防災用品はどう選ぶ?どう収納する?整理収納アドバイザーがお伝えします

「家事育児に追われて家の中がゴチャゴチャ!」「本当はスッキリ暮らしたいのに…」という悩みを抱えていらっしゃる方は多いのではないでしょうか。子どもとの暮らしに“整理収納のコツ”を取り入れると、親の負担やストレスが減り、子どもの生活力を育むことができます。

8歳、6歳、4歳の3児の母である整理収納アドバイザー・水谷妙子が隔週でお届けする「整理収納のコツ」シリーズ。

今回のテーマは「防災用品の収納」です。

防災用品の整理収納にはコツがあります

日本は自然災害が多い国です。いざという時に自分と家族の身を守るため、防災用品を常備しているご家庭も多いと思います。

ただ、毎日忙しく過ごしていると防災用品のチェックはついつい後回しになりがち。また、よく使う日用品と、いざという時の防災用品を家の中の収納にどう収納する?と悩んでいらっしゃる方も

防災用品にも色々な種類があり、それぞれポイントがあります。今回はわが家の防災用品の収納をご紹介します。皆さまのご家庭それぞれに合った方法を考えていただく機会になれば嬉しいです。

子育て世代の「非常用持ち出し袋」とは?

家庭内の防災用品の代表アイテムとして「非常用持ち出し袋」があります。インターネットや本の情報をうまく活用してアイテムをリストアップをしてみると、実用的な非常用持ち出し袋になります。

ただし、何をどのぐらい持つのか…?数ある情報の中から自分に合う情報を選び取ることはなかなか難しいですよね。経験がないと想像しにくいものです。

私のオススメは、防災の専門家の情報に加え、実際に災害を経験された方の生の声を参考にすること。今の自分と近い状況(私の場合は未就学の幼児2名、小学生の子どもがいる状況)で避難生活を送った方の情報を探すと、より踏み込んだ情報を得ることができます。

写真の本は、わが家の娘を出産した2013年頃に購入し、今でも参考にしている本です。非常用持ち出し袋の揃え方以外にも、避難経路や連絡手段の確認など、災害に備える情報が盛りだくさん。書き込み式なので、それぞれの家庭に合った防災情報を一冊にまとめることができます。

とはいえ「なんだか難しそう…」「ゆっくり考える時間がなくて…」など、防災情報の取捨選択が難しい場合、まずは市販の防災セットを活用してみましょう。はじめから完璧を求めるよりも、防災に対するハードルを下げて気軽に用意する方がずっと安心です。

ちなみに、わが家の非常用持ち出し袋は、リュック3つ分。夫、私、小学3年生の娘が背負うことを想定してセットしています。まずはじめに市販の防災セットを購入し、少し足りない部分を調べた上で、上の写真にあるように、無印良品の「防災セット」を買い足しました。(現在販売されている商品とはパッケージや中身の一部が異なります)

非常用持ち出し袋の量は各家庭によって異なりますが「アレもコレも!」と詰め込みすぎはNG。大人も子どもも、自力で背負って避難できることが大切です。用意したら完了ではなく、実際に背負ってみて重さを確認してみましょう。

非常用持ち出し袋の収納場所は?

次に、非常用持ち出し袋の収納場所について考えてみましょう。

私は普段「整理収納の基本」をお伝えする時、よく使うモノ(一軍)を出し入れしやすい場所に優先的に収納し、あまり使わないモノ(二軍)は少々出し入れしにくい場所でもOK、としています。この理論で普段通りに考えると、非常用持ち出し袋はあまり使わないモノ(二軍)になります。できることであれば、災害に遭わず「使う機会がない」方がいいアイテムですよね。

ただし、非常用持ち出し袋は、その名の通り「非常時に持ち出すこと」ができないと意味がありません。頻度は少ない、もしかしたら一度も出番はないかもしれませんが、日用品の中に埋もれないよう例外的に「一軍」として扱い、いざ危険が迫った時にサッと持ち出すことができる場所に収納します。

ちなみに、わが家は玄関収納の一部、最下段に置いています。家の中で日常と非日常のアイテムをどう共存させ、優先順位を考えるか?という問題です。わが家の場合、靴をめいっぱい置くことよりも「非常用持ち出し袋を出し入れしやすい場所に収納すること」の方が大切だと考えているので、靴の収納をコントロールすることができています。

もちろん、家の間取り、収納条件、部屋の使い方、家族構成などによって非常用持ち出し袋の収納場所は異なりますので、それぞれのご家庭で、本当に適切な場所はどこか?今の暮らしで何を優先させるか?を考えながら決めてください。

ローリングストック(回転備蓄)って何?

