「夢はYouTuber」な我が子にガミガミ言ってしまい自己嫌悪…【大学教授が教える】親がやるべき対処法とは?

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年齢を重ねてくると、「もう無理!」と叫びたくなるシチュエーションが増えたりしていませんか?加齢のせいだけでなく、長引くコロナ禍により、これまでの価値観や正解などが揺れ始め、多くの人が漠とした不安にとらわれていることが「もう無理!」な気持ちを増幅させている場合も……。

そんな女性たちの「もう無理!」な声を受けて、明治大学教授の堀田秀吾氏が科学的な裏付けを持つネガティブ感情を手放す方法を提案。前後編にわたり、ふたりの母親の実例を紹介しながら改善策を紹介していきます。前編の今回は息子の将来に悩むママからのお悩みです。

そもそも心配事が現実化する確率はどのくらい?

【相談:41歳パート勤務、小学5年生の息子がひとりいます。まったく勉強しないし、学校であったことも話してくれません。家ではゲームやネットの動画に夢中で、将来の夢はユーチューバーとか言いだす始末。そんな息子だけでなく、子育てに興味がない夫や、自分の老後のことなど、将来を考えると不安な気持ちばかりつのりイライラしてしまいます。】

堀田先生のお答え

昭和から平成の小学生がなりたい職業といえば、野球選手やJリーガー、保育士、看護師、歌手、パイロット、キャビンアテンダントなどがメジャーどころだったと記憶しています。でも令和の現在にいたっては、堅実な公務員や会社員になりたいという子がいる一方で、ユーチューバーになるのが夢という小学生が増えているみたいですね。実際は苦労もたくさんあるはずですし、知識と経験がものを言うと思いますが、“好きなことだけやって大金を稼げる”というイメージに憧れるというのは、いかにも不景気な現代らしい夢という気がしてしまいます。

成長の過程で本当にユーチューバーになりたいと思い続けるかどうかはさておき、親としては小学生の時分から、勉強もしないでユーチューバーを目指したところで、将来自立してやっていけるかと心配するのは当然ですよね。子どものことだけでなく、ご自身の老後を考えても不安になるのは仕方がないと思います。

人は、まだ見ぬ未来についてまで考えてしまい、そして不安になってしまうもので、それはある意味、仕方ありません。ただ、ペンシルバニア大学のボルコヴェック氏らは心配事の79%は実際には起こらず、16%の出来事は事前に準備をしていれば対処可能という研究結果を発表しています。心配事が現実化する確率はたったの5%とのことです。ですから、息子さんの将来についての心配事が現実化する確率だって、たったの5%だと気楽に考えてみてはいかがですか?

紙とペンがあればガミガミは解消できる?

それでも不安が解消できないならば、不安な気持ちをあえて紙に書き出してみてください。

アメリカにある南メソジスト大学のペネベーカー氏らが行った実験では、50人の被験者に対し、10分間の安静のあと、血圧や心拍数、皮膚コンダクタンス(皮膚の電気)を計り、血液を採取。その後、2つのグループに分けて次のことを行ってもらいました。
① 1日15分間、トラウマになるような出来事を書いてもらう
② 1日20分間、その日の出来事や服装など、他愛のない話題について書いてもらう

結果、①のネガティブな内容を書いていたグループは、実験直後には心身に問題が生じる傾向はあったものの、長期的には免疫の改善や精神的な苦痛の改善、自律神経の改善などさまざまな角度から利点が見られました。②のグループは、大きな変化はありませんでした。

自身のネガティブな感情とは、あえて向き合わないほうがいいような気がしてしまいますが、実は書き出したほうが不安がなくなるのです。というのは、不安の原因や気持ちを書き出すときは脳の「前頭葉」という部分を使うのですが、余計なことを考える脳の働きを、「不安を書き出す」という行為で強制的に抑えることができるんです。脳科学の観点からも、有効な手段といえます。

不安は生き抜くための武器でもある

また、この「不安を書き出す」という行為は、仕事のパフォーマンス向上にもつながることも明らかになっています。

ノースカロライナ州立大学のクライン氏と北テキサス大学のボールズ氏らの研究では、1日20分間、2週間にわたって不安を紙に書き出してもらいました。すると、脳のワーキングメモリ(処理能力)が改善したことがわかったのです。

ただし、不安が悪かというとそうでもなくて、人間に不安な感情がなければ危険なことを避けられず、命を落としかねないこともあります。不安は、生存競争を勝ち抜くために人間が本能として持つ武器のひとつです。ただ厄介なのは、人間は不安になると誰かを攻撃してしまうこと。これは「攻撃機制」といって、他者を攻撃することで、自身の心の安定を保つ行為で、ネットの誹謗中傷などもこれにあたります。

エスカレートさせてしまうのはNGですが、〝人間の本能なのだ〟ととらえてみることも大切です。

とはいえ、ひとまず目の前の不安な感情を手放したい場合は、「不安を紙に書き出してみる」「日記感覚で2週間ほど不安な気持ちを書いてみる」を実践してみてください。

続けて後編を読む

「コミュ力の低さ」がコンプレックス…【大学教授が教える】ママ友付き合いですべきたった2つのこと
そんな女性たちの声を受けて、明治大学教授の堀田秀吾氏が科学的な裏付けを持つネガティブ感情を手放す方法を前半・後半の2回にわたりお伝えします。...

文/青山のりこ、生活編集室

堀田秀吾小学館1210円
「自分ばっかり損してる」とモヤモヤ。「言いすぎちゃったかな?」とウジウジ。
「なんでわかってくれないの?」とイライラ。「わけもなく不安でたまらない」とクヨクヨ……。
40歳を過ぎたころから、若いときとは種類の違う感情ストレスに振り回されていませんか?
しかもコロナ禍でこれまでの“当たり前”がそうでなくなり、何が正解なのか迷う毎日。
ついつい「もう無理・・・・」が口癖になっていませんか。
そこでかんたんな行動でモヤモヤやクヨクヨを手放す方法を、脳言語学専門の明治大学教授にネホリハホリ聞いてみました。

記事監修

堀田秀吾(明治大学教授)

1968年、熊本県生まれ。シカゴ大学言語学部博士課程修了。ヨーク大学オズグッドホール・ロースクール修士課程修了、同博士課程単位取得退学。専門は社会言語学、理論言語学、心理言語学、法言語学、コミュニケーション論。言葉とコミュニケーションをテーマに、言語学から脳科学まで、さまざまな分野を融合した研究を展開。熱血指導と画期的な授業スタイルが支持され、「明治一受けたい授業」にも選出される。テレビ番組『ワイド!スクランブル』(テレビ朝日系)の元レギュラーコメンテーター、『世界一受けたい授業』(日本テレビ系)などにも出演。著書に『図解ストレス解消大全』(SBクリエイティブ)、『科学的に元気になる方法集めました』(文響社)、『最先端研究で導きだされた「考えすぎない」人の考え方』(サンクチュアリ出版)、『科学的に自分を思い通りに動かすセルフコントロール大全』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、共著に『特定の人としかうまく付き合えないのは、結局、あなたの心が冷めているからだ』(クロスメディア・パブリッシング)など多数。

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