「羽」「匹」と同じように「頭」も使われています
ウサギは「わ(羽)」で数えるのが正しい、と教わった人も多いかもしれませんね。最近は、別の数え方もあるんです。
ウサギは鳥でもないのに「羽」と数える理由として、昔は獣 (けもの) を口にすることができなかったので、二本足で立つことが多いウサギを鳥だとこじつけて食べたためだとか、ウサギの大きな耳が鳥の羽のように見えるためだとかいった説を聞いたことがあるでしょう。実際には諸説あって、その理由はよくわからないのです。
「匹」は牛や馬を数える単位だった
最近では、動物園やペットショップなどでは、ウサギを「匹」と数えているところもけっこうあると思います。
「匹」は古くはウシやウマなどを数えるときに使われていましたが、のちに小動物を数えるときにも使うようになりました。ですので、イヌやネコはもちろんのこと、ウサギを「匹」で数えても、まったく問題ありません。むしろ、今はその方がわかりやすいと思います。
また、ペットショップなどでは、ウサギを「頭(とう)」と数えているところもあるかもしれません。「頭」も「匹」同様、動物を数えるために古くから使われてきた語ですので、ウサギを数えるときに使っても間違いではありません。
これはあくまでも私の考えですが、ウサギを数えるときの優先順位は、現在では、匹>羽>頭 の順になるような気がします。
記事執筆
辞書編集者、エッセイスト。元小学館辞書編集部編集長。長年、辞典編集に携わり、辞書に関する著作、「日本語」「言葉の使い方」などの講演も多い。文化審議会国語分科会委員。著書に『悩ましい国語辞典』(時事通信社/角川ソフィア文庫)『さらに悩ましい国語辞典』(時事通信社)、『微妙におかしな日本語』『辞書編集、三十七年』(いずれも草思社)、『一生ものの語彙力』(ナツメ社)、『辞典編集者が選ぶ 美しい日本語101』(時事通信社)。監修に『こどもたちと楽しむ 知れば知るほどお相撲ことば』(ベースボール・マガジン社)。NHKの人気番組『チコちゃんに叱られる』にも、日本語のエキスパートとして登場。新刊の『やっぱり悩ましい国語辞典』(時事通信社)が好評発売中。