乳幼児のたばこの誤飲に注意!たばこを喫煙する家庭の2割で事故が

消費者庁は、家庭内における、乳幼児のたばこの誤飲実態を把握するため、アンケート調査を実施。その結果、保護者がたばこを喫煙する家庭の2割で乳幼児がたばこや吸い殻を口に入れたまたは入れそうになったことがある、誤飲しそうになった年齢は0~2歳が多いこと、約5割の保護者が乳幼児の前で喫煙していることなどが分かったそう。さらに詳しくご紹介します。

乳幼児のたばこの誤飲実態調査

消費者庁によると、実施期間は令和3年1月 29 日(金)~1月 31 日(日)、調査方法はインターネットで実施されました。

対象者は全国の 20~60 歳代、0~6歳の子どもと同居しており、現在たばこを喫煙する人を抽出した調査です( 有効回答者数 500 人)。

調査結果のポイント

●保護者が喫煙する家庭の2割で、乳幼児がたばこや吸い殻を口に入れた又は入れそうになったことがある。

●乳幼児が誤飲しそうになった割合は、加熱式たばこの方が高かった。

●誤飲しそうになった年齢は0~2歳が多い。

●3割近くの家庭でたばこや灰皿が乳幼児の手が届く所に置かれている。

●約5割の保護者が乳幼児の前で喫煙している。

●テーブルの上のたばこや灰皿にあった吸い殻を口にしている乳幼児が多い。

子どもが誤ってたばこを食べたり、ニコチンが溶け出した液体を飲んだりすると中毒を起こす危険性があります。

子どもがたばこや吸い殻を誤飲することがないよう、周囲の大人が以下の点に注意することが必要です。

たばこを誤飲しそうになった経験

調査の結果を詳しく見てみると、子どもが「口に入れたことがある」と「入れかけたことがある」を合わせると、たばこでは94 人、吸い殻では82 人の回答。

たばこか吸い殻のいずれかを誤飲しそうになった子どもは100 人と、全体の2割に当たります。

さらに、誤飲はたばこのタイプ別で見ると、たばこ、吸い殻いずれにおいても、加熱式たばこの方が高いことが分かります。

誤飲しそうになった経験 たばこ(左) 吸い殻(右)※消費者庁【公式】サイトより

誤飲しそうになった年齢は1歳が最も多い

誤飲しそうになった年齢が分かる94 人を見ると、1歳が34 人と最も多く、2歳27 人、0歳20 人と続き、2歳以下が多いことが分かりました。(複数回答)

誤飲しそうになった年齢(複数回答)※消費者庁【公式】サイトより

主な事故事例

消費者庁・独立行政法人国民生活センターに、医療機関ネットワーク事業*を通じて寄せられた事故情報から、主なたばこの誤飲事例を紹介します。

*医療機関ネットワーク事業とは、参画する医療機関(令和2年10 月1日時点で30 機関が参画)から事故情報を収集し、再発防止にいかすことを目的とした消費者庁と独立行政法人国民生活センターとの共同事業(平成22 年12 月運用開始)。ただし、医療機関数は変動している。

【事例1/使用前の加熱式たばこ】

朝、一人で起き出して、リビングで遊んでいた様子。保護者は隣の部屋で眠っていて見ていなかった。30 分後に麦茶を飲ませたら、すぐに嘔吐して茶色いものが出てきたが、麦茶だと思っていた。2時間後に2度目の嘔吐があり、床にたばこのフィルターが落ちていることに気付いた。いつもはリビングの出窓に置いているが、たまたま棚の上に置いていたたばこに手が届いてしまったようだ。加熱式たばこの箱に1本残っていたが、もう1本がなくなっていてフィルターだけが床に落ちていた。(令和元年5月、1歳男児、要入院)

【事例2/加熱式たばこの吸い殻】

吸った後の吸い殻を詰めた加熱式たばこの空き箱を、たまたまリビングのごみ箱に捨てていた。保護者が着替えるために少し目を離した間、リビングに子どもが一人でいた。保護者が戻るとごみ箱が倒れていて、たばこが床に散らばっていて、子どもの手にもたばこの葉がついていた。すぐに口の中を見ても、たばこの葉は特に見当たらなかったが、誤飲を疑って受診。 (平成31 年3月、0歳男児、要通院)

