友だちから頭を蹴られても黙っている5歳の息子。いじめられるタイプなのか心配【愛子先生の子育てお悩み相談室】

子育ては日々悩みの連続ですね。保育者歴47年、常に子どもに寄り添い、ママたちからの信頼も厚い自主幼稚園「りんごの木」の柴田愛子さんが、豊富な経験を元に、悩めるお母さんにアドバイス。

ジャングルジムの上から頭を蹴られても、黙っている息子が心配

息子は、嫌なことを嫌と言えないタイプです。今日、ジャングルジムで幼稚園の友達と遊んでいたら、上からふざけて頭を靴で蹴られていました。でも息子は黙っています。息子は私が口出しするのを嫌がるので、家に帰ってから「靴で蹴られて嫌じゃないの?」と聞いたら「嫌じゃない」と言うのです。「頭を蹴るのはダメだよ。自分で“やめて”と伝えないと、友達もわからないよ」と言い聞かせましたが、息子は「やめて」と言うより、黙っているほうがラクと思っているようです。悔しいのは親だけで、息子は本当に悔しくないのでしょうか? 息子を見ていると、いじめられるタイプでないかと心配です。(5歳の男の子のママ)

 

子どもと大人では感じ方が違います。子どもは、侮辱されたとは思っていません

まず、息子は、嫌なことを嫌と言えないタイプです」と、決めつけているところが気になります。あなたの嫌と思ったことを嫌と言わなかったということかもしれません。

ジャングルジムで、上からふざけて頭を靴で蹴られる光景は目に浮かぶようです。大人は靴で頭を蹴られたら、侮辱されたと感じて怒るのが当たり前です。でも当事者は、単に頭をふざけて押されたぐらいにしか思っていないかもしれません。客観的に見えている親の方は頭にきてしまうでしょうけれど、子どもは頭の上にトンと何かが当たったと感じていたかもしれません。

ほんとに嫌なことだったけれど、嫌と言えないのか、あまり嫌ではなかったのかはわかりません。

以前、「りんごの木」でも友達のリュックにおしっこをかけた子がいました。私は、理由は何であれ、人を侮辱する行為が許せなくて、とっさに怒りました。しかし叱られた子はポカンとしています。それから10年後――。おしっこをかけた子と話していたら「あのときはけんかで負けそうになったから、悔しくてリュックにおしっこをかけたんだ」と言われました。侮辱する気なんて、さらさらないのです。でも大人から見ると、許せないことは確かです。

少し距離をとって見守り、わが子の育つ力を信じてください

お母さんは「自分で“やめて”と伝えないと、友達もわからないよ」と言い聞かせたとあります。

状況を説明し、嫌なことは嫌と言えというのは、あなたの気持ちを押しつけているだけなのではないでしょうか?  嫌なときに嫌と言えるようになるのには、自分の気持ちをストレートに出したときに受け止めてくれる日々があるからです。これが自己肯定感です。

子どもの表情を見て、嫌なのに嫌と言えないんだなと思ったら「嫌だったけど、言えないよね」と、声をかけてあげましょう。お母さんは自分の気持ちをわかってくれていると安心するでしょう。

幼稚園での様子なども聞きながら、少し距離をとって見守り、わが子の育つ力を信じましょう。ときには目をそらすことも大事です。

 

柴田愛子 しばた・あいこ

保育者。自主幼稚園「りんごの木」代表。子供の気持ち、保護者の気持ちによりそう保育をつづけて36年。小学生ママ向けの講演も人気を博している。ロングセラー絵本『けんかのきもち』(ポプラ社)、『こどものみかた』(福音館書店)、『あなたが自分らしく生きれば、子どもは幸せに育ちます』(小学館)など、多数。

イラスト/海谷泰水

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