月経カップって痛いの? 使い方やメリット・デメリット比較、注意点やお手入れ法をチェック【助産師監修】

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第3の生理用品として注目されている「月経カップ」。海外では一般的な生理用品ですが、ようやく日本でもドラッグストアなどで販売されるようになりました。月経カップを使うと、生理が快適になるといわれていますが、どんなものなのでしょうか。

ここでは、月経カップのメリット・デメリット比較や、月経カップの使い方を解説していきます。さらに、月経カップを快適に使うためのコツ、お手入れ法、人気の月経カップもご紹介します。

第3の生理用品「月経カップ」ってどんなもの?

第三の生理用品!月経カップってどんなもの?

月経カップは、医療用シリコンなどでできた柔らかいカップ。このカップを膣内に挿入して経血を溜めて使います。経血が溜まったら、カップ内の経血を捨て、カップを洗い、再び装着します。このように繰り返し使うことができるため、エコで経済的な生理用品として今、注目を集めています。

月経カップの素材

月経カップの素材には、医療用シリコンや医療用TPE(サーモプラスチックエラストマー)、ゴム、ラテックスなどがあります。一般的なのは、シリコンとTPEです。
シリコンの特徴は、耐熱性、耐久性があり、劣化しにくいことです。一方、TPEは、シリコンに比べて安価で、肌を刺激するつなぎ目がないのが特徴です。2つとも医療用の素材なので、安心して使うことができます。

日本製が喜ばれる理由

月経カップは、ドイツやオーストラリアなど欧米製のものが主流でした。しかし2017年にようやく日本製のものが誕生しました。日本製のものは、日本人女性の身体に合わせたサイズになっていて、快適に使えます。

月経カップのメリット・デメリット比較

月経カップには、他の生理用品と比較して、メリット・デメリットがあります。それぞれを解説していきましょう。

メリット1:繰り返し使えて、ゴミが出ない!

月経カップの最大のメリットは、洗って繰り返し使えることです。繰り返し使えるので、タンポンやナプキンのように使い終わったらゴミになることはありません。また、生理用品を頻繁に買うこともなくなり、経済的です。

メリット2:ニオイが気にならない

月経カップのメリットは、タンポンやナプキンにくらべて、外陰部の皮膚への刺激がほとんどないことです。

月経カップは、膣内にカップを挿入し、経血を溜める仕組みなので、ナプキンのようにデリケートゾーンが蒸れたり、かぶれたりする心配はほとんどありません。また、経血が空気に触れないため、ニオイがほとんど気にならないこともメリットです。

メリット3:水泳や温泉などでも安心して使える

月経カップはタンポンと同じように水の中でも使えます。ですので生理中でも、水泳をしたり、温泉に入ることができます。タンポンのように、足の間から紐が見えることがないので、周囲の目などを気にすることもありません。

デメリット1:毎回の消毒が億劫に感じる

月経カップは、取り出したら経血を捨て、きれいに洗ってから再度装着します。外出先では、個室内に月経カップを洗う場所があるトイレを選ぶか、ウェットティッシュで拭かなければなりません。また、月経カップの使い始めや使い終わりには、煮沸消毒をする必要があります。

デメリット2:初期投資がかかる

月経カップの価格はメーカーにもよりますが、おおむね3,000円以上です。ナプキンやタンポンなどに比べると「高い」という印象を受けるかもしれません。しかし、月経カップは使い捨てではなく、繰り返し使えます。お金がかかるのは最初だけです。

デメリット3:慣れるまでは挿入しにくく、取り出しにくい

月経カップを快適に使えるようになるには、慣れが必要です。慣れるまでは、挿入しにくく、取り出しにくいことがあったり、うまく装着できず、経血が漏れることもあります。慣れるまでは自宅で使うことをおすすめします。

月経カップの使い方を解説

月経カップは慣れるまで少し時間がかかるかもしれません。最初のうち、挿入や取り出しは自宅で行うとよいでしょう。

準備

まず、自分にあったサイズの月経カップを用意してください。メーカーによってサイズは異なりますが、S、M、Lサイズが用意されていることがほとんどです。目安としては、出産経験がない人や、経血量が少ない人はSサイズ、出産経験がある人や、経血量が多い人、高身長の人はM〜Lサイズを選ぶとよいでしょう。また、Sサイズ、Mサイズと2サイズを用意し、経血量によって使い分けるのもよいでしょう。

