正しい畳の掃除方法は? 基本から汚れの種類別の対処方法までをまとめ

畳の部屋にいると、い草のよい香りに癒され伸び伸びとくつろげます。きれいに保つためには定期的なお手入れが必要ですが、カーペットやフローリングの掃除方法とは異なります。畳を傷つけないためにも、正しい畳掃除方法をおさらいしましょう。

畳掃除の基本

畳は調湿性能に優れた床材です。湿度の高い梅雨や夏の時期には湿気を吸収し、乾燥する冬の時期には湿気を放出して乾燥を防いでくれます。

しかし、畳はお手入れが難しいというネガティブなイメージを持っている人もいるかもしれません。確かに畳の掃除は、カーペットやフローリングの掃除方法とは異なります。とはいえ、畳掃除の基本さえ知っておけば清潔に保つことができるのです。

ほうきや掃除機でゴミを取り除く

まずは、ほうきや掃除機で畳の上のゴミを取り除くことから始めましょう。その際に気を付けたいポイントは「畳の目に沿って掃除すること」です。畳の目に逆らってほうきを掃いたり、掃除機をかけたりすると、畳が傷ついてしまいます。また、畳の目に沿って掃除することで、隙間に挟まったゴミも取り除けるので効率的です。

多くの家庭では、ほうきよりも掃除機を使うことが多いかもしれません。しかし畳の場合、掃除機では十分にゴミを吸い上げられないことがあるため、ほうきでゴミをかき出す方法がおすすめです。ほうきを使う際は、小刻みに動かしながら掃くと小さなゴミもかき出せます。畳はフローリングよりもゴミを取り除きにくいので、1畳につき40~60秒ほどの時間をかけるイメージを持つとよいでしょう。

表面の汚れは乾いた雑巾で拭く

ほうきや掃除機で畳の上のゴミを取り除いたら、表面の汚れは雑巾で拭きます。畳の表面は、知らず知らずのうちに皮脂で汚れていることがほとんどです。

畳は水分を吸収しやすいので、基本的には乾拭きが適しています。どうしても乾拭きでは汚れが落ちない場合は、固く絞った雑巾で水拭きし、乾拭きで畳の水分を丁寧に拭き取りましょう。週に1回程度でよいので、畳の表面を乾いた雑巾で拭くと清潔な状態を保て、畳の劣化を遅らせることができます。

念入り掃除ならクエン酸を使用

大掃除のとき、念入りに畳掃除を行いたいなら、クエン酸を用意しましょう。水とクエン酸を混ぜて「クエン酸水」を作ります。そのクエン酸水に雑巾を浸して固く絞り、畳の表面の汚れを拭き取ります。その後は乾いた雑巾で、畳に水分が残らないようにお手入れするのがポイントです。

ただし青さの残る新しい畳には、クエン酸水の掃除はあまりおすすめできません。クエン酸により、畳の色があせてしまうことがあるからです。畳が古くなり、汚れが目立ってきたときにクエン酸を使うようにしましょう。

畳の汚れ別の対処法

畳を長く使っているとカビが生えたり、畳の目に汚れが詰まったりすることがあります。そうなると掃き掃除や乾拭きでは、汚れを落としきれません。カビの発生や目詰まりなど、汚れのタイプ別に正しい掃除方法を紹介します。

カビの発生には「エタノール」

畳は湿気を吸いやすい床材のため、湿度の高い梅雨や夏の時期にはカビが生えてしまうことがあります。「カビが生えたら交換しないといけないのでは?」と思うかもしれませんが、少しのカビなら比較的簡単に取り除くことができます。

用意するものは「エタノール」です。エタノールは「無水エタノール」と「消毒用エタノール」の2種類がありますが、無水エタノールに消毒作用はありません。畳掃除の際は、消毒用エタノールを使用しますが、希釈する必要があります。エタノール3に対して水7で薄めて、空のスプレーボトルに入れましょう。

その手間が面倒なら、もともとスプレーボトルに入っている消毒用エタノールがおすすめです。消毒作用があるので、テーブルやまな板を拭いて清潔にするときにも使えます。

このエタノールをカビが発生している場所に吹きかけて、歯ブラシやたわしなどで優しく擦ります。この際、畳を傷つけないように気を付けてください。擦り落としたカビは掃除機で吸い取ります。仕上げとして、きれいになった畳にエタノールを吹きかけておくと除菌ができ、カビの再発生を予防してくれるでしょう。最後に、乾拭きして畳の水分を拭き取れば完了です。