【事例3/使用前の紙巻たばこ】

保護者が家事で目を離した2~3分の間に、年上の子と別室で遊んでいた子どもが、保護者の鞄からたばこを箱ごと取り出し、中身を出して口に1本くわえていた。床にはたばこの葉が散乱していた。指を入れて1回嘔吐させ、心配で救急を受診した。(平成31 年3月、1歳男児、即日治療完了)

【事例4/たばこが浸っていた液体】

玄関に置いているたばこの吸い殻入れに使用していたコーヒー缶を飲んだと、本人が話した。保護者や年上の子は別の部屋にいて見ていない。たばこの臭いがして、吐き気があるため受診。胃の洗浄後、牛乳を飲ませて3時間経過観察を行う。ニコチン中毒の症状がないため帰宅。 (令和元年11 月、2歳男児、即日治療完了)

【事例5/外出時】

保護者と散歩している時に、ベンチの下に落ちていた吸い殻を口に入れている様子があった。食べたかもしれないと思い、口の中に手を入れたら、たばこの中身と包み紙が出てきたため受診。 (令和2年2月、1歳男児、治療を必要としない)

事故防止のためのアドバイス

アンケート調査によると、保護者がたばこを喫煙する家庭では、子どもがたばこや吸い殻を誤飲した経験があるとの回答が500 人中100 人と2割にのぼりました。

特に、加熱式たばこにおいて、たばこ、吸い殻共に誤飲しそうになった割合が高い結果にありました。子どもが誤ってたばこを食べたり、ニコチンの溶け出した液体を飲んだりすると中毒を起こす危険性があります。子どもがたばこや吸い殻を誤飲することがないよう、周囲の大人が以下の点に注意することが必要です。

(1)家では禁煙を心掛け、子どもの目の前でたばこを吸わないようにしましょう。
子どもの前でたばこを吸わないという人が約半数にとどまることが、アンケート調査から分かりました。他方で、自宅では吸わない、吸い殻を捨てない、という人もいました。

(2)子どもの手の届く場所にたばこや灰皿などを置かないようにしましょう。
たばこや吸い殻の誤飲は、テーブルの上や灰皿に置かれたもので多く発生していました。アンケート調査によると、子どもの手の届く所に置かないようにしているという人が約7割にとどまることも分かりました。ただし、バッグや鞄の中、棚の上など高い所、引き出しの中などにしまっているつもりでも、子どもの成長に伴い手が届くようになったり、開けられるようになったりします。油断をしないで、たばこは子どもの手の届かない場所に保管し、吸い殻や灰皿も喫煙後すぐに子どもの手の届かない場所に片付けましょう。中でも、加熱式たばこは火を使っていないために、そのままごみ箱に捨てられる傾向にあるため、吸い殻を捨てる場合はごみ箱を置く場所にも注意したり、ビニール袋などに入れて口を縛るようにしたりしましょう。特に、0~2歳の乳幼児がいる家庭では置き場所など取扱いに注意をしてください。

(3)飲料の缶やペットボトルを灰皿代わりに使用することはやめましょう。
残っている飲料にニコチンが溶け出した灰皿の液体などは、ニコチンが特に吸収されやすくなっているため危険です。たばこや吸い殻の誤飲が多い0~1歳児に対して、2歳以上の子どもでは大部分がたばこの浸っていた液体の誤飲でした。たばこが捨てられていると知らずに口にする事故を防ぐため、周囲の大人が飲料の空き容器を灰皿代わりに使用して吸い殻を捨てることは絶対にやめましょう。

誤飲した場合の対処法

たばこが浸っていた液体を飲んだ場合、普段と違う様子がある場合は、何も飲ませず、直ちに医療機関を受診しましょう。

乳幼児がたばこを誤飲した場合は、口の中を確認してたばこがあるようなら取り出します。水や牛乳などは飲ませないでください。実際に誤飲した場面を見ていないために誤飲した量が分からない、というような場合は医療機関や公益財団法人中毒情報センターに電話で相談することもできます。

詳しくは消費者庁のサイトをチェック>>

参考:消費者庁公表資料「乳幼児のたばこの誤飲に注意しましょう!」

文・構成/HugKum編集部

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