【GIGAスクール構想のリアル】低学年も一人一台!パソコンやタブレットを授業でどう使う?小学校の先生に聞いてみた!

一人一台端末での学習が本格的にスタートし、タブレットやパソコンを授業で使い始めたという子供も多いのではないでしょうか。実際には、家でタブレットやPCに触れている子供も多いと思いますが、学校ではどのように活用していくのか、保護者は気になるところですよね。

今回は、滋賀県公立小学校教諭の田中直毅先生に、低学年のタブレット活用の具体例を教えていただきました!

低学年のタブレット操作と授業で使うメリット

      低学年はタブレットをどのように使いますか?

田中先生 一人1台タブレットが現実となろうとしている今、低学年でもタブレットを活用することが求められています。

 タブレットを本格的に使っていこうという低学年で、タブレットの操作に求められる技能(以下、タブレット技能)は、次の三つです。

・コンピュータの起動や終了、写真撮影などの基本操作

・電子ファイルの呼び出しや保存

・画像編集・ペイント系アプリケーションの操作

 各々の子供のタブレットに対する状況は、家庭環境に大きく左右されます。そこで、授業で使うために必要なタブレット技能の習得が必要です。私の学級でも、家でタブレットを触ったことのない子供、タブレットを使っていてもOS(コンピュータを動かすためのソフトウェア)が違うため、学校のタブレット操作が分からない子供もいます。学校では、体験をともなって教えることで、着実なスキルの習得をめざします。

       低学年の学習でタブレットを一人一台使うメリットはどんな点ですか?

田中先生 タブレットを一人1台使うことで「簡単に友達の考えと比較できる」というメリットがあります。他にも「教室に持ち込めない物も、写真にして持ち寄れる」というメリットがあります。

タブレットを使った授業を教科別に見てみよう!

一人一台使うことのメリットを活かした授業とは、具体的にはどんなことをするのでしょうか。田中先生の行っている低学年のタブレットの活用術を教科別に見せていただきました。

一年生・算数「これって何文字?」(30より大きな数)

まず大型テレビやプロジェクターを使い、「どんぐりころころ」の歌詞を子供たちに提示します。

この歌を知らない子供がいるかもしれませんので、一度歌って雰囲気を盛り上げます。歌い終わった後に「この歌の歌詞は何文字ですか?」と尋ねます。「123……」と数える子供や「246……」と数える子供が出てきます。「この歌詞の文字数を、工夫して数えましょう」と発問します。

 ▼ペイントツールで考え方を書いてみる

 歌詞の書かれた画像ファイルに、印や線を付けながら数えていきます。ここではロイロノート・スクール(一人1台のタブレット環境での学習に適した授業支援クラウド。意見共有などが簡単にできる。以下、ロイロノート)のペイントツールを使用。このツールで書き込むことで、修正したいときにきれいに消せたり、同じ画像ファイルを複数枚用意しておけば、別の方法で数えたりすることもできます。タブレットを使うメリットですね。

画面上部のペイントツール(鉛筆のアイコン)を指でタップし、ペンの種類を選べば、指先で簡単に書き込むことができる。

▼提出機能で共有する

 個人で考えた方法を、先生に提出してもらいます。一人ひとりの考えを先生がスクリーンに提示し、どの考えが気になったか意見交換することで、友達の考えを理解することができます。工夫して色を使い分けている友達のアイディアを知ることで、他の子供も説明しやすい書き方を工夫するようになります。

一人ひとりの考えを教師がスクリーンに提示

▼別の歌の歌詞の文字数を数える

 ここまでの活動で、より効率的な数え方を理解したら、文字数の多い歌「ゆうやけこやけ」にも挑戦します。よりよい数え方になっていくように学級全体で考えを深めていくことができます。

一年生 & 二年生・国語「登場人物の言葉を考えよう」(スイミー)

「スイミー」(教育出版や東京書籍一年生・光村図書や学校図書二年生)のお話を読んで、スイミーがどのような魚なのかを話し合います。

この物語には、登場人物であるスイミーの挿絵がたくさん使われていますが、スイミーの言葉は、物語後半まで出てきません。そこで、「挿絵に吹き出しを付けて、スイミーの言った言葉を考えよう」と子供たちに伝えます。

▼ 写真に吹き出しを書く

 教科書の挿絵をタブレットで撮影したものに、スイミーが言ったと思う言葉を想像して書き込みます。挿絵画像は、あらかじめ先生が撮影し、ロイロノートで子供たちに配付できるように準備しておく(送る機能を使用)こともできます。吹き出しの言葉は、本文を基に考えます。