畳の目に詰まった汚れには「塩」

畳の目に詰まった汚れには「」が効果的です。汚れている部分に塩をまき、歯ブラシで擦るだけなので手軽に掃除ができます。

意外に思われるかもしれませんが、塩の粗い粒子が繊維の間に入り込み、汚れが浮き上がる仕組みです。最後に乾いた雑巾で汚れを拭き取れば、畳がきれいになります。い草が変色する心配もなく、ダニや雑菌の餌にもならないので、安心して使用できます。

飲み物・調味料のシミには「小麦粉」

飲み物や調味料などを畳の上にこぼしてしまったときは「小麦粉」の登場です。こぼした場所に小麦粉を適量振りかけて、畳の目に沿って歯ブラシで擦ります。そうすると飲み物や調味料などの水分を小麦粉が吸収し、ダマになって現れます。あとは掃除機で吸い取れば完了です。

それでもまだシミが残っている場合は、水でぬらして固く絞った雑巾でたたきながら拭き取ります。拭き取ったあとは、畳をよく乾燥させましょう。

畳掃除をするときの注意点

畳はカーペットやフローリングと比べて、デリケートな素材でできています。きれいな状態で長持ちさせるためには、掃除の際に注意しなければならない点がいくつかあります。畳掃除の際のポイントを三つ紹介します。

畳は水分に弱い

とにかく畳は水分に弱い素材です。びしょぬれの雑巾で水拭きしたり、水をこぼしたまま放置したりしてはいけません。水分を含みやすく、厚みもあるため浸透してしまい、カビの発生につながります。

畳を拭くときは乾拭きが基本です。もし乾拭きでは汚れが落ちない場合は、固く絞った雑巾で拭いて、最後に必ず乾拭きしましょう。

粘着クリーナーやロボット掃除機はNG

コロコロと呼ばれることも多い、粘着クリーナーは畳掃除に適していません。編んでいるい草の表面が傷つき、ほつれや毛羽立ちの原因になってしまいます。最近ではロボット掃除機を使う家庭も増えてきましたが、こちらも畳にはあまり向いていません。畳の目に沿って掃除するというわけにはいかず、縦横無尽に走り回って畳を傷つけてしまう可能性があるからです。畳の掃除はほうきや掃除機、乾いた雑巾が基本です。

重曹は変色の原因になる

畳の汚れによってはエタノール、塩、小麦粉を掃除に使用しますが、アルカリ性の重曹はNGです。家の中のさまざまな掃除に使えて、体にも環境にも優しい重曹ですが、い草を変色させてしまいます。

同じ理由で、セスキ炭酸ソーダも畳掃除には使ってはいけません。念入りに掃除したい場合は、畳専用の洗剤かクエン酸を使うようにしましょう。

畳を長持ちさせるコツ

最後に、畳を長持ちさせるコツを紹介します。畳は張り替えることもできますが、できるだけきれいな状態で長持ちさせたいものです。これから紹介する二つのことを意識するようにしましょう。

畳の上に物を置かない・敷かない

畳の上にタンスやベッドなど重い家具を置きっぱなしにすると、畳が凹んでしまうので気を付けましょう。

また、重い家具は頻繁に動かさないため、その部分だけ湿気がたまり、カビが生えてしまうこともあります。そんなときに活用したいのが、耐震用のマットや凹み防止のアイテムです。比較的安価で売られているのでチェックしてみてください。

湿気をため込まないようにする

梅雨や夏の時期は、エアコンや除湿機を使って湿気を取り除くようにしましょう。

もし畳がぬれたり湿気がこもっていたりしたら、畳を上げて風通しをよくし、4~5時間乾燥させることが効果的です。畳の縁の角に、目打ちかドライバーを入れると持ち上げられます。力がいるので頻繁に行うのは大変ですが、畳を乾燥させたいなら試してみるとよいでしょう。

普段は定期的に換気をして、湿気をため込まないようにしましょう。

正しい畳掃除で長く使い続けよう

畳の部屋はゴロゴロしたり、くつろいだりすることが多い分、肌と接する表面はどうしても汚れやすくなります。しかし、ほうきや掃除機、雑巾を使って掃除するだけでも十分にきれいな状態が保てます。もし汚れやカビが発生しても、早めに対処すれば長く使うことができます。ぜひ紹介した掃除のコツを実践してみてください。

文・構成/HugKum編集部

編集部おすすめ

関連記事