日本酒の保存は常温? 冷蔵? お酒の変質や味の劣化を防ぐポイントは…

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楽しみにとっておいた日本酒を、久しぶりに飲んでみたら味が変わっていた、なんてことはないでしょうか。日本酒は、保存の方法を間違えると変質しやすい繊細なお酒です。だからといって、家庭での保存が難しいわけではなく、いくつかのポイントを押さえれば、おいしく保存ができます。

日本酒の保存について

酒屋に行くと、ショーケースで冷蔵されてお酒が売られています。温度によって味が損なわれてしまうのを防ぐためですが、一方には常温のままで陳列されているお酒もあります。これには、理由があるんです。

日本酒の特徴

日本酒には作る工程がいくつかあり、それによって保存方法が分かれます。まずは簡単に、酒種を確認します。

吟醸酒

米、米麹、水、醸造アルコールが原料です。米の表層部を60%以下まで削ることで雑味を減らし、かつ低温でゆっくり時間をかけながら発酵させて作るお酒です。華やかな香り、淡麗でスッキリとした上品な味わいです。

吟味した材料を使い、丁寧な醸造で作られるので「吟醸酒」と呼ばれます。繊細な味を生かし、冷酒や「ぬる燗」で飲むのがおすすめです。

純米酒

米、米麹、水だけで作ったお酒で、醸造アルコールを加えていません。旨味とコク、ふくよかさなどの特徴をもち、比較的濃厚な味です。

本醸造酒

原料は吟醸酒と同じで米、米麹、水、醸造アルコールですが、精米が70%以下です。純米酒に似た風味ですが、より淡麗でまろやかな特徴をもちます。醸造アルコールは、味のバランスを整えるために用いられますが、10%未満と少ない量です。

冷蔵が必要なのは吟醸酒、生酒

製造途中に「火入れ」といって加熱処理を行っているお酒は、冷蔵の必要はなく、冷暗所であれば保存ができます。酵母菌が死滅しているため発酵が止まっており、一定の味を保つことができます。保存場所の理想は、年間を通して大きな温度変化のない場所です。

これとは違い、低温で長期間発酵させて作る吟醸酒、また、一度も「火入れ」を行わない生酒ならば、冷蔵保存する必要があります。特に生酒は搾りたてのまま瓶詰めされ、変質するスピードが早いため、できるだけ早く飲むことが求められます。温度はマイナス5℃〜5℃が目安です。

紫外線と空気に注意

日光や蛍光灯など、紫外線を含む光は酒の成分を変化させ「日光臭」と呼ばれる独特の匂いを発生する場合があります。酒屋の照明は紫外線を出さないものが使われ、一升瓶の色が茶色や緑色なのも、紫外線を遮るためです。

ご家庭では、箱に入れるか、新聞紙などで包むことによって光を当てない工夫をしてください。

また、開封後に空気に触れることでも酸化が進みます。栓を開けたらできるだけ早く飲み切ることが大切です。また、瓶の横置きは、お酒が空気と触れる面積を増やしてしまうので、おすすめできません。ワインのコルクとは違い、酒が栓に触れることも、劣化の原因になります。

暗く、ヒンヤリとしている、昔ながらの造り酒屋は、保存方法のお手本です。

未開封なら賞味期限はない

基本的には、未開封の日本酒には賞味期限がありません。アルコールの殺菌作用によって腐食が進みにくいことから、長期間の保存が可能です。

銘柄によっては、こだわりの味を楽しめる期間を定めている商品もありますが、日本酒には賞味期限の表示義務がなく、代わりに必ず記載されるのは製造年月です。

日本酒の常温保存

一般的なお酒の保存は、常温保存で問題ありません。シンクの下などで保存ができるので、大きな一升瓶で買っても心配ありません。

手順

【1】お酒の瓶を、箱に入れるか新聞紙で包み、光から守ります。
【2】年間を通して光が当たらず、温度変化が少ない冷暗所に置いて保存します。

光に当てないよう、注意。購入時に紙に包まれている場合は、そのまま使用するのがおすすめです。

開封後の保存期限

開封前なら、おいしく飲める期間とされるのは製造年月から1年程度です。開封後は、できるだけ早く飲むのが基本で、目安は半年〜1年です。

夏場に注意

常温保存といっても、25℃を超える温度は、変色や臭いを変化させてしまします。「老香(ひねか)」と呼ばれるのがそれで、せっかくの繊細な味を損ねます。真夏には常時クーラーが効いている部屋や、一定の温度を保てる冷蔵庫に入れるようにしてください。

日本酒の冷蔵保存

冷蔵保存のネックは、なんといっても瓶の大きさです。小さい瓶なら扱いが楽になりますが割高なので、一升瓶から4合瓶に移し替える方法があります。

手順

【1】冷蔵庫で縦置きができる大きさの瓶に、移し替えます。720ml(4合)の瓶がおすすめです。

液体と空気が触れる面積を少なくするために、上まで注ぎます。

 

【2】瓶を箱に入れるか、または新聞紙で包んで、光から守ります。
【3】冷蔵庫へ、縦置きにして保存します。

開封後の保存期限

開封すると、味がどんどん変化しますから、半年をめどに飲み切るようにしてください。中には味が深まるお酒もあるので、期間内に味わって確かめてみてください。

開封前なら、9か月間が飲み頃です。

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保存時に使えるグッズ

日本酒の保存には、必ず必要な道具などがありませんが、あったら嬉しい使えるグッズをご紹介します。お酒の席で、話が盛り上がるかもしれません。

酒瓶 ふた付 12本入 ロング S720 ダークスモーク色

4合とは720mlですが、少人数でも飲み切りやすく、冷蔵庫にも納めやすい大きさです。詰め替えには、空いた瓶を使ってももちろん良いですが、揃えて購入することもできます。統一感を出せるので、おしゃれにまとまります。

デンソー 酒セーバー

お値段が張りますが、瓶の中を真空にするための器具があります。フレッシュさをキープし、本来の味わいを損なわずに保存ができます。日本酒好きな方へのプレゼントにもおすすめです。

毎晩の晩酌も、適切な保存から

毎晩の晩酌で、日々のストレスが心地よい疲れに変わり、安心して眠れる方も多いのではないでしょうか。適度なお酒は、心を健康に保つものです。また、日本の風土で培われた酵母から作られる日本酒は、奥深い味と香りで私達を楽しませてくれます。保存方法を間違えて、本来のおいしさを味わえなかった、なんてことにならないよう、適切に保存して楽しんでくださいね。

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構成・文・写真(一部を除く)/もぱ(京都メディアライン)

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