紙風船のようにふくらんだ袋状の実をつける、フウセンカズラ(風船葛)。フェンスなどに絡みつきながら育つため、グリーンカーテンとしても使え、人気があります。ここではフウセンカズラはどんな植物か、フウセンカズラを種から育てる方法、種の増やし方、グリーカーテンの作り方やポイントをご紹介します。
フウセンカズラ(風船葛)とは
成長が早く、太陽の光を浴びてぐんぐん伸びていく「フウセンカズラ(風船葛)」。育てやすいこともあり、人気があります。
特徴
フウセンカズラ(風船葛)は、つる性の一年草。茎を長く伸ばしていき、フェンスなどに絡みつきながら成長していきます。また厳しい暑さの中でも元気に育つため、グリーンカーテンによく使われます。病害虫に強いことも大きな特徴です。
夏には、緑色がかった白色の小さな花を咲かせ、その後、紙風船のように膨らんだ袋状の実をつけます。実ははじめは薄い緑色をしていますが、枯れてくると徐々に茶色に変わり、中には3粒の種が入っています。フウセンカズラ(風船葛)の種は、黒地に白色のハートのような可愛らしい模様がついています。
植える時期や鑑賞期
フウセンカズラ(風船葛)は種から育てることが比較的簡単です。種は4~5月頃に植えます。5~6月になると苗の本葉が4~5枚ついてくるので、この時期に植え付け(定植)を行います。開花期と鑑賞期は7~9月頃です。
フウセンカズラ(風船葛)とほおずき(鬼灯)の違い
フウセンカズラ(風船葛)は袋状の実がなることが特徴ですが、同じような植物に「ほおずき(鬼灯)」があります。ほおずき(鬼灯)は多年草の植物で、フウセンカズラ(風船葛)とはまったく別の植物。風船のようにふくらんだ部分は、フウセンカズラ(風船葛)は実ですが、ほおずき(鬼灯)はサヤに当たります。
花言葉
フウセンカズラ(風船葛)の花言葉には「自由な心」「一緒に飛び立ちたい」「永遠にあなたとともに」など、恋愛を想像させるロマンチックな言葉がたくさんあります。しかも種にはハートのような可愛らしい模様がついていることもあって、結婚式のお土産にフウセンカズラ(風船葛)の種を添えて贈る方もいるそうです。
フウセンカズラ(風船葛)の種からの育て方
植物の中には、種から育てることは難しいものもあります。でもフウセンカズラ(風船葛)は、種からでも育てやすい植物のひとつです。ここでは、種から育てていく方法をご紹介しましょう。
用意するもの
フウセンカズラ(風船葛)には水はけの良い土が適しています。市販の培養土とプランター、フウセンカズラ(風船葛)の種を用意します。
最適な環境
フウセンカズラ(風船葛)は日当たりの良い場所で育てることが大切です。またつる性の植物ですので、伸びてくるつるを絡ませるためのオベリスク(園芸用の支柱)などを用意しましょう。
種まき
フウセンカズラ(風船葛)の種は、気温が20度くらいになると発芽します。ですので、種まきは寒くなる心配がなくなる4月~5月頃が良いでしょう。種の白い部分を針などで軽く傷つけ、そのまま水に一晩つけてから種まきすると、発芽しやすくなります。数粒の種をまいて、発芽したら元気なものを残して間引きしましょう。
水やり・肥料
鉢植えでも庭植えでも、土が渇き始めたら水やりを行います。またフウセンカズラ(風船葛)は大きく成長していく植物なので、定期的に肥料を与えることが大切になります。元肥を土に混ぜておくほか、追肥を行います。リン酸分とカリ分が多めの緩効性肥料か、液体肥料を利用しましょう。
植え付け
5月~6月頃になり、苗の本葉が4~5枚ついてきたら、植え付け(定植)を行います。20~30cmほどの間隔をあけて、苗をプランターや鉢に植え付けします。
摘心
