子供の小さなすり傷や切り傷、消毒しない&乾かさないが鉄則な理由は?【小児科医監修】

Q . すり傷などの小さな傷は、消毒したほうがよい?また、ばんそうこうを貼ったほうがよいのはどんなときですか?

子育てをしていると、子供のけがは日常茶飯事。病院に行くほどでもないけがや傷について、悩むことがありますよね。小児科医の金井正樹先生にお話を伺いました。

A . 水道水で洗い、傷ばんそうこうを貼って

ちょっとしたすり傷や浅く小さな切り傷なら、家庭でのケアで十分です。手当のしかたの基本を覚えておくと役立ちます。

手当の基本は3ステップ

1、傷口を洗う

蛇口から流しっぱなしにした水道水で、傷口とその周りをよく洗います。土などで汚れているときは、特にていねいに。石けんを使っても構いません。切り傷の場合は、傷口の内側まで洗うようにします。

2、傷ばんそうこうを貼る

清潔なタオルなどで水分をふき取り、傷口を完全に覆うように傷ばんそうこうを貼ります。傷ばんそうこうは、傷口を完全に覆うサイズのものであればなんでも構いません。

3、傷ばんそうこうを貼りかえる

傷ばんそうこうは、最低でも1日に1回、新しいものに貼りかえます。古いばんそうこうをはがしたら、傷口を水道水でよく洗ってから新しいものを貼ります。傷口からの浸出液(漿液)が多く、ばんそうこうがはがれてしまうときは、1日に何回貼りかえても構いません。

傷口は消毒はしない&乾かさない

注意したいのは、傷口を洗ったあと、消毒をしないことです。傷が治るのは、皮膚の細胞が活発に分裂して増えていくため。殺菌力の強い消毒薬を使うと、菌だけでなく、新しく生まれた皮膚の細胞まで壊してしまい、かえって回復を遅くすることがあるのです。

傷の種類や大きさにかかわらず、傷口を乾かさないことも大切。傷ばんそうこうを貼るのは、おもに保湿のためです。肌が傷つくと、傷口から透明の浸出液が出ます。この浸出液には、新しく生まれる細胞の成長を促す「培養液」のような働きがあることがわかっています。そのため、傷口を常に浸出液で湿らせておくと回復がスムーズになり、傷口を乾かし「かさぶた」にした場合より傷あとも残りにくいと考えらえています。

ガーゼなどを傷口に直接当てるのもNG!

傷を保湿する際、ガーゼなどを傷口に直接当てるのは避けましょう。とり替える際、新しく生まれた皮膚まではがれてしまうことがあるからです。傷ばんそうこうなら傷口に当たるパッドの表面が特殊加工されているため、こうした心配はありません。

市販の傷ばんそうこうの中には「傷を早く治す」などの効能をうたうハイドロコロイド素材のものもありますが、「早く治る」理由は、保湿力がすぐれているから。傷の回復につながる薬などが使われているわけではありません。また小さな子どもの場合、テープの粘着力が強いと、はがすときに痛がることがあります。毎日とりかえるのがつらくならないよう、はがすときの肌への刺激の強さなども考えて傷ばんそうこうを選びましょう。

 

■こんなときは病院へ!

●傷口が深く、開いている
●血が止まらない
●傷口の汚れがひどい
●刺し傷(傷口が小さくても深いもの)
●傷口が赤く腫れている、痛みがある
●傷口が化膿している

 

記事監修

金井正樹|小児科医

東京都八王子市・金井内科医院院長。「国立小児病院」、米国の小児病院などで小児外科の臨床・研究を行い、2008 年より現職。診療科目は内科、小児科、小児外科、外科。保育園の園医、小・中学校の校医も務める。

出典/『めばえ』2017年6月号 構成/野口久美子

親と子をつなぐ、2・3・4歳の学習絵本『めばえ』。アンパンマン、きかんしゃトーマスなど人気キャラクターと一緒に、お店やさんごっこや乗り物あそび、シールあそび、ドリル、さがしっこ、めいろ、パズル、工作、お絵かきなど、様々なあそびを体験できる一冊。大好きなパパ・ママとのあそびを通して、心の成長と絆が深まります。

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