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七夕は7月7日だけじゃない!?
織姫と彦星が1年に一度だけ天の川で会える「七夕」。でも7月7日以外に「伝統的七夕」と呼ばれる七夕があります。「伝統的七夕」とはどんなもので、いつなのか、順にご説明します。
2024年の伝統的七夕はいつ?
まず、最初に2024年の伝統的七夕がいつなのか、チェックしましょう。
8月10日が2024年の伝統的七夕の日
2024年の伝統的七夕の日は、8月10日。伝統的七夕は毎年日付が異なり、2024年以降の日付は次の通りです。日付が毎年変わる理由は、追ってご説明します。
2025年:8月29日
2026年:8月19日
2027年:8月8日
2028年:8月26日
2029年:8月16日
2030年:8月5日
2031年:8月24日
2032年:8月12日
伝統的七夕とは
毎年7月7日に行われている七夕は、もともとは「旧暦」の7月7日に行われていました。しかし明治5年に欧米と同じ暦に統一することになり、旧暦(太陰太陽暦)から、現在使われている「太陽暦」に暦が変更されました。
新暦の7月7日は、実は梅雨の期間にあたるため、雨雲に覆われてなかなか星をきれいに見ることができません。一方、旧暦の7月7日は現在の8月にあたることが多く、星空をよく観察できます。そこで注目されたのが旧暦の七夕である「伝統的七夕」です。
誰が決めたの?
「伝統的七夕」を提唱したのは、国立天文台です。星空に触れるきっかけとしてもらうために、2001年から旧暦の7月7日を「伝統的七夕」と呼んでいます。
伝統的七夕の目的
「伝統的七夕」の目的は、多くの人に星空に親しんでもらうため。雨雲に覆われることが多く、星が見えにくい7月7日の七夕ではなく、よく晴れて星空を観察しやすい旧暦の7月7日に星空観察を楽しんでもらうことが狙いです。
また毎年8月1日〜7日の1週間は「スター・ウィーク~星空に親しむ週間~」です。多くの人に星空を眺めてもらうために、全国各地で天体観察などのイベントが開かれています。
伝統的七夕の決め方
伝統的七夕の日は、旧暦の7月7日です。旧暦は月の満ち欠けをもとにしたカレンダーで、新月の日が月の始まりとなります。旧暦は1カ月が平均29.5日となり、1年では太陽暦の1年から11日程度短くなります。そのため、ズレを修正するために、うるう月を設けていました。年によっては、1年が13カ月の年があったのです。
伝統的七夕の日は、二十四節季の処暑(しょしょ)かそれより前で、処暑に最も近い新月の日から数えて7日目にあたります。
8月の伝統的七夕と7月7日の七夕の違い
では7月7日の七夕と、8月にある伝統的七夕で、どんな違いがあるでしょうか?
天気
最も大きな違いは、天気です。7月7日は、日本のほとんどの地域で梅雨の真っ只中です。そのため、雨が降ったり、曇空だったりすることが多いでしょう。
でも8月は梅雨明けしていて、毎日のように快晴が続く時期です。夜空が雲で覆われていることは少なく、星空を見るにはちょうどいい季節です。
星
地球は1年をかけて太陽のまわりを回っているため、7月7日の七夕と8月の伝統的七夕では、見える星の場所が変わります。ちなみに、織姫星はこと座の「ベガ」で、彦星はわし座の「アルタイル」です。この2つと、はくちょう座の「デネブ」を結ぶと、「夏の大三角形」ができあがります。
夏の大三角形は、7月は東の方角の空に、8月はほぼ真上の空に見ることができます。8月の伝統的七夕のほうが、夏の大三角形の位置が見つけやすいかもしれません。
月の形
7月7日の月の形は、その年によって異なります。しかし旧暦は月の満ち欠けをベースに決められた暦のため、伝統的七夕の日の月は、必ず太い三日月になります。
織姫は月の船に乗って天の川を渡り、彦星に会いに行くというスト―リーなので、三日月はこのイメージにピッタリです。
2024年、伝統的七夕の星空は何時ごろに見るべき?
夜空に輝く夏の大三角形を探し、織姫と彦星や天の川を眺めるなら、何時頃に観察するのがいいでしょうか。
おすすめは、2023年8月10日の19時から23時頃。この頃に、織姫と彦星が頭の真上あたりにあり、澄んだ空気になって星空をよく観察できることでしょう。さらに深夜になって月が沈めば、天の川もよりわかりやすくなります。
伝統的七夕での織姫星と彦星、天の川の探し方
伝統的七夕で、夜空に輝く織姫星と彦星、天の川を見つける方法をご紹介しましょう。
「夏の大三角形」を見つける
南東から南の真上あたりに、特に輝く3つの星を探しましょう。これが、こと座のベガ、わし座のアルタイル、はくちょう座のデネブを結んだ「夏の大三角形」です。
明るい星3つのうち、2つが織姫星と彦星
夏の大三角形が見つかったら、この3つの明るい星のうち、一番明るく高い位置にあるのが、こと座の「ベガ」です。このベガが織姫星です。そしてベガの右下の方向にあるのが、わし座のアルタイルで、これが彦星です。
ベガとアルタイルの間に流れるのが、天の川
天の川は、デネブから夏の大三角形の中心を通り、ベガとアルタイルの間を流れるように存在します。
伝統的七夕の星空はどこで見るといい?
伝統的七夕に夜空の星を眺めるなら、どこで見るといいのでしょうか?
建物や灯りのない場所
星空を見るなら、周囲に建物や木々など空を遮るものがない場所がおすすめです。さらに、街灯や建物の明かりがないことも必須です。周囲より高い場所、河原、公園などがいいでしょう。
自宅のベランダや庭から
わざわざ観察のために外に出かけなくても、好条件の日なら自宅からでも星空観察を楽しめるかもしれません。部屋の電気を消すかカーテンをしめて、自宅の中の明かりが漏れないようにすることがポイントです。また街灯や周囲に明るいものがない場所から、空を見上げるようにしてみましょう。
伝統的七夕の星空を見るコツ
伝統的七夕の星空を見るときには、次のようなポイントを抑えておくことをおすすめします。
目が暗闇に慣れるまで10分程度は待つ
室内で明かりがあるところから屋外に出たとき、暗闇に目が慣れるまでしばらく時間がかかります。それに、暗闇に慣れてからでないと、星空を見つけにくいもの。そのため、伝統的七夕の観測をするなら、明るい場所から外に出て10分程度は待ってから、じっくり眺めましょう。
ウェブサイトなどで星空をチェック
伝統的七夕の織姫星と彦星、天の川の探し方をご紹介しましたが、事前に国立天文台のウェブサイト等で、その日の星空についてチェックしておくと、なおわかりやすいでしょう。どの方角にどの星座があるのか確認した上で星空を見上げれば、織姫星や彦星も見つけやすくなって、星空観測をより楽しめるはずです。
長時間の観測ならレジャーシートなどを準備
立ったまま上空を見上げる姿勢は、長く続けていると疲れてしまいます。もし長い時間星空を観測したいなら、レジャーシートを敷いて、そこに寝て星空を見るといいでしょう。真夏とはいえ、夜は冷え込む場合もあるので、上に羽織るものなどを用意しておくと、さらにいいです。
夏休みの自由研究にもピッタリ
星空観測に最適な伝統的七夕。旧暦や新暦といった暦について知るきっかけにもなるし、星座や宇宙に対する興味が生まれるかもしれません。子どもの夏休みの自由研究にもピッタリですから、親子で伝統的七夕の日に星を眺めてみてもいいですね。
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文・構成/HugKum編集部