黙って人のものを園から持って帰ってくる5歳の娘。何度叱っても繰り返します。【愛子先生の子育てお悩み相談室】

子育ては日々悩みの連続ですね。保育者歴47年、常に子どもに寄り添い、ママたちからの信頼も厚い自主幼稚園「りんごの木」の柴田愛子さんが、豊富な経験を元に、悩めるお母さんにアドバイス。

黙って人のものを園から持って帰ってくる5歳の娘。ダメだと諭しても平気でウソをつく娘の心がわかりません。

5歳の娘が、先日保育園からキラキラシールが貼ってあるメモやシールを持って帰ってきました。覚えがないものだったので、担任の先生に聞いたら園のではないとのこと。娘にどうしたのか聞いたら、最初はわからないと言っていたのですが、ポツポツと、あるお友達からもらったと言いました。
私は「お友達の大事なものだから、あげるって言われても、『ありがとう。でももらえないよ』と言って受け取らないでね」と話しました。娘もそうすると約束してくれました。

ですが、その次の日に、また、たくさんシールを持って帰ってきました。私は保育園での、親が知らないところでのそのような物の譲渡は良くないと思っています。娘も欲しいとしつこく言ってるのかもしれませんお友達があげると言っているのかもしれません。シールを返すと私と約束したにも関わらず、その日の夜と次の日の朝に、置いておいたシールを、私の目を盗んで使ってしまっていました。私も強く怒ったのですが、全くいけないこととは思っていないようです。
強い口調だけでなく、つい手も出てしまいました。何も伝わってないことが悲しく、嘘をついたり隠したりするので娘の言葉の何を信じていいかわかりません。

また数日後、誰かが他の誰かに用意した手紙を持って帰ってきてしまい、自分のもの以外は持ち帰らないことや娘がしていることは泥棒だよと話をしました。担任の先生にこのような話をしたところ、園でも廃材を持って行こうとしたり、誰かが書いているものや作ったものを羨ましがり欲しそうにする姿があると話がありました。ただ特別なのものではなく、みんなが使えるものを欲しがるとのことでした。悪いことをしているのをわかっているようで、大人の視線を確認しているとのことです。
グッと堪えることができず、何度も同じようなことを繰り返してしまう娘の心がわかりません。

実家に住む母子家庭で、娘との関係も良くありません。私も自分のことを優先で、娘のことはほったらかしにしてしまいます。遊ぶ時間、親子で関わる時間もほぼなく、たまに一緒にお風呂に入った時や一緒に過ごす時も大概イライラしてしまって、暴言を浴びせてしまいます他の子と比べてしまうこともよくあります。娘に対して、どうしても悪いことをしているというような話し方をしてしまい、雰囲気もそのようになってしまうので、娘もそれを感じとり何とか隠そうとします。娘にとって何でも話せる相手になりたいのに、共感的に関われず理想からかけ離れています。
今の娘の姿が、エスカレートしてしまうのではないか、何とかして止めたい、娘にわかって欲しいのです。どのように接したらいいでしょうか。(5歳の娘をもつシングルマザー)

 

娘さんはバレて叱られてホッとしているはず。その度に根気よく叱って。育て方を振り返って悔やむのはやめましょう

やってはいけないと、何度言ってもわからない。どうして?と悩んでいくと、自分の育て方や接し方がいけなかったのではと自己嫌悪。
しかし、こういうことって毎年おこります。

物欲にブレーキがかかる時が必ず来ます


物欲が強くなるのです。それぞれに所有者があってと頭ではわかっているけど、感情のブレーキがきかない。欲しい気持ち優先。
これがコンビニのお菓子なんて事も多々あります。

ちょっと後ろめたさもあるから周囲の気配をみます。けど、未熟なのでバレてしまいます。でも、このまま盗癖を持ったり、物欲にブレーキがかからないで育つことはまずありません。
お母さんのお財布からお金を取り続けた子がいます。一回や二回ではおさまりません。いつのまにか鎮まっていきます。今はちゃんとした高校生です。
物とお金のと関係、物と人の気持ちの関係に気づいていきます。感情にブレーキをかけられるようになっていきます。

くよくよ悩まず、発覚したら叱る!の繰り返しで対応しましょう


ブレーキをかけられるようになるのは5歳くらいからと言われています。まだまだブレーキの効きが悪いです。
その度に、叱る以外にないと思います。バレて叱られてホッとする。これの繰り返しです。バレると子どもはホッとするんですよ。悪いって感じてはいますからね。だから、うそつくんです。


親子関係や育て方を振り返るのはやめましょう。あなただって必死にやってきているんですから。実家のご両親がいるから、子どももあなただけに向き合わずに、ジジババの隙間もあるでしょう。
深く悩まず、発覚したら叱る!と、シンプルにどうぞ。

教えてくれたのは

柴田愛子|保育者・自主幼稚園りんごの木代表

保育者。自主幼稚園「りんごの木」代表。子供の気持ち、保護者の気持ちによりそう保育をつづけて36年。小学生ママ向けの講演も人気を博している。ロングセラー絵本『けんかのきもち』(ポプラ社)、『こどものみかた』(福音館書店)、『あなたが自分らしく生きれば、子どもは幸せに育ちます』(小学館)など、多数。

イラスト/海谷泰水

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