雨が降るなどして外にお出かけできない時、どのように子どもを遊ばせていますか? ついついゲームさせたり、動画を見せたりといった時間が長くなってしまう家も少なくないはず。そんな時こそ工作でもして子どものクリエイティビティを伸ばせるといいですよね。しかも予算をそれほどかけずに身近な廃材で工作を楽しみたいところ。
そこで今回は、子どもの放課後にさまざまな工作の機会を提供し、海外のSNS(ソーシャル・ネットワーク・サービス)などを通じて工作アイデア収集も怠らない学童指導員の方に、身近な廃材のペットボトルを使った代表的な工作アイデアを聞きました。100円均一ショップで手に入る身近な道具だけで筆者も実際につくってみたので、その方法と気付きをシェアします。
工作1)ファスナー付きペンケース
最初はファスナー付きペンケースから。
材料
- 炭酸水のペットボトル(『ウイルキンソンタンサン』のペットボトルがおすすめとの話)
- カッターナイフ
- ハサミ
- ファスナー
- 接着剤(あればグルーガン)
- マスキングテープ
作り方
- ペットボトルをカット(カッターで切り込みを入れてハサミで切る)
- カットした場所をファスナーでつなぐ
- デコレーションする
になります。話を聞いた学童指導員の方によれば、同じ炭酸水用のペットボトルでも『ウィルキンソンタンサン』のボトルが工作に最も優れているとの話でした。いろいろ使い比べた中で、適度な強度とペットボトル表面へのペイントのしやすさが一番だと気付いたみたいです。
カットの際にはマスキングテープを一周張って、テープの端に沿ってカッターで切り込みを入れ、テープを目安にハサミで切ると真っすぐカットできます。ファスナーを張る際にはマスキングテープをはがし、ファスナーのテープ部分に接着剤をぬった状態で、切り離したペットボトルの切断部分に張ってください。
マスキングテープやシールで最後にデコレーションすれば完成です。子どもの大好きなキャラクターのシールなどを用意すると、余計にやる気を見せてくれるかもしれませんね。
工作2)浮沈子(ふちんし)
「浮沈子」とは少し聞きなれない言葉だと思いますが、工作に慣れた人からすれば「ああ、あれね」といった感じでしょうか。百科事典を調べると、
<パスカルの原理を利用した玩具>(平凡社『百科事典マイペディア』より引用)
とあります。パスカルの原理をあらためて辞書で調べると、
<密閉した容器内で静止している流体の一部に圧力を加えると、その圧力は同じ強さで流体のどの部分にも伝わるという原理。1653年にB=パスカルが発見>(小学館『大辞泉』より引用)
と書かれています。これだけの説明ではまだ分かりません。
水を満たしたペットボトルの中へ、口部にナットの重りを付けたポリ容器(例えばタレ瓶)を入れ、ペットボトルの栓を閉めた状態のおもちゃを浮沈子と呼びます。
ポリ容器(タレ瓶)を含んだペットボトルの側面を手で押すと、あら不思議、中に入ったポリ容器が沈みます。手を離せば容器は浮かびます。この「謎の現象」を楽しむおもちゃが浮沈子なのですね。
ペットボトルのどこを押してもパスカルの原理でペットボトル内の水全体に圧力が加わります。ペットボトルを押せば内部の水も変形し、その変形が水圧となってポリ容器(タレ瓶)の口部から内部へ水が浸入します。ポリ容器の内部の水が増えれば浮力が減って容器自体が沈みます。
材料
- 炭酸水用ペットボトル(ウィルキンソン炭酸のペットボトルがお勧め)
- ポリ容器(タレ瓶)
- ナット
- 油性マジック
作り方
- ペットボトルとポリ容器に彩色する
- ペットボトルに水を満たす
- ポリ容器の口部にナットを装着する
- ポリ容器に半分ほど水を入れる
- コップに水を張ってポリ容器が逆さに浮かぶか試す
- ペットボトルにポリ容器を押し込んで栓を閉める
ポイントは5の作業です。ポリ容器(タレ瓶)の口部にナットを付けた状態(半分くらい水を中に入れた状態)で、コップに張った水の上に逆さに浮かべます。タレ瓶の底面が水面から顔を出して浮かぶくらいに浮力を調整してください。
ポリ容器の口部(重りのほう)を下向きにして、水を満たしたペットボトルの中へ押し込み、ペットボトルの栓を最後に閉めます。後はペットボトルを押して遊ぶだけ。
『ウィルキンソンタンサン』のボトルではなく、ミネラルウォーターの柔らかいボトルを使って筆者はつくってみました。そのせいか大人の握力でボトルの側面を強く押さないと浮沈子が沈みません。わが子に押してもらっても力が足りません。
炭酸水用のボトルのほうが浮沈子づくりでも沈みやすくなるそうですので、できれば炭酸水用のボトルをこの工作でも使った方が良さそうですね。ちなみにタレ瓶もナットも100円均一ショップに売っていましたよ。
工作3)ブレスレット
ペットボトルでつくるブレスレットが最後の工作アイデアです。
材料
- 炭酸水用ペットボトル(ウィルキンソン炭酸のペットボトルがおすすめ)
- カッターナイフ
- ハサミ
- 油性マジック
- アイロン
作り方
- イカリングのようにペットボトルをカットする(カッターで切り込みを入れてハサミで切る)
- カットしたペットボトルの内側から彩色する
- カットした断面をアイロンに押し付け丸くする(大人が担当する。軍手の着用を忘れない)
といったシンプルな流れです。イカリングのようにカットしたボトルの断面はギザギザになっている場合が多いのでハサミできれいに整えてください。
アイロンに押し付ける場面では軍手を付けて、ダイヤル錠を右左に回すようにペットボトルを小さく回転させます。「中」の温度設定が筆者はやりやすい気がしました。内側に巻き込む感じで切断面が丸くなったら完成です。『鬼滅の刃』のキャラクターが着ている羽織の色などを参考に彩色すると子どもも盛り上がりそうですね。
この工作でもミネラルウォーターの柔らかいボトルを筆者は利用しました。熱を加えた後は硬くなりましたが、熱を加える前はペットボトルが柔らかすぎて作業が難しく感じました。炭酸水用の硬いペットボトルをこの工作でもやはり利用したいですね。
ペットボトル工作の代表的なアイデアを学童指導員に聞き、実際に試してきましたが、いかがでしたか? ペットボトルビーズづくりなども有名みたいですね。何をするにしても『ウィルキンソンタンサン』のペットボトルが工作に向いていると、取材で話を聞いた学童指導員は太鼓判を押していました。
数種類の炭酸水用のペットボトルを実際に手に取ってみましたが、『ウィルキンソンタンサン』は他社の製品と比べ強度が確かに高い気がします。余談ながらその理由をアサヒ飲料に確認すると、
「形状や容器の厚さが影響しているのかもしれませんが、飲料容器としての用途以外は検証していないので分かりません」
と当然の回答がありました。「なんでおたくのボトルは工作に向いているの?」と飲料メーカーが不意に聞かれても答えられるわけがありませんよね。それでもアサヒ飲料さん、丁寧に応対してくれてありがとうございました。
なんであれ、プロの学童指導員がおすすめする、ペットボトル工作の鉄板アイデアの数々。外出がままらない雨天時などにぜひ試してみてほしいですし、その日に備えて空きペットボトルを保管しておくといいかもしれませんね。
取材・文・写真/坂本正敬