1月11日は「鏡開き」。「鏡餅」を「開く」と言うワケは?【知って得する日本語ウンチク塾】

鏡は昔の「鏡」の形から、「開く」と言うのは縁起を担いだ言い方

そもそもの始まりは、江戸時代に、男子は鎧兜(よろいかぶと)に、婦女は鏡台に供えた鏡餠を120日に取り下げ、割って食べたことからだといわれています。なぜ「鏡」なのかというと、平たく丸い形が、昔の金属でできた鏡に似ているところからです。

本来、鏡餅は刃物で切ることを忌み、槌(つち)でたたいて割るのですが、「割り」ではなく「開き」というのは、縁起を担いで、めでたいことばを使ったからです。ですので、実際には、「鏡割り」ともいわれています。

1月20日だった「鏡開き」が、現在のように111日に行われるようになったのは、徳川3代将軍家光(いえみつ)の忌日が20日だったため、繰り上げられたという説があります。

「鏡開き」は、酒樽を割ることにも使われるように

また、祝宴などで、酒樽のふたを木槌で割り開くことも「鏡開き」と言いますが、元々は「鏡割り」「鏡抜き」と言っていたものを、縁起を担いで「鏡開き」が使われるようになったようです。

酒樽のふたを「鏡」というのも、それが円形で昔の鏡を連想させるからです。

 

 

記事執筆

神永 暁|辞書編集者、エッセイスト

辞書編集者、エッセイスト。元小学館辞書編集部編集長。長年、辞典編集に携わり、辞書に関する著作、「日本語」「言葉の使い方」などの講演も多い。文化審議会国語分科会委員。著書に『悩ましい国語辞典』(時事通信社/角川ソフィア文庫)『さらに悩ましい国語辞典』(時事通信社)、『微妙におかしな日本語』『辞書編集、三十七年』(いずれも草思社)、『一生ものの語彙力』(ナツメ社)、『辞典編集者が選ぶ 美しい日本語101』(時事通信社)。監修に『こどもたちと楽しむ 知れば知るほどお相撲ことば』(ベースボール・マガジン社)。NHKの人気番組『チコちゃんに叱られる』にも、日本語のエキスパートとして登場。新刊の『やっぱり悩ましい国語辞典』(時事通信社)が好評発売中。

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