チンゲン菜とは
中華料理で見かけることが多いチンゲン菜ですが、どんな特徴をもつ野菜なのでしょうか。
産地
中国から日本に初めてパンダが贈られたのは1972年の日中国交正常化の記念でした。その頃の中華ブームが後押しとなり、中国で一般的な野菜としてチンゲン菜が紹介されたそうです。今では中国野菜の中でも特にポピュラーな葉物野菜として広まりました。
ラーメンのトッピングや、ミルク煮、オイスターソースの炒めものと、幅広いメニューに使われます。
旬は春秋
ハウス栽培があるので通年出回りますが、旬は春と秋です。中でも晩秋のチンゲン菜はもっとも味が良くなるそうです。
ビタミンやミネラルをバランス良く含み、栄養価が高い野菜のチンゲン菜。抗酸化を期待できるβ-カロテンを多く含み、発ガン作用を抑え免疫を高めてくれる作用があります。体内でビタミンAに変換され、髪の健康、視力維持に役立ち、粘膜や皮膚にもよく、呼吸器系統を守る働きもあります。また、ビタミンC、ビタミンEが揃って含まれていることから、風邪をひいた時には体が温まり、疲労の回復にも期待ができます。生姜を利かせたあんかけ料理に加えると、ピッタリですね。
保存のポイント
薄い葉先から水分が逃げてしまうのは、葉物野菜に共通する弱点です。鮮度が落ちると葉の色が薄くなり、黄色く変色してきます。葉の乾燥を防ぐ工夫がおいしさを保ちます。
また、茹でるときに火の通り方に差ができやすいので、葉と茎を分けてお湯に投入することがポイントになります。切ったあとは葉と茎を分けておいてください。湿らせたキッチンペーパーをかぶせて容器に入れると、乾燥を防げます。
そのまま保存する方法
豚の角煮や担々麺に添えるチンゲン菜は、茹で上げた後、縦半分に切る程度で添えると、緑色が映え、歯ごたえが心地よいものです。切らずに保存する方法からご紹介します。
洗い方
チンゲン菜は根元に土が挟まっていることがよくあります。茎の間に隙間を開け、流水で流すときれいになるので、気をつけて洗ってください。または、水にしばらく浸しておくと土が溶けだして溜まることがあります。露地ものの葉物野菜で試してみると、その量に驚くかもしれません。
乾燥を避ける
湿らせた新聞紙かキッチンペーパーに包み、ポリ袋に入れてから冷蔵庫の野菜室へ入れると、長持ちします。
保存期間の目安
5日間が保存の目安です。
調理してから保存する方法
チンゲン菜に含まれるカルシウムは、ビタミンDと一緒に食べることで吸収が高まります。干ししいたけや、しらす干しといった食材と合わせるのがおすすめですよ。また、炒める時には強火で一気に火を通すのがコツです。ゆっくりと炒めると水分が出てしまうので、サッと炒めて歯ごたえを残します。
チンゲン菜とおジャコの炒め物
おジャコの他に桜エビでもおいしいです。醤油だけのシンプルな味付けですが、しめじの旨味とおジャコの出汁、ごま油の香ばしさがチンゲン菜を引き立ててくれる一品です。
◆材料
チンゲン菜 2束
おジャコ 大さじ2
しめじ 1株
醤油 大さじ1
ごま油 大さじ1
にんにく 1片
鷹の爪 適量
◆作り方
【1】チンゲン菜は葉と茎で加熱時間を変えると、仕上がりにムラがありません。葉と茎で切り分けてください。約3センチの長さに切り、太い部分は細く切ります。しめじは石づきをとってほぐしておきます。
【2】フライパンにごま油を温め、みじん切りのにんにくと鷹の爪を弱火で炒めます。
【3】香りが立ってきたら、しめじを加えて炒めます。次にチンゲン菜の茎を炒め、頃合いを見ておジャコを順に入れてください。
【4】葉を加え、醤油を全体にからめて完成です。
しめじは焼き目がつくくらいまでしっかりと炒めてください。逆にチンゲン菜の葉はサッと火を通すのがコツ。
保存期間の目安
作り置きもできます。2~3日のうちに食べきるようにしてください。
冷凍なら長期保存も
チンゲン菜は冷凍保存もできます。
冷凍保存方法は2つ
チンゲン菜は生のまま冷凍する方法と、茹でたり調理したりしてから冷凍する方法があります。どちらも冷凍用保存袋に入れて、空気を抜いてから冷凍庫へ入れてください。詳しくはこちらをどうぞ。