防災用に備蓄する食べ物・飲み物は「いざという時、足りるだろうか?」と気になるもの。備蓄を特別なことにせず、普段の暮らしの延長線上で食べ物・飲み物を備えることができれば、防災用品の管理もハードルが下がりますよね。

非常用の食べ物・飲み物の管理方法については「ローリングストック(回転備蓄)」がオススメです。これは、日常的に備蓄用の食べ物・飲み物を消費して、なくなったら買い足すという行為を繰り返し、常に家庭に新しい備蓄用の食べ物・飲み物を持つ方法です。

定期的に確認するので賞味期限切れを起こしにくくなりますし、家族が普段から食べ慣れている味であれば、災害時の食卓に並んでも安心して食事をとることができるメリットも。

ちなみに、わが家の場合は、レトルトカレー、ご飯、袋麺などを用意しています。玄関近くに廊下収納があり、そこに備蓄用の食材を収納しています。

また、この廊下収納には「火まわり」のアイテムも収納しています。カセットコンロはごくたまに食卓で使い、着火ライター、ローソク、線香のセットはお墓参りや花火などで使います。非常時には上でご紹介したローリングストック(回転備蓄)の食材と合わせて使うことができるよう、防災関連グッズはなるべくまとめて収納しています。

基本的なことですが、日常のモノの管理がうまく回っていないと、非日常のモノの管理は尚更困難です。普段から食べ物・飲み物の管理がうまくできないと感じている方、期限に追われるように消費している方は、備蓄用だからと言ってむやみに量を増やす前に、今ある食材の点検からはじめてみてくださいね。

防災用品、家族と共有できている?

次は、家族間のコミュニケーションの話です。「家の中モノの管理、収納場所はママしか把握していない」ということは「子育て世代あるある」ですが、いざという時に防災用品を使うシーンを想像すると、それが大問題になる可能性も。

普段から、家族から「〇〇はどこ?」と聞かれることが多かったり、モノを出し入れできない場合、非常時は更に混乱のもと。普段から、家事や育児をはじめとする家の中のあらゆる行動を「一人で抱えない」という覚悟を決めること、そして抱えない仕組み作りをすることが大事です。

まず手始めにできることは、家族みんなが防災用品を使えるように場所を共有したり、非常用持ち出し袋の中身を見直す時はみんなで一緒に行うなど、確認作業をシェアすること。他にも、普段から使い慣れているアイテムを防災用アイテムに転用できないかを考えるゲームをしたり、防災用品をメインに使うキャンプやピクニックに出かけてみるなど、家族の楽しいイベントにすると無理がないですね。色々なアイデアを考えてみてくださいね。

防災用品の見直しはいつ行う?

防災用品は、一度用意するとホッとして放置してしまいがちですが、揃えたから安心、終了ではありません。いざ使う時にしまった!とならないよう、定期的に見直すことが大切です。

わが家の場合、防災グッズの大規模な見直しは年に2回。91日の防災の日と、そこから約半年後、東日本大震災が起こった311日に行うと決めています。この頃になると防災関連のニュースを目にする機会が増えるので、自然と意識も高まり「そろそろ見直さないと」と考えるキッカケになります。

見直しの時期や頻度は人それぞれのタイミングでOKですが、うっかりスルーしてしまいそうであればスマホカレンダーのリマインダー機能を使ったり、手帳に先の予定として書き込んで忘れないようにしたり、無理なく取り組める仕組みを作っておくと安心です。

ちなみにわが家では、ローリングストック(回転備蓄)食材については、日常的に食べて追加購入する機会があり、他の防災用品よりも早く消費します。そのため、在庫チェックの頻度は半年に1回よりも少し多めです。

食べ物・飲み物以外にも、見直しは必要です。子どもの着替えがある場合はサイズアウトしていないか、半袖や長袖など、季節に合ったアイテムがどうか。子どもが成長して必要な食べ物・飲み物の量は増えていないか。電子機器はすぐに使える状態か。乾電池の使用期限は過ぎていないか。防災用品の収納場所は大丈夫か。細かいですが定期的に確認しておくと安心です。日々の暮らしの中で、無理なく防災用品の見直しができるといいですね。

いかがでしたか?防災用品の収納についてご紹介しました。お住まいの地域、間取り、収納の大きさ、家族構成によっても異なるので「わが家だったらとうかな?」と考えるヒントになれば嬉しいです。

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記事監修

水谷妙子|整理収納アドバイザー

無印良品で商品企画&デザインを13年間務める。手がけた商品は500点超。調べた他社商品は5,000点超。2018年「ものとかぞく」を起業し、個人宅や店舗などの整理収納サービスやお片づけ講座を行うかたわら、雑誌やWebでも活動中。フォロワー5.1万人を超えるInstagramでは、マネしやすい整理収納アイデアやモノ選び情報を発信中。7歳4歳2歳の3児の母。

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