「月食」とは? 次はいつ? 仕組みや種類、日食との違いを小学生にもわかりやすく説明

月食とは、太陽、地球、月が一直線上に並び、月の一部が欠けて見える現象のこと。月食にはどんな種類があり、いつ起こるのでしょうか。小学生キッズに説明するために、わかりやすく解説。さらに日食との違いについてもご紹介します。

月食とは

月は地球のまわりを回っています。そして月が、地球と太陽の間を通って、地球と太陽と月が一直線上に並ぶときに起こるのが、月食です。

月食の仕組み

そもそも普段私たちが夜空を見上げたときに月が輝いて見えるのは、月自身が光を放っているわけではなく、太陽の光を反射しているから。

そして、地球に太陽の光があたったとき、太陽の光があたらない裏側には地球の影ができます。その地球の影の中を月が通過すると、地球の影によって月の一部が暗くなり欠けて見えるようになるのです。

さらに、地球と太陽と月がきれいに一直線上に並んだときは、月が完全に地球の影に隠れることになります。また月食が起こるのは、地球と太陽と月が一直線上並ぶ時期になるので、満月のときになります。

神秘的に見える月食

月食と月蝕、違いはある?

月食と同じように「げっしょく」と読む言葉に、「月蝕」があります。この2つの意味することは、同じ。国語辞典などにも、「月食」と「月蝕」は併記されているケースが多いです。

月食を小学生キッズに説明するには?

月食は、子どもが宇宙や理科に興味を持ついいきっかけになるもの。そんな月食を小学生の子どもに説明するとき、どんな風に言えばわかりやすいでしょうか?

まず、月は太陽のまわりを回っていることを説明しましょう。そして地球と太陽と月の位置によって、月の形が変わり、満月や三日月になっていくことを説明できるといいでしょう。
月が、地球と太陽の間にあるときは「新月」となり、逆に月が太陽と地球より離れた反対側にあるときに「満月」となります。
さらに、地球と太陽と月が一直線上に並んだときが、月食。地球と太陽、月のモデルを使いながら、説明していくとわかりやすくなるはずです。

月食のときの地球・月・太陽の位置関係

月食と日食の違い

月食と似たような現象に「日食」があります。月食と日食は、いったい何が違うのでしょうか?

日食とは

地球から太陽を見るとき、太陽は明るく丸く輝いて見えます。でも月が太陽の前を横切ると、月によって太陽が隠されてしまいます。この現象を「日食」と言います。太陽が隠れる部分によって、日食は次の3つに分類されます。

・部分食(部分日食) 太陽の一部分だけが月によって隠される現象

・皆既食(皆既日食) 太陽のすべてが月によって隠される現象

・金環食(金環日食) 月が太陽を隠しきれず、月より太陽が大きく見えるため、月のまわりから太陽の光が輪のように見える現象

金環日食

月食との違い

月食と日食はよく似た現象ですが、違うのは地球と太陽と月の位置。月食は「太陽-地球-月」の順に、3つが一直線になったときに起るのに対して、日食は「地球-月-太陽」の順に一直線になったときに起こります。

また、月食は「太陽の光によってできた地球の影」によって月が暗くなりますが、日食は「月自身が太陽を隠す」点でも違います。

月食・日食のときの地球と月と太陽の位置関係

月食の種類

太陽の光を浴びてできる地球の影は、太陽の光が遮られた濃い影と、それよりも薄い影の2つがあります。濃い影を「本影(ほんえい)」、薄い影を「半影(はんえい)」と呼びます。そして、月がこの影のどこを通るかによって、月食の種類が分けられるのです。

半影食(半影月食)

月が半影部分だけを通過する月食を「半影食(はんえいしょく)」や「半影月食(はんえいげっしょく)」と呼びます。薄い影を通過するだけなので、目で見ても月が欠けて月食が起きているかわかりにくい状態となります。

反映月食の見え方の例

本影食(本影月食)