月経カップを使う前には、必ず手を石鹸でよく洗って清潔にしておきます。そして、月経カップを煮沸消毒しておきます。

装着の仕方

自分に合った折りたたみ方で装着しよう

月経カップを装着する際は、カップを折りたたんで膣に挿入しますが、カップの折りたたみ方にはいくつかの方法があります。一般的な方法を3つご紹介します。

1つ目は「Cフォールド」です。リム(縁の部分)が「C」の形になるよう、カップをつぶして半分に折る方法です。簡単に折りたためるので、ビギナーの方におすすめです。

2つ目は「パンチダウンフォールド」です。リムに人差し指を置き、そのままカップの内側に押し込んだ状態で挿入します。パンチダウンフォールドは、カップが膣内で開きやすいのが特長です。

3つ目は「セブンフォールド」です。カップを潰し、どちらかの端をカップの下方向に折るやり方です。セブンフォールドは先端が細いので、挿入しやすくなります。

いろいろ試してみて、自分に合った折りたたみ方で装着しましょう。

取り出し方

月経カップを取り出す際には、ステム(尻尾)を持って少し引っ張ります。その後、カップの根元部分をつまみ、ゆっくりと引き出します。カップに溜まった経血はトイレに流してください。

ちなみに、ステムの形状には、リング型、ステム型、ボール型があり、いずれも持ちやすく、取り出しやすいように工夫されています。

取り替えるタイミング

月経カップを取り出すタイミングは装着時間と経血量に応じて調整します。

装着時間は、メーカーによって異なりますが、最大8〜12時間装着可能とされています。しかし、清潔に保つためには、長時間入れたままにしないようにしてください。

月経カップを快適に使うためのコツ、お手入れ法

月経カップの正しい挿入位置や、お手入れ法を知れば、月経カップを快適に使うことができます。

月経カップの正しい位置はどこ?

月経カップの正しい位置は、膣の入り口から4cm〜子宮口あたりで、ステムの先端が膣の入り口から出るか出ないかの位置です。

正しい位置に挿入できていれば、カップが入っていることを感じないくらい、快適に過ごせます。位置が浅すぎる場合は痛みが生じたり、経血が漏れたりすることがあるので注意してください。

デリケートゾーンの脱毛でさらに快適に!

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使用後は煮沸消毒

使用後には必ず煮沸消毒を行います。煮沸消毒の方法は2つあります。

1つは、鍋にたっぷりの湯を沸騰させ、その中に月経カップを入れて、10分程度煮沸消毒する方法。

もう1つは、電子レンジで煮沸する方法で、耐熱容器に水を入れて月経カップを浸し、5分程度加熱します。電子レンジの煮沸には専用の洗浄容器もありますが、100円ショップなどで売っている耐熱容器を使ってもよいでしょう。

そのほか、月経カップ専用の除菌用ミルトンや、水でうすめた家庭用塩素系漂白剤を使って消毒できます。塩素系漂白剤を使用する場合は、各メーカーの説明書などで使えるかどうか、確認してください。

衛生的な保管法

月経カップを保管するときには、煮沸消毒をし、しっかりと乾燥させることが重要です。その後、袋などに収納し、直射日光のあたらない、通気性のいい場所で保管します。収納する際は、密封性の高い容器だとカビの原因となるので不向きです。

また、ゴシゴシ洗ったり劣化したカップは、表面に傷ができるため、汚れが入り込みやすく落としにくくなります。

月経カップの注意点

月経カップには、まったくリスクがないわけではありません。起こり得るリスクを知っておきましょう。

膣の傷

月経カップを挿入するときや、取り出すときに無理すると、膣内や入口を傷つけてしまうことがあります。

アレルギー反応

月経カップの素材によってはアレルギー反応を起こすことがあります。特にポリ塩化ビニル、ラテックス、シリコンはアレルギー反応が起こりやすいようです。アレルギー反応が心配な方は、これらの素材が使われていない月経カップを選ぶようにしましょう。

TSS(トキシックショック症候群)

TSS(トキシックショック症候群)とは、体内で黄色ブドウ球菌などの細菌が産生する毒素によって起こる急性疾患です。タンポンの長時間使用で発症する可能性があることは比較的知られていますが、まれに月経カップでも発症することがあります。

月経カップを使用してTSSにならないようにするためには、カップのメーカーが示している最長使用時間を超えないことです。使用時間内であってもTSSにならないということではないため、あまり長い時間そのままにしておかないようにしましょう。また、素手でカップを膣内に入れるため、どうしても菌がつきやすくなるということも知っておきましょう。

