「よい親」の条件ってなんだろう?時には立ち止まって考えたい【井桁容子先生のお悩み相談】

子供にとってよいママ、パパとは?

周りからの評価より 子供に目を向けて

身近な人から「よいママ」「よいパパ」と言われるのは、うれしいことかもしれません。でも、ほめ言葉のように聞こえる「よい」は、実は評価の言葉です。周りからよい評価を得たい、という思いは、親にとって大きなプレッシャーになります。

「何か」ができるだけが評価ではない

「よい親」って、なんでしょう。よい子を育てる親のこと? では、「よい子」ってなんでしょう。勉強ができる子? ケンカをしない子? きちんとお礼が言える子?

今の社会には、「何かができる子」が「よい子」と評価される傾向があります。そのため保護者も、「今できるかどうか」にばかり注目してしまいがちです。でも、子育てをする上で忘れたくないのが、未来を見ること。子どものためには、「今」だけでなく、「やがてどうなるか」を考えることも必要です。

たとえば、子供が花びんをひっくり返し、乾いたばかりの洗濯ものを濡らしてしまったとします。「今」だけを見れば、その子はいたずらをする「悪い子」。そして、こんないたずらをしない「よい子」に育てるのがよい親、ということになります。

でも、未来を考えてみると、どうでしょう。いたずらをした子は、親の悲しそうな顔を見て、「してはいけなかったんだ」と気づくことができるかもしれません。花びんの水で自分のお気に入りの服を汚してしまったことで、ものの大切さを知るかもしれません。

一見するとよくない行為も、子供にとっては、将来、より大きな力を発揮するための種になることがあります。「今の百点」を求めすぎることは、「将来の百二十点」の可能性を失わせることにつながりかねない……。こんな風に長い目で見ると、子供にのびのびといたずらをさせてあげる親も、「よい親」に思えてきませんか?

「子供にとってうれしい親」になるには?

「よい親」の基準は、人それぞれです。よいママ、よいパパでありたいなら、周りからの評価に振り回されるのではなく、子供の気持ちに目をむけるべきではないでしょうか。子供が求める「よい親」とは、「子供にとってうれしい親」のこと。いたずらや失敗をしたとき、大人の都合で頭ごなしに叱るのではなく、そうしてしまった自分の気持ちをわかってくれる親です。

親自身が「子供の頃の自分」の気持ちを思い出してみてください。怒らないで聞いてほしかった、少し待ってくれればできたのに……と思ったこともあったのでは? 親として、子供のそんな思いに目を向けてあげてください。だれかに自分の気持ちをわかってもらえた、という経験を重ねることは、思いやりの心を育てることにもつながっていきます。失敗と成功、短所と長所は、ふたつで1セット。今の失敗は、きっと将来の成功につながります。今の「乱暴な子」は、将来の「パワフルなスポーツ選手」になるかもしれません。一見、マイナスに思えることは、その子の魅力の芽です。生き生きと伸ばしていけるように応援することこそ、親の仕事。「子供にとってうれしい親」を目指すことは、その子らしさに気づくきっかけにもなります。

 

 

井桁容子先生

お話:井桁容子先生

保育の根っこを考える会主宰。福島県いわき市生まれ。
東京家政婦大学短期大学保育科を卒業後、同大学ナースリールームに2017年3月まで勤務。
おもな著書に『ありのまま子育て―やわらか母さんでいるために』(赤ちゃんとママ社)、『保育でつむぐ 子どもと親のいい関係』(小学館)など。

 

出典:『めばえ』2017年6月号

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