子育てが一段落したら、畑を借りて野菜を育てたいと考えてる人も多いのではないでしょうか。野菜の栽培方法には露地栽培と施設栽培があり、それぞれ向き不向きがあります。露地栽培で作りやすい野菜や、メリット・デメリットを紹介します。
そもそも露地栽培とは?
農業の経験がない人は「露地栽培」といわれても、意味が分からないかもしれません。露地栽培とは、どのような栽培方法を指すのでしょうか。
自然に近い環境下で行う栽培方法
露地栽培は作物をビニールで囲ったり、温室に入れたりすることなく自然に近い状態で育てる方法です。作物の収穫時期に合わせて種まきや苗の植え付けを行い、太陽光や雨水など自然の力を借りて育てます。
昔は露地栽培が一般的で、畑の作物を見れば季節の移ろいを感じられました。施設栽培が増え、1年中新鮮な野菜が手に入るようになった今、自然の恵みを堪能できる露地栽培が、逆に注目を集めています。
施設栽培との違い
野菜をきれいに育てたい人や生産性を高めたい人には、施設栽培のほうが適している場合もあります。施設栽培の特徴もしっかり把握した上で、自分に合う方を取り入れるとよいでしょう。
ビニールハウスなどを利用する栽培方法
施設栽培は、ビニールやガラスでできた「温室」の中で、野菜を育てる農法です。温室には支柱にビニールを張った簡易的なものから、冷暖房が備えられている本格的なものまで、さまざまなタイプがあります。
外気温や日照時間に関係なく、1年を通して野菜づくりを楽しめる点が、露地栽培との大きな違いです。
施設栽培のメリット・デメリット
施設栽培には、以下のようなメリットがあります。
・季節に関係なく好きな野菜を収穫できる
・天候に左右されない
・害虫の心配がほとんどない
・作物の見た目がよくなる
人が室温内の温度や水分量を調節するため、栽培する野菜に最適な環境をキープできます。害虫や日焼けの心配もなく、色やサイズが均一な美しい野菜を育てられるのもメリットです。
ただし温室の維持管理には、それなりにコストがかかります。冷暖房や照明、掃除や水やりにかかる水道光熱費のほかに、台風や大雪などの自然災害による修繕費用が発生するケースもあります。
露地栽培のメリット
初めて野菜づくりにチャレンジするなら、手軽な露地栽培がおすすめです。自然の中での農作業は、子どもにとってもよい経験となるでしょう。露地栽培の主なメリットを紹介します。
栄養素たっぷりのおいしい作物が作れる
露地栽培では、植え付けから収穫まで、野菜の成長ペースに合わせて育てるのが基本です。このため野菜が本来持っている、味や香りを存分に楽しめます。
太陽の光をたっぷりと浴び、すくすくと育った露地栽培の野菜には、栄養素が豊富に含まれています。外気温の変化に応じて甘みが増したり、味が濃くなったりするのも、大きなメリットといえるでしょう。
露地栽培には、大根・ニンジン・ジャガイモ・玉ネギなどの根菜類のほか、キャベツやホウレン草などの葉物野菜が適しています。子どもが苦手な野菜も、露地栽培で収穫したものなら、喜んで食べるかもしれませんね。
広い面積の畑で栽培できる
露地栽培は土に野菜の種や苗を植え付けるだけなので、温室のような設置スペースは不要です。狭い畑でも、土地を目いっぱい使ってたくさんの野菜を育てられます。また広い畑に大きな温室を設置するのも、容易ではありません。露地栽培なら、土地の広さを生かした農業を楽しめるでしょう。
設備コストが安い
露地栽培では、温室の設置費用や維持費がかかりません。極端な雨不足の場合を除いて、水やりしなくてもよいため水道代も安く済みます。
お金をかけずにおいしい野菜を収穫できる点も、露地栽培の魅力といえるでしょう。
露地栽培のデメリット
メリットの多い露地栽培ですが、自然を相手にしているからには、デメリットも覚悟しなければなりません。露地栽培を始める前に、おさえておきたいデメリットを見ていきましょう。
天候や害虫などの被害がでやすい
露地栽培では、長雨・日照り・霜・雪といった自然災害の影響をまともに受けやすい方法です。もうすぐ収穫という段階で台風が来て、台無しになるケースもあるでしょう。
屋外で育てるからには、葉や実を害虫に食べられて収穫できなくなるリスクもあります。おいしく実った野菜は虫も食べるでしょう。小さな子どもがいる家庭では、害虫駆除の薬剤を使用するのもためらわれます。
旬の作物しか栽培できない
露地栽培では野菜の収穫時期を調整できないため、自然に任せる方法になります。夏野菜を冬に作ったり年中同じ野菜を作ったりすることは不可能です。
旬の野菜は収穫時期が重なり、食べ切れなくなる可能性もあります。
露地栽培にチャレンジしてみよう
自然に任せる露地栽培には、人間の力だけではどうにもならない部分がたくさんあります。しかし苦労が多い分、首尾よく収穫できたときの喜びはひとしおです。
露地栽培にチャレンジして、栄養がたくさん詰まったおいしい野菜を作りましょう。
文・構成/HugKum編集部