 ▼提出機能で共有する

表示された黄色い矢印を指で引っ張り、複数の画像をつなげると、まとめて提出できる。

 複数の挿絵に書き込んだ場合は、矢印で画面をつなぎ、一つにまとめてから先生に提出(提出機能を使用)。みんなの言葉を並べて、友達が本文からどのような印象を受け取ったのかを共有します。場面ごとのスイミーの言葉を並べることで、スイミーの心情の変化も読み取ることができます。

二年生・算数「見付けたよ! こんな形」(丸と三角形と四角形)

タブレット一人1台のメリットには、他にも「教室に持ち込めない物も、写真にして持ち寄れる」ということがあります。ここでは、このメリットを生かして、校舎の周りにある図形を集める活動を紹介します。

まずは、「まる・さんかく・しかく」のそれぞれの図形の大体の形を確認します。学校の周りには、それらの図形がどこにあるのかを予想していきます。

▼「まる・さんかく・しかく」探し&撮影

 タブレットでの撮影方法を確認してから、校舎の外へ出ます。見付けた図形を撮影して回ります。「持ち歩くときは、走らない」というルールを確認します。

図形を見付けた子供は「ここにあったよ。見て見て〜」と、大喜びで先生を呼びますが、全員の対応はできないので、「写真を撮っておいて教室で見せてね」と声かけをします。

提出機能で共有する

この写真の授業では、「さんかく」は他の二つに比べ見付けにくいが、屋根に関係するところに多く使われていることに気付きました。

 教室に戻ってから、ロイロノートを使って「まる」「さんかく」「しかく」の図形ごとに、先生のタブレットへ提出します。友達の発表を通して、自分では気付かなかったところに図形が隠れていたことを発見できます。

今回の活動のように「教室に持ち込めない物でも、写真にして持ち寄れる」というメリットを生かした活動は、他にもあり、一年生の生活で「通学路にある安全の工夫をしている場所を見付ける」授業(例えば、ガードレールや路面標示、標識)や、二年生の算数で「校舎の中にあるかけ算を見付ける」授業(例えば、ロッカーの数、下駄箱の数)などでも活用できます。

身近なものでタブレットに慣れよう

 他にも子供たちの身近なものを利用してタブレットに慣れる機会を増やすことができます。

文房具をタブレットで撮影してみよう

文房具をタブレットで撮影

 

文房具が生きていたら、どんな姿だろう。そんなイメージをもたせて、文房具を撮影します。後にペイントツールで描き込みやすくするために、コピー用紙の上で撮影します。背景が単色のほうが色が映え、最後に大型テレビやプロジェクターで映したときに見やすくなります。

▼ぺイントツールで顔を描く

ぺイントツールで顔を描く

 写真にロイロノートのペイントツールで顔や手足などを描き加えます。文房具の形を生かして生き物を描いてみます。1枚できたら、他の文房具でも挑戦。何枚でも撮影、制作できるところがタブレットのよいところですね。これを繰り返していくうちに、撮影時の焦点の合わせ方やペイントツールの新たな表現方法を習得できます。

▼提出機能で共有する

 作った作品は、発表会で共有します。ロイロノートを使うと、描いた作品をまとめて先生のタブレットに提出できるのでとても便利です。また、作品を並べることもできるので、友達の作品を見て「もっとやりたい!」と子供たちも楽しみながらタブレットに慣れることができます。

体験を通してスキルの習得をしていく

田中先生が紹介してくれた授業では、友達の考えと簡単に比較できたり、教室に持ち込めないものを写真で持ち寄ることができたり、タブレットの活用で学習の幅が広がることがよくわかりわかりましたね。

目的を持って楽しく操作する体験を通して、子供たちはどんどんタブレットの使い方を覚えていくでしょう。「もっとこんな風に使えるよ」と子供の方からアイディアを出すようになるかも!家庭でも、学校でどんな風にタブレットを活用しているか、お子さんとぜひ話してみてくださいね。

 

教えてくれたのは

滋賀県公立小学校教諭
田中 直毅

たなか・なおき。1988年滋賀県生まれ。金沢大学理学部卒業、奈良教育大学教職大学院修了。第52回「わたしの教育記録」新採・新人賞受賞。積極的に研究会に参加し、授業力の研鑽を積んでいる。共著に『小学校ラクイチ授業プラン 低/中/高学年』(学事出版)他がある。

 本記事は『教育技術 小一小二』2020年12月号「ICT教育:低学年向けタブレット端末の基本指導」に掲載されたものを、HugKum編集部で編集したものです。

 

90余年のバックグラウンドを持つ教師応援誌「教育技術」の記事群を母体とした、教育情報メディア。全国の先生たちが、学校や地域の枠を飛び越えて、たくさんの考え方に触れ、自分に合ったやり方を見つけてほしい。教師の多様性を応援しています! https://kyoiku.sho.jp

 

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