月経カップのトラブルと対処法

月経カップを使いはじめたころは、カップが取れない、痛い、開かないなどのトラブルが生じることがあります。対処法を解説します。

取れない

最初のうち、月経カップを取り出すことに苦労するかもしれません。特に多いのが「ステムがない!」となってしまうこと。カップを取り出しやすくするには、ステムを膣から出す、もしくは手で触れられる部分まで出すことが重要です。ステムを出すには、

・カップが下がってくるように中腰になる
・深呼吸して体の力を抜き、リラックスする
・排便するときのように、骨盤底筋に力を入れていきむ

をやってみてください。
その後は、ステムを軽く引っ張り、カップの上部から真ん中あたりをそっとへこまして抜くと、スムーズに取り出すことができます。

痛い

月経カップを使用して感じる痛みは、挿入時、装着時、取り出すときなどによって対処法が異なります

挿入時の痛みは、カップが十分に濡れていないからかもしれません。また、挿入する向きが悪いと痛みを感じることがあります。カップを水で濡らしてすべりをよくし、背骨に向かって挿入するようにしてください。

装着時の痛みは、多くの場合カップが完全に開いていないからです。カップを膣内でしっかり開くようにしましょう。

取り出すときに痛い場合は、ステム(尻尾)部分を強く引っ張ってしまっているケースがあります。カップは密閉状態になっているので、強く引っ張ると痛みを感じることがあります。取り出すときは、ステムを軽く引っ張り、カップの上部から真ん中あたりをそっとへこまして抜くと、痛みを感じにくくなります。

開かない

月経カップが膣内でしっかり開かないと、経血が漏れたり、違和感が生じます。カップをしっかり開かせるには、

・しっかりと折り込まず、軽く折り込むようにする
・膣内で開きやすい、縁に厚みがあるカップを使う
・カップの下のほうを軽く押してみる

などを試してみてください。

お腹が張る

月経カップをつけているときに、お腹が張るような感じがすることがあります。これは、カップが膣内を圧迫しているからです。カップのサイズが大きい可能性があります。サイズを小さいものに変えて、様子をみましょう。

月経カップをやめた人も…

生理中のさまざまな悩みを解消してくれる月経カップは便利なグッズですが、使ってみて「やっぱり合わない…」と、使用をやめた人もいます。その理由には、

・取り出すときに痛みを感じる
・出し入れするのに時間がかかる
・外出先で洗えない
・トキシックショック症候群のニュースを聞いて、怖くなった

などがあります。
月経カップの使用に問題や不安を感じるようでがあれば、ナプキンやタンポンを使い、しばらく使用をお休みするのもよいでしょう。

記事監修

Kawai
助産師・看護師・保育士
河井恵美

看護師・助産師の免許取得後、大学病院、市民病院、個人病院等に勤務。様々な診療科を経験し、看護師教育や思春期教育にも関わる。青年海外協力隊として海外に赴任後、国際保健を学ぶために兵庫県立大学看護学研究科修士課程に進学・修了。現在はシンガポールの産婦人科に勤務、日本人の妊産婦をサポートをしている。また、助産師25年以上の経験を活かし、オンラインサービス「エミリオット助産院」を開設、様々な相談を受け付けている。

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人気の月経カップのおすすめ

月経カップは、ドン・キホーテやドラッグストアなどでも販売されるようになりました。また通販サイトなら買いやすく、種類も多いのでおすすめです。

ここでは編集部が選んだ人気の月経カップをご紹介します。

フルムーンガール

フルムーンガールは台湾で女性がプロデュースし、デザインした月経カップです。ほかの月経カップとの大きな違いは、かわいらしいすずらんのかたち。先端部分が内側に折れることで、外すときに漏れないつくりになっています。

メルーナ

メルーナはドイツ製の月経カップ。審査の厳しいドイツの医療器具や赤ちゃんの哺乳瓶の乳首にも使用されている医療用TPE(サーモプラスチックエラストマー)でできています。シリコンやラテックスをふくまない低アレルギー性なので、安心して使えます。

ローズカップ

ローズカップは、初の日本製月経カップです。素材はアメリカ食品医薬品局(FDA)登録済みのシリコンを使用。羽の部分を工夫し、厚みがあるので、カップがしっかりと広がります。また、羽にあるくぼみによって、経血を捨てやすくなっています。

月経カップで生理が快適に!

ナプキンやタンポンなどの生理用品でストレスを感じていた人は、月経カップを試してみてはいかがでしょうか。自分に合ったカップを選び、正しい使い方をすると、生理中でも快適に過ごせるようになります。

文・構成/HugKum編集部

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