保存期間の目安
冷凍したチンゲン菜は1か月を保存の目安としてください。
人気の作り置きレシピ
チンゲン菜は中華料理が発祥ですから、オイスターソースやごま油との相性が良いです。煮込んでも煮崩れがなく、シャキシャキ感が最後まで残る点が嬉しいですね。
豚ひき肉ナムルうどん
レンジと焼き肉のたれでパパッと作りましょう。チンゲン菜は茎の部分を縦に切るのがポイント。
◆材料
(大人2人分+子ども2人分)
もやし 1/2袋
にんじん 1/3本
青梗菜 2株
【A】
ごま油 小さじ2
塩 小さじ1/3
にんにく(すりおろし) 少々
豚ひき肉 200g
焼き肉のたれ 大さじ6
ゆでうどん 3玉
◆作り方
【1】にんじんはせん切りにする。青梗菜は長さを2~3等分し、せん切りにする。
【2】耐熱ボウルにもやしと【1】を入れてラップをかけ、電子レンジ(600W)で4分加熱する。水けをふき、【A】を混ぜる。
【3】フライパンに湯を沸かしてうどんをサッとゆで、湯をきって、器に盛る。フライパンを拭き、【B】を入れて混ぜ、中火にかけてパラパラになるまで炒める。【2】とともにうどんにのせる。
教えてくれたのは
簡単に作れて、栄養バランスがよく、おいしさのセンスが光るレシピが人気。藤井家の毎日のごはんを綴ったブログも参考になります。
『ベビーブック』2014年9月号
かつおと青菜のみそ煮
ただ煮るだけで魚の臭みも消えて旨みが増します。青菜を添えれば彩りアップに。
◆材料
(大人2人分+子ども1人分)
かつお 250g
青梗菜(ちんげんさい) 1株
【A】
水 150ml
甘みそだれ 大さじ5
しょうが汁 小さじ1
◆作り方
【1】かつおと青梗菜は食べ やすく切る。
【2】鍋に【A】を入れて火にかけ、煮立たったら【1】を加えて3分ほど煮る。
※魚はさばやぶりなど、お好みのものでどうぞ。
◆ポイント
魚の煮物やみそ炒めなど、これで料理の腕前アップ!「甘みそだれ」の作り方。
■材料
(400ml程度)
みそ 250g
みりん 200ml
しょうゆ 大さじ2
砂糖 大さじ4
■作り方
【1】みりんを小鍋に入れて弱火にかけ、1~2割煮詰めてアルコール分を飛ばす。
【2】残りの調味料と混ぜて保存容器に入れる。
※冷蔵庫で1か月程度保存可能。
教えてくれたのは
石澤清美さん
料理研究家。国際中医師・国際中医薬 膳師。食養生やハーブなどの専門家でもあり、体にいいものを簡単においしく作れるレシピが人気。
『ベビーブック』2017年6月号
チキンボール鍋
ほんのり中華味にするのがおいしさのコツ! 子どもの好きななるとと、うずらの卵も入れて。
◆材料
(大人2人分+子ども2人分)
【A】
鶏ひき肉 250g
粗塩 小さじ1/4
ごま油 小さじ1/2
白菜 1/5個
チンゲン菜 2株
うずらの卵(水煮) 10個
なると(小) 1本
【B】
水 800cc
中華スープの素 大さじ1
しょうゆ 小さじ1
そうめん 2束
◆作り方
【1】白菜とチンゲン菜は5cm長さに切り、チンゲン菜1株分は葉先をみじん切りにする。なるとは輪切りにする。
【2】ボウルに【A】を合わせて粘りが出るまで混ぜ、【1】のみじん切りにしたチンゲン菜を加えて混ぜ、小さい団子に丸める。
【3】鍋に白菜と残りのチンゲン菜を入れ、【B】を加えて中火にかけ、煮立ったら【2】、うずらの卵、なるとを入れて煮、しょうゆで味を調える。
◆ポイント
チキンボールにごま油を加えると香りがよくなって、ふんわりと仕上がります。
子ども用の主食は、そうめんが◎。
教えてくれたのは
旬の食材の効能と素材の味を生かしたシンプルな料理が人気。食育にも力を注いでいる。一女の母。
『めばえ』2016年2月号
味付けの濃いメニューに添えるとバランスが◎
甘辛く煮た鶏や、オイスターソースで味付けした豚肉など、味の濃いメニューに添えられることが多いチンゲン菜。しっかりした味付け料理の傍で、チンゲン菜の肉厚の茎がシャキシャキと心地よく、口当たりのバランスを良くしてくれます。彩りとしても華やかさを足してくれるので、上手に保存して活用したいものですね。
構成・文・写真/もぱ(京都メディアライン)