お正月の神様を迎える「しめ縄」飾りの由来は?いつから飾る?【子供に伝える日本の伝統】

クリスマスが過ぎると、街は雰囲気が一転。年の市が並びお正月一色になっていきます。お正月の支度は順調に進んでいますか? 毎年、当たり前のように、しめ縄を飾ったり、鏡餅を飾ったり、大掃除をしたりしますが、この習わしには、すべて意味があるものなのです。その中から「しめ縄」をピックアップ。日本の文化・歳時記研究家の広田千悦子さんに、その意味や由来をうかがいました。

 

しめ縄飾り、由来や意味は?

昔から、お正月には「歳神様」がやってくるといわれています。歳神様とは、五穀豊穣の神様で、農作物の豊作や家族の健康と幸せを授けてくれる神様のこと。その歳神様が、遥か彼方の天上や山から舞い降りてきます。

そんな大切な神様をお迎えするために、大掃除をして、門松やしめ縄を飾ります。門松は、歳神様が迷うことなく家におりるための目印として、家の門や玄関に立てます。

しめ縄飾りは、我が家が歳神様を迎えるにふさわしい聖域であることを示すとともに、不浄なものが入ってこないようにする役目があります。

しめ縄でゆく年くる年に思いを馳せる

「しめ」には、神様が占める場所などの意味があり、神様の領域と他の場所を区別するための目印のようなもの。たれの藁(わら)が並びそろっている「板締め」や羽を広げた「鶴」など、それぞれの地域に伝わってきたいろいろな形があります。

しめ縄はもともと、神様が宿るとされている神聖な場所(神社、神棚、巨木、岩など)に飾るものですが、家庭でお正月に飾るしめ縄は、縁起物などの飾りをつけて玄関などに飾ります。

縁起物とは、

大きくなっても木から落ちないことから、家が代々続いて繁栄することを願う「橙(だいだい)」

裏が白いことから心に裏表がない清浄さを表す「裏白(うらじろ)」

難を転じる木として庭やお手洗いのそばに植えられた「南天(なんてん)」

など。

しめ縄を飾る時期は、年内25日から30日くらいまでに

 

飾りつけは12月25日くらいから30日までの間にすませましょう。ただし、29日は9が苦となり縁起が悪いとされているので避け、31日は一夜飾りといって神様に対して失礼に当たるとされています。お正月の松の内(1月7日)に飾りを外すのが一般的ですが、地域によって異なり、関西では15日に外すところも多いようです。

 

忙しい年末だからこそ、親子で手作りしめ縄に挑戦!

ここ数年、我が家のしめ縄は手作りをしています。青藁を取り寄せ、アトリエでお教室を開き、参加者の皆さんと一緒に、縁起物である榊や朱色の千両、柑橘類など、植物の力を添えて仕上げます。

 

何かと忙しない師走のひととき、青藁の清々しい香りが広がる部屋で、藁の束をトントンと机の上でそろえ、深呼吸。波立つ心が静かになったら、綯(な)い始めます。この時間があるかげで、忙しい中でも我が身と今年一年を振り返ることができ、新しい年へ向けての思いも新たにすることができます。

今年はもう間に合わないかもしれませんが、来年はぜひ、親子でしめ縄づくりに挑戦して、家族でお正月を迎える喜びを味わってみてください。

 

青藁の清々しい香りは、なんともいえない幸福感を運んでくれます。

 

青藁を水で湿らせ、二人でキュッキュッと結っていきます。

歳の市にもすてきなしめ飾りが並びますが、自分で作ると少々ゆがんでいたりしても愛着が生まれ、一年の祈りも違ってくるように思います。

 

広田千悦子さんの『口福だより』には、季節を楽しむヒントが満載!

口福だより

https://www.shogakukan.co.jp/books/09388359

広田千悦子(ひろたちえこ)

日本の文化・歳時記研究家。文筆家。新聞や雑誌、WEBにてコラム・挿絵を執筆。企業アドバイザー。ラジオ、TVなどのメディアに出演。ライフワークは季節のしつらいと祈りのかたちづくり。築80年の日本家屋スタジオ秋谷四季、東京、鎌倉、名古屋などで、季節のしつらい教室を開催。日本の行事の源流に触れつつ、現代のくらしや世代に合わせて提案。中日新聞、東京新聞の連載「くらし歳時記」は11年目。著書は、ロングセラーの『おうちで楽しむにほんの行事』(技術評論社)など25冊

 

撮影/広田行正 構成/神﨑典子

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