すだちの保存は果汁を絞ってシロップが賢い! 使いやすい冷凍方法と意外な使い方

爽やかな柑橘の果汁を、熱々の焼いた魚に絞っていただく贅沢は、すだちの醍醐味ですね。今回は、すだちの保存に注目して、長期にわたっておいしく使いこなす方法をご紹介します。上手な保存方法を理解して、爽やかな酸っぱさを身近に味わいましょう。

すだちの基礎知識

魚料理との相性が良いことから薬味として使われ、お刺身や焼き魚に添えられます。ビタミンCとクエン酸を多く含み、疲労回復の効果、抗酸化作用が期待できます。

香酸柑橘とは

すだちは柑橘類に中でも特に酸味が強く、香酸柑橘といわれる品種です。みかんのように実を食べるのではなく、果汁と果皮から、酸味と香りを味わいます。

産地である徳島では、鍋料理の時は1人で2〜3個を使い切るのも当たり前、という話を耳にしました。自家製のすだちポン酢も一般的だそうですよ。試してみたいですね。

皮が柔らかい

皮が柔らかいことから、皮ごとスライスして食べることも。冷たいうどんにスライスしたすだちが乗せられていると、見た目も爽やかで、食欲を刺激しますよね。

もしも、皮が固い未熟のすだちだった場合は、電子レンジで20秒ほど温めると絞りやすくなりますよ。さらにフォークなどを断面に刺しておいても、果汁が出やすくなります。

すだちの常温保存はできない

すだちは8℃よりも高い常温で置いておくと、徐々に黄色く熟してきます。果皮が青いほうが香りは良く、黄色くなったすだちは風味が落ちてしまうので、常温での保存はおすすめできません。

冷蔵保存方法

すだちはひとつずつラップに包み、タッパーや保存用袋に入れて冷蔵庫で保存してください。

切った後は、断面にラップを貼り付け、2日以内には使い切るようにします。

ラップはピッチリと。

保存期間

香りが飛んでしまうので1週間程度で使い切ります。

冷凍保存1「カットしてから」

冷凍保存する場合には、カットしてからと、まるごと冷凍する方法があります。ひとつずつみていきましょう。

カットしてから冷凍

カットしてから冷凍しておくと、使いやすくて便利です。すだちをくし形に切ってから保存容器に入れ、冷凍庫へ保存します。

ドリンク用の氷にも使えて、あると嬉しい保存方法です。

「カットした冷凍すだち」の保存期間は

カットしてから冷凍したすだちは、1か月の保存期限です。

「カットした冷凍すだち」の使い方

使う分だけ取り出し、5分くらい待つと自然解凍できます。冷凍後に絞ると果汁が出やすくなりますが、果皮の苦味も出やすくなります。

冷凍保存2「まるごと冷凍」

まるごとのすだちを冷凍する方法をご紹介します。

大量、長期保存ができるのは、「まるごと冷凍すだち」

すだちをひとつずつラップに包み、冷凍用保存袋に入れて冷凍庫で保存します。大量にある時や、長く保存したい時はこちらがおすすめです。

包丁を入れていない分、劣化が少ないです。

「まるごと冷凍すだち」の保存期間は

まるごとで冷凍したすだちは2か月の保存期間を目安にしてください。

「まるごと冷凍すだち」の使い方

凍ったまますり下ろすと、ひんやりしたトッピングとして香りを楽しめます。

おぼろ豆腐を、冷凍すだちと塩でいただきました。

 

解凍するなら、10分間常温で放置してください。一度冷凍したすだちは細胞が壊れているので絞りやすくなっています。

果汁を保存する

すだちの果汁を絞ってから保存する方法をみていきましょう。

「すだちの絞り汁」作り方

酸を含む絞り汁を大量に作る時は、手を守るために手袋を用意しましょう。小さな傷がある時に、うっかり触ると激痛に見舞われることになります。

すだちを洗って水気を拭き取り、横半分にカットします。

切り口を上むけにして、ボウルに重ねたザルの上で果汁を絞ります。断面を上に向けて絞ると、果皮に含まれる成分も余さず果汁に含ませることができますよ。種が落ちるので、ザルで受けてください。

左手は蓋にすると、果汁のはねを防止できます。

絞り汁の保存方法

すだちの絞り汁と同量のお酢と混ぜると、半年ほど保存できます。香りの良いドレッシングとして使えますね。

千切りキャベツとりんごのサラダに。

 

冷凍するなら、冷凍用保存袋に果汁を入れ、平らになるように冷凍します。あとでパキパキ割って使えるように、薄いシート状にしておくと便利です。

大量に保存ができて、使いやすい果汁冷凍。

「冷凍絞り汁」の使い方

サンマの塩焼き、白身さかなのホイル焼き、焼き松茸にすだちの絞り汁があると嬉しいですね。他にも湯豆腐やおひたし、大根おろしなどにも。すぐに溶けるので使いやすく、気軽に素材と合わせて使ってみてください。

「絞り汁」保存期間は

冷蔵保存ならば2〜3日のうちに使い切ります。

すだち酢なら冷蔵庫で半年くらいの保存期限です。

冷凍した絞り汁は1年ほどの保存期限です。

シロップにして保存する

すだちの果汁をシロップにすると、レモネードならぬ、「すだちエード」が楽しめます。酸味のあるドリンクがお好きな方はぜひ作ってみてください。

ほろ苦さがせつない味。

「シロップ」作り方

白ワインで果汁を煮るレシピです。

◆材料

白ワイン 400cc
すだち果汁 100cc
砂糖 50g

◆作り方

【1】白ワインを火にかけてアルコールを飛ばします。この時、空気中に飛んでいるアルコールには火がつきやすいので、鍋を傾けないように静かに作業をしてください。アルコールが飛ぶと、ムッとする香りがなくなるのでわかります。
【2】鍋に砂糖を入れて溶かします。焦げないように気をつけてください。
【3】すだちの果汁を加えてなじませます。
【4】炭酸水や水割り、お湯割りでいただきます。

冷凍すだちを氷の代わりに。

 

レモネードよりも酸味がまろやかで、皮のほろ苦さも味わい深いです。じつはビールと合わせるのも、おすすめなんですよ。ホップ感の強いフルーティなビールでお試しください。

「シロップ」の保存法

冷凍すると長く保存ができますが、香りや風味に劣化があるようです。冷凍用保存袋や、製氷皿を使って冷凍してください。ただし、糖度が高いために家庭用の冷凍庫では柔らかい氷になります。金属トレイの上に乗せると凍りやすくなります。

離乳食用の製氷皿で冷凍しました。

「シロップ」の保存期間は

冷蔵保存なら2週間程度で使い切ることを目安にしてください。

冷凍したシロップは半年程度の保存期間です。

国内産は安心

柑橘類は国内でも温暖な地域で栽培されます。珍しい特産品として扱ってしまいがちですが、スーパーでも手に入るので、保存方法がわかれば気軽に購入して活用することができますね。輸入レモンの代用としても、積極的に活用してはいかがでしょうか。せっかくの国内産ですから、安心して気軽に利用したいですね。

 

構成・文・写真(一部を除く)/もぱ(京都メディアライン)

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