暑さが厳しくなるこれからの季節、 子どもの体調管理には気をつけたいですね。 夏によく見られる病気について、 知っておきたいこととホームケアのポイントを 小児科の松浦真里子先生にうかがいました。
夏はこんな病気に注意しよう!
咽頭結膜熱(プール熱)
アデノウイルスが原因で、39~40℃の高熱、目の充血と目やに、のどの腫れと痛みなどの症状が見られ、咳やおう吐・下痢を伴うことも。高熱が長引き、発症から3~4日後にぐったりするケースも多いので、水分補給をしながら全身状態を観察し、つらそうなときは早めの受診を。
ヘルパンギーナ
急に高熱が出て、のどの周りや口の中に小さな水疱ができます(水疱が目立たないケースもあります)。のどの痛みがしばらく続き、唾液を飲み込めずによだれが増えたり、飲食を嫌がったりすることも。水、麦茶、経口補水液などでこまめに水分補給をして、一度受診してからも症状が長引く場合は複数回の受診を。
手足口病
手のひらや足の裏、口の中、ひじ、ひざなどに、中央が白く周りが赤い水疱ができます。発熱やのどの痛みといった症状が強く出ることもあり、足の裏に水疱ができると歩くときに痛がる場合もあります。発症から1か月後くらいに爪がはがれることがありますが、新しい爪が生えてくるので基本的には心配ありません。
伝染性紅斑(リンゴ病)
頬がリンゴのように赤くなり、手足にレース状の発疹が出てかゆみを伴います。熱はあまり上がらないこともありますが、妊婦の感染には注意が必要です。
おたふくかぜ
耳の下からあごにかけての耳下腺が腫れて痛み、よだれが増えて不機嫌になることも。予防接種(任意)をしておくと、かかっても軽症で済むことが多いです。
水ぼうそう
全身に赤い発疹が出て、水ぶくれへと変化します。発症から48時間以内であれば抗ウイルス薬が有効。公費による定期接種で、予防接種が受けられます。
小児科医に聞いた、夏の病気Q&A
Q.熱が出たときの ケアの方法は?
A.太い血管が通っている「首」「わきの下」「ももの付け根」を、保冷剤や冷たいペットボトルなどで冷やしましょう。解熱剤は、原則として小児科で処方されたものを、38・5℃以上で本人がつらそうな場合のみ使うようにします。微熱で機嫌がよければシャワーで汗を流してもかまいませんが、熱が高いときやぐったりしているときは入浴を控え、お湯でぬらしたタオルで体をふくようにしましょう。
Q.のどを痛がるときは 何を食べさせればいい?
A.プリンやゼリー、すりおろしたリンゴなど、冷たくてのどごしがよいものを与えましょう。下痢をしていなければ、アイスクリームでもかまいません。のどを守る働きがあるたんぱく質が含まれる牛乳や乳製品を少しずつ与えるのもよいでしょう。冷たいスープや冷ました味噌汁も水分・塩分が補えておすすめです。熱いものは食べにくいので、おかゆなどは出来立てのものよりも、少し冷ましてから食べさせるようにしましょう。
Q.早めに受診したほうが よいのはどんなとき?
A.水分が十分に取れず、ぐったりしている、おしっこの回数が減る、泣いても涙が出ないといった症状が見られる場合は、脱水のため点滴による治療が必要な場合もあるので早めの受診を。また、熱が高くない場合でもなんらかの症状が4~5日続く場合は受診しましょう。鼻水が続いていて機嫌が悪い、耳を気にする様子が見られるときは中耳炎を起こしているおそれもあるので、小児科か耳鼻科を受診することをおすすめします。
Q.病気が家族にうつらない ようにするには?
A.ウイルスによる感染症の場合、抗菌薬は効かず、症状が治まってもしばらくは唾液や目やに、便からウイルスが排出されることがあります。そのため、「食器・タオル・おもちゃなどは共用しない」「食べ残しを家族が食べない」「目やにをふいたり、おむつを交換したりしたあとはよく手を洗う」といった点を心がけて。外からウイルスを持ち込まないよう、帰宅時の手洗い・うがいも大切です。
松浦真里子先生
埼玉県のファミリータイズクリニック院長。
小児科医として「親子の絆」に寄り添う医療をめざしている。日本小児皮膚科学会などにも所属。
出典:『ベビーブック』