとつ町のプペル』は12月25日(金)より全国公開中
製作総指揮・原作・脚本:西野亮廣 監督:廣田裕介 
声の出演:窪田正孝、芦田愛菜、立川志の輔、小池栄子、藤森慎吾、野間口徹、伊藤沙莉、宮根誠司、大平祥生(JO1)、飯尾和樹(ずん)、山内圭哉/國村隼…ほか
公式HP:poupelle.com/

文/山崎伸子

©AKIHIRO NISHINO, GENTOSHA 2016

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