ポチャポチャとした体はかわいいけど、ずっと太ったままなの? 離乳食をよく食べるから、太りすぎではないか心配…。赤ちゃんの太りすぎは心配になります。この記事では、赤ちゃんの体重の増えすぎ、太りすぎについて解説します。
まずは、赤ちゃんの発育についての指針や月齢別の体重、ミルクは赤ちゃんの太りすぎの原因となるのか、さらには、赤ちゃんの太りすぎを防ぐ離乳食の内容などを紹介します。また、赤ちゃんの体が締まってくる時期についても解説します。
目次
赤ちゃんの太りすぎが気になる!肥満についてチェック
赤ちゃんが母乳やミルクをたくさん飲んでくれると、うれしいですよね。その反面、「太りすぎないかな?」と気にもなります。まずは、赤ちゃんの肥満の指針や平均的な体重について解説します。赤ちゃんの太りすぎが気になるママ・パパはぜひチェックしてみてください。
赤ちゃんの太りすぎには指針がある?
赤ちゃんの身長、体重といった身体の発育には指針があります。この指針を使うと、太りすぎかどうか判断できます。
乳児身体発育曲線
「乳児身体発育曲線」は、赤ちゃんの月齢ごとの体重と身長の目安を知るためのグラフです。母子健康手帳にも掲載されているので、ご存知の方も多いと思います。このグラフは、厚生労働省が10年ごとに全乳幼児を対象に行っている全国調査をもとに作られています。
赤ちゃんの体重と身長を測って、グラフに記入してみてください。標準域に入っていれば、赤ちゃんは順調に成長していると判断できます。
カウプ指数
カウプ指数は、生後3ヶ月から5歳までの乳幼児について、肥満ややせなどの発育の程度を表す指数です。カウプ指数は、以下の計算式で算出できます。なお、判定基準に男女差はありません。
カウプ指数=体重(g)÷(身長(cm)の2乗)× 10
カウプ指数が、乳児では20以上、1歳6カ月児では19以上、3歳では18以上が肥満の目安となります。ただし、性別や細かい月齢までは考慮されていないので、すぐに食事制限などが必要というわけではありません。
参考:愛知県小児科医会「保育園や幼稚園に通う 子どもたちの健康のために 第3版」
数値が指針から外れているとき
もし、数値が指針から外れてしまっている場合でも、あまり心配する必要はありません。なぜなら、赤ちゃんの成長は個人差が大きいためです。
体の成長が早い赤ちゃんもいれば、ゆっくりの赤ちゃんもいます。また、成長曲線やカウプ指数はあくまでも成長の目安です。成長するにしたがって、体重も標準値になっていくことはよくあります。
ただし、体重や身長の実測値が横ばいになっている、身長が伸びずに体重だけが増えるなど、気になる点がある場合は定期健診のときに医師に相談するか、小児科を受診してください。
月齢別の体重の平均値
月齢別の赤ちゃんの体重の平均値を紹介します。平均値と比べてみて、太りすぎ、体重が急に増えすぎなどをチェックしてください。
月齢別の赤ちゃんの体重はどのくらい?
月齢別の赤ちゃんの体重の平均値(中央値)です。数字は、厚生労働省が10年ごとの全国調査をもとに算出したものです。
男子
新生児 2.98kg
生後1ヶ月~2ヶ月 4.78kg
生後2ヶ月~3ヶ月 5.83kg
生後3ヶ月~4ヶ月 6.63kg
生後4ヶ月~5ヶ月 7.22kg
生後5ヶ月~6ヶ月 7.67kg
生後6ヶ月~7ヶ月 8.01kg
生後7ヶ月~8ヶ月 8.30kg
生後8ヶ月~9ヶ月 8.53kg
生後9ヶ月~10ヶ月 8.73kg
生後10ヶ月~11ヶ月 8.91kg
生後11ヶ月~12ヶ月 9.09kg
女子
新生児 2.91kg
生後1ヶ月~2ヶ月 4.46kg
生後2ヶ月~3ヶ月 5.42kg
生後3ヶ月~4ヶ月 6.16kg
生後4ヶ月~5ヶ月 6.73kg
生後5ヶ月~6ヶ月 7.17kg
生後6ヶ月~7ヶ月 7.52kg
生後7ヶ月~8ヶ月 7.79kg
生後8ヶ月~9ヶ月 8.01kg
生後9ヶ月~10ヶ月 8.20kg
生後10ヶ月~11ヶ月 8.37kg
生後11ヶ月~12ヶ月 8.54kg
生後すぐには、3kg程度の体重も、月齢が進むごとに増え、1歳になるころには9kg前後にもなります。
生後2ヶ月で体重6キロ
生後2ヶ月ころの赤ちゃんは、手首や足首にまるで輪ゴムを巻いたようなしわができ、ポチャポチャとした体つきをしています。
2〜3ヶ月の赤ちゃんの体重の平均値は、厚生労働省の調査によると、男子が5.83kg、女子が5.42kgです。
