【小児科医監修】すり傷、頭部打撲、鼻血などは病院に行くべき?小さなけがの応急手当て

家庭で頻繁に起こるさまざまな小さなけが。ここでは小さなけがの応急処置についていくつかご紹介しますので、家庭でのちょっとしたけがの参考にしてください。応急手当てをした後は、経過を観察し、必要に応じて病院へ行きましょう。

step1 すり傷や切り傷の応急手当て

消毒はせず、洗って傷口を保湿

浅いすり傷や切り傷は、まず流水で傷口をよく洗い、どろや砂をとり除きます。その後、ハイドロコロイド素材のばんそうこう(「傷を治す」などの効果が表示されている市販のばんそうこう)を貼ります。消毒をすると正常な細胞も壊され、治りが遅くなってしまうため、消毒薬を使う必要はありません。このように、傷口を覆って乾かさない治療法を「湿潤療法」といいます。体に備わった自然治癒力を生かすもので、早く治って痛みが少なく、傷跡も残りにくいことがわかっています。

 

step2 病院へ行ったほうがよい場合

傷口に異物が残るときなどは病院へ

傷口が大きい、深い、出血がなかなか止まらない、といった場合は、病院で治療を受けます。傷口を流水で洗ってもとれない異物(小石やガラスなど)が残っていたり、目の近くなどデリケートな部位を傷つけたりしたときも、すぐに受診しましょう。応急手当てをした後、傷口が化膿してしまった場合も早めに病院へ行きましょう。

 

step3 体や頭を打った場合に注意すること

頭を打った後は、慎重に見守って

腕や足を打ったりひねったりしたときは、痛むところを冷やします。腫れがどんどん悪化したり、痛むところが動かせなかったりする場合は病院へ行きましょう。鼻血を出した場合は、うつむかせ、鼻を両側からつまんで止血します。頭を打ったときは、まず意識に異常がないかどうかを確認し、緊急時(右参照)には病院へ。直後に変わった様子がなくても、当日は入浴を控えて24~48時間はできるだけ目を離さないようにし、その後1週間ほどは注意して見守ります。

 

小さな傷口の手当ての基本

1 傷口を流水でよく洗う。

2 ハイドロコロイド素材のばんそうこうを貼る。

※消毒はしなくてよい!

傷口を密閉し、乾かさないようにすることが大切。

鼻血の応急手当ての基本

1 縦抱きにして、軽くうつむかせる。

2 小鼻(鼻の左右にふくらんだ部分)をつまんで圧迫する。

※出血がおさまったら、脱脂綿やティッシュを詰めてもよい。

冷たいぬれタオルなどで冷やしながら行うとよい。

頭を打った! こんなときは病院へ

・(一時的にでも)意識がない
・ぼんやりして反応が悪い
・顔色が悪い
・けいれんした
・おう吐をくり返す
・打ったところが陥没している
・高いところから落ちて頭を打った

 

記事監修

澁谷紀子|小児科医

総合母子保健センター 愛育クリニック 小児科・母子保健科部長
小児科専門医、アレルギー専門医。東京大学医学部卒業。東大病院、山王病院、NTT東日本関東病院小児科などを経て現職。4人の女の子の母でもある。

出典/『新 幼児と保育』 文/野口久美子 写真/石川厚志 再構成/HugKum編集部

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