本葉が5~7枚くらいになってきたら、「摘心(てきしん)」を行います。摘心とは、茎の先をカットすることで芽を取ること。こうすることで、新しい芽「わき芽」が横から出て、つるの数が増えます。
鉢植えや苗から育てることも
種からでも育てやすいフウセンカズラ(風船葛)ですが、初心者の方や不安な方は、鉢植えや苗から育てる方が失敗が少なく、簡単に育てられるでしょう。水はけをよくするために、鉢底に石を敷いて培養土を加えて育てると良いでしょう。
フウセンカズラ(風船葛)の増やし方
フウセンカズラ(風船葛)は実に種ができ、収穫しやすいこともうれしいポイントです。種を収穫して来年、また種まきから楽しむことができます。
種取りの方法
袋状の実がなり、緑色から茶色に変わってきたら、実を収穫できる合図です。袋を割って開くと、中には膜で仕切られた部屋が3つあり、それぞれに種が入っています。つまり、1つの袋から全部で3粒の種を収穫できます。取り出して、乾燥させます。
種の保存法
乾燥させた種は、封筒などに入れて冷暗所で保存することが基本。ですが、一般的に種は湿気や温度、光に弱いため、乾燥剤と一緒に密閉パックなどに入れて、冷蔵庫に保存することもおすすめです。
植え方・育て方
摘心した後、横から出てきたわき芽をネットやオベリスクを使って横に伸ばしていきます。そこから新しい芽が出てきたら、次は上のほうに向けてネットなどに絡ませていきます。そうすることで、きれいなグリーンのカーテンができていきます。
フウセンカズラ(風船葛)のグリーンカーテンの作り方
植物を建物の外壁や窓際でカーテンのように育てるのが「グリーンカーテン」です。植物のカーテンによって日陰ができて、夏の暑い時期でも涼しく過ごせます。冷房費を節約できるので電気代が節約できて地球に優しくエコ、もちろんお財布にも優しくなります。さらに見た目にも涼しげで美しいと、近年人気が出てきています。フウセンカズラ(風船葛)を使ったグリーンカーテンの作り方をご紹介します。
作り方1:フェンスやネットを張る
グリーンカーテンの基礎となるネットやフェンスを用意します。園芸店などにグリーンカーテン用のネットが販売されているので、それらを使うと作りやすいでしょう。そして、ネットやフェンスをグリーンカーテンを作りたい場所に張ります。このネットやフェンスに沿ってフウセンカズラ(風船葛)が成長していくことになります。
作り方2:摘心する
フウセンカズラ(風船葛)をプランターに植え付けて、本葉が5~7枚ほどになったタイミングで摘心を行います。すると横から新しい「わき芽」が出てくるので、それを地面と平行になるように、作り方1で張ったネットやフェンスに絡ませていきます。
作り方3:新しいつるを誘引する
成長段階で適宜、摘心を行うことでわき芽が増えていきます。その後も新しいつるが出てきたら、伸ばしたい方向につるを誘引していきます。グリーンカーテンをきれいに成長させるためには、一部だけに密集しないように、かつ隙間ができないように誘引することがポイントです。
作り方4:たっぷり水やりを行う
グリーンカーテンが大きくなるほど、プランターや鉢の水をどんどん吸収していきます。真夏だと暑さで水分が蒸発し切ってしまうこともあるので、水やりをしっかり行いましょう。
フウセンカズラ(風船葛)を親子で育てよう
暑さにも病害虫にも強く、どんどん生育していくフウセンカズラ(風船葛)。デリケートでこまめなお世話が必要な植物とは違い、初心者でも育てやすい植物のひとつです。それに可愛らしい風船のような実を付けるため、観賞用としても楽しめます。子どもと一緒にフウセンカズラ(風船葛)を種から育ててみると、植物の成長の過程を体験させてあげることができます。ぜひ親子で一緒に、育ててみてはいかがでしょうか?
文・構成/HugKum編集部