月の一部または全部が本影を通過する月食のこと。半影月食とは異なり、月がはっきりと欠けて見えます。

部分月食

本影食のうち、月の一部が本影を通過する月食を「部分月食」といいます。

部分月食の見え方の一例

皆既月食

本影食のうち、月の全部が本影を通過する月食を「皆既月食(かいきげっしょく)」または「皆既食(かいきしょく)」と呼びます。皆既月食が起きるときは、半影食から始まり、やがて部分月食となり、次に皆既月食となります。また皆既月食が起きた後は、部分月食、半影月食の順に進んでいくこととなります。

皆既月食の見え方の一例

 

皆既月食の間、月は地球の影に完全に隠れるため、月の姿は見えなくなると思われがちです。しかし実際には、皆既月食中の月は真っ暗になるのではなく、赤黒い色に見えます。

太陽の光のうち、波長の短い青い光は大気中を通過するうちに散乱してしまいます。しかし波長の長い赤い光は大気で散乱されにくく、大気を通過できます。この原理によって、赤い光だけがわずかに通過して皆既月食中の月を照らすのです。皆既月食の月が赤っぽく見えるのは、こんな理由があるのです。

いつ起こる?

月食は、太陽、地球、月が一直線上に並ぶとき、つまり満月の頃だけに起きる現象とお伝えしています。しかし太陽、地球、月が一直線上に並ぶたびに、いつも月食が起きるわけではありません。

それは、地球が自分自身で1日に1回転する「公転」の軸と、月が約1か月をかけて地球のまわりを公転するときの軸の傾きが違うから。そのため、満月のたびに月食が必ず起きるわけではないのです。

太陽をめぐる地球の公転軌道に対し、地球をめぐる月の公転軌道が傾いているため、太陽と月と地球が一直線に並ぶのは特別なときだけ。上の図では真ん中のイラストの状態のときだけ日食・月食がおこる。

では、月食はいつ起きるのでしょうか?  近い将来に起きる日時をご紹介しましょう。

2023年10月29日(部分月食)

2023年10月29日の部分月食は、部分食の始まりから終わりまでを、日本のほとんどの地域で見ることができます。小笠原諸島などでは、月が欠けたまま沈む「月入帯食(げつにゅうたいしょく)」となります。

部分食が始まる(月が欠け始める)のは4時34分ごろです。その後、月は徐々に地球の影に入り込み、5時14分ごろに月が最も欠けます(食の最大)。

それから月は徐々に地球の影から抜け出し、5時53分ごろに部分食が終わります。多くの地域で、部分食が終わって間もなく月の入りとなります。部分食の終わりごろには月の高度が低くなりますので、西の空が開けた場所で観察するのがおすすめです。

2024年09月18日(部分月食)

2024年09月18日に部分月食がありますが、残念ながら日本で見ることはできません。

2025年03月14日(皆既月食)

2025年03月14日に起こる皆既月食は、日本の北部で見ることができます。北関東から東北地方より右側の地域なら、夕方に月が昇ったころ、部分月食の最後を見ることができそうです。

2025年09月08日(皆既月食)

2025年09月08日の皆既月食は、日本各地で見ることができます。全国的に見られるのは、2022年11月8日以来3年ぶりです。北海道東端より右側のエリアでは月が欠けたまま沈み、月入帯食となります。日本のほとんどの地域では、皆既月食を最初から最後まで見られるでしょう。

東京を例にとると、9月8日の1時27分に月の左側から欠け始めます。2時30分に皆既月食が始まり、1時間23分ほど続くでしょう。そこから月の復帰が始まり、4時57分に月食が終了します。

肉眼で月食を楽しめる天体イベント

月食を見るには、望遠鏡のような特別なアイテムは必要ありません。肉眼でも十分に楽しめる天文イベントです。月が少しずつ欠け始め、やがて赤黒い色に変わっていく様子は神秘的。地球や宇宙という大きな存在に思いをはせたり、理科や科学に興味を持ったりするいい機会になるかもしれません。

月食とはどんな現象か学びながら、ぜひ親子で月を眺めてみてはいかがでしょうか。

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文・構成/HugKum編集部

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