生後4ヶ月で体重7キロ前後
生後4ヶ月ごろから赤ちゃんの体重はゆるやかに増えていくようになります。生後4ヶ月~5ヶ月の体重の平均値は、男子が7.22kg、女子が6.73kgです。
生後6ヶ月で体重8キロ前後
生後6~7ヶ月の赤ちゃんの体重の平均値は、男子が8.01kg。女子が7.52kg。これは、生まれたときよりも2倍以上の体重です。
生後8ヶ月で体重8~9キロ
生後8ヶ月は、卒乳する赤ちゃんも多くなり、離乳食も進む時期です。その一方で、体重の増えかたはゆるやかになり、このころの体重の平均値は、男子が8.53kg、女子が8.01kgです。
生後10ヶ月で体重9キロ前後
生後10ヶ月になると、運動量が増えるため、体重が増えない赤ちゃんもいます。このころの体重の平均値は、男子が8.91kg、女子が8.37kgです。
ミルクと太りすぎの関係
ミルクを与えすぎると、赤ちゃんは太ると思っていませんか。それは誤解です。ミルクは、ミルクの缶に書かれている規定量を参考に、赤ちゃんの様子を見て飲ませることで、赤ちゃんの成長に必要な分を摂取できるように作られています。
赤ちゃんの体重が標準より多いからといって、薄めたりせずに、適正な濃度と量を飲ませてあげてください。ただし、飲みたがるだけあげていると、太ってしまうこともあります。
離乳食のあげかたで赤ちゃんの太りすぎは防げる?
離乳食が始まると、体重が増加し、太る赤ちゃんもいます。ただし、カウプ指数が15~19の間であれば、心配する必要はありません。様子を見ましょう。もし、カウプ指数が19以上であれば、離乳食の内容や食べさせ方を工夫してください。
離乳食の内容の工夫
離乳食の内容を少し工夫するだけで、太りすぎを防げます。離乳食を作るとき、与えるときに、次のことを行ってみましょう。
・野菜や汁ものを増やし、離乳食のかさを増やす
・味を薄味にする
・固さや大きさを変える
・一口の量を減らし、ゆっくり食べさせる
・ゴックンと飲み込んだことを確かめてから、次の一口を与える
離乳食の量の工夫
離乳食を欲しがるだけ与えてしまうと、太る可能性があります。食欲旺盛で、与えられた分をすべて食べてしまう赤ちゃんもいます。
そうした場合は、一回に与える量を決めることがおすすめ。適正量を与えるようにしましょう。
泣いたら何か食べさせる、をやめる
赤ちゃんが泣いたときに、授乳したり、何かを食べさせて泣き止ませようとしていませんか。これを繰り返すと、「泣くと食べ物がもらえる」と思ってしまう可能性があり、くせになってしまいます。
泣き止ませたいからといって、何かを食べさせたり、授乳することはやめましょう。どうして泣いているかを探ったり、あやしたりしてみてください。
体はいつから締まってくる? ぽっちゃりのピークは?
赤ちゃんの体は、成長するにつれてポチャポチャした体つきから、締まった体つきになっていきます。いつごろから体がしまってくるのか、ぽっちゃりのピークはいつなのか、解説します。
運動量が増えると自然に締まってくる
赤ちゃんは、ハイハイしたり、つかまり立ちしたり、歩き出したりすると、運動量が増えて体が締まってきます。ただし、体が締まってくる時期は、赤ちゃんひとりひとりで異なります。
ちなみに、ハイハイするようになるのは、生後8ヶ月くらいからです。
太ってる時期のピークは生後6ヶ月~10ヶ月
ポチャポチャとした、赤ちゃんらしい体つきのピークは、生後6ヶ月~10ヶ月です。この時期以降は、体をたくさん動かすようになって運動量が増え、締まった体つきになります。
赤ちゃんの体は自然に締まっていくから心配しないで
赤ちゃんの体重の増え方は個人差が大きいものです。運動量が少ないうちは、ぽっちゃりとした体つきでも、ハイハイ以降は自然と締まっていきます。カウプ指数19までは心配する必要はありません。どうしても気になるときは、医師や専門家に相談しましょう。
記事監修
河井恵美
看護師・助産師の免許取得後、大学病院、市民病院、個人病院等に勤務。様々な診療科を経験し、看護師教育や思春期教育にも関わる。青年海外協力隊として海外に赴任後、国際保健を学ぶために兵庫県立大学看護学研究科修士課程に進学・修了。現在はシンガポールの産婦人科に勤務、日本人の妊産婦をサポートをしている。また、助産師25年以上の経験を活かし、オンラインサービス「エミリオット助産院」を開設、様々な相談を受け付けている。
文・構成/HugKum編集部