搾乳した母乳の保存方法は?|ストックするタイミングと衛生面の管理

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母乳の搾乳はお母さんの体を守るため、また赤ちゃんにとっては、最適の栄養源である母乳を確実に飲ませてあげるための手段です。授乳をすればするほど、母乳の出はスムーズになりますが、これは搾乳でも同様の効果があります。衛生に注意し、安心して飲ませてあげられる保存方法を確認してください。

搾乳の基本

「搾乳(さくにゅう)」とは、どんな場面で必要なのでしょうか。さらに、積極的に活用できる場面を確認します。

どうして搾乳が必要なの?

授乳後に母乳が残っていると、乳腺炎の原因になる他、次の母乳が作られにくくなることに繋がります。そんなトラブルを防ぐために、乳房に残った母乳を絞っておくのは大切なケアです。

また、赤ちゃんが上手に飲めない初期の頃や、様々な事情から直接母乳を与えられない場合でも、搾乳して衛生的に保存すれば十分な量を確保することができます。

搾乳しておけば、お父さんでも母乳を飲ませてあげることができます。

搾乳する量

授乳後の搾乳なら、量に関わらず乳房の張りがなくなれば止めます。また、搾乳が目的なら、10分~15分かけて絞れる量を目指してください。

母乳の分泌は、毎日同じではありません。体調や寒暖でも量は大きく変化するものです。量をノルマにすると負担になってしまうので、無理は禁物です。

タイミングを計りながらストックする

搾乳した母乳を冷蔵で保管すれば、24時間以内なら赤ちゃんに飲ませてあげることができます。

また、お母さんが仕事復帰をして昼間は直接授乳ができない場面なら、搾乳した母乳を冷凍保存しておき、授乳用として赤ちゃんと共に保育者に預けることができます。

このように、必要な時間から遡ったタイミングで搾乳し、飲んでも安全なリミットを決めて、冷蔵や冷凍の保存方法をとります。

Q.搾乳した母乳を保存したことはありますか?

Q.搾乳した母乳を保存したことはありますか?

搾乳した母乳を保存して飲ませたことはあるか、0~2歳のお子さんがいるママやパパにアンケート調査してみました。

今回のアンケートでは、やや少なめの41%の方が「ある」と回答。実際に、どのような場面で搾乳した母乳の保存が必要だったのでしょうか。また、「ない」と回答の方にも母乳を保存して飲ませなかった理由を教えていただきました。

「ある」の理由

「母乳が溜まって胸が痛くなったため。 搾乳しておいたら自分以外の家族が赤ちゃんに授乳できるため」(20代・愛知県・子ども1人)
「自分自身が入院した為、病院で搾乳して病院の冷蔵庫で保存し、家族に取りに来てもらった」(30代・愛知県・子ども1人)
「おっぱい拒否したが、搾乳したものを哺乳瓶からは飲んだので保存していた」(30代・愛知県・子ども1人)

「ない」の理由

「子どもたちを預ける場面もなく、搾乳して保存を必要とする機会もなかったので」 (30代・北海道・子ども4人)
「母乳の出がそんなに良くなく、母乳とミルクの混合だったので保存する必要がなかった」(30代・埼玉県・子ども2人)
「保存できることを知らなかった」(30代・沖縄県・子ども1人)

危険のない保存方法を

搾乳直後の新鮮な母乳なら、細菌を寄せ付けない物質を含んでいるため安全ですが、保存した後でも赤ちゃんに安心して飲ませてあげるためには、衛生面での管理が非常に重要です。保存時の注意点を確認します。

保存容器は清潔に

哺乳瓶や密閉できる蓋付きのコップなど、使う容器は消毒さえしておけば何でも代用できます。移し替えて保存する、専用の母乳パックも市販されているので活用してください。

また、母乳を保存する冷蔵・冷凍庫には母乳専用のコーナーを設け、清潔を保ちます。

母乳パックは、清潔な保存容器にまとめて保管します。

保存パックの代用はNG

搾乳用のパックを、ジップロックなどで代用できないか、とのお声を耳にすることがありますが、授乳用保存パックは滅菌処理がされ、衛生面の管理が行き届いたものです。ジップロックの場合は、中を手で触るだけで雑菌が増えるきっかけにもなりますから、専用の保存パックを使用することをおすすめします。

脂肪分の分離

時間が経つと、搾乳は脂肪層が分離しますが、栄養成分に影響ありません。ただし、勢いよくかき混ぜたり、強く振ったりすると、栄養成分が損なわれる可能性があります。優しく振って混ぜ合わせてください。

破棄する場合も

一度解凍した母乳は、再冷凍してはいけません。運搬するときは、クーラーバックに保冷剤を詰めて、溶けないように持ち運びます。

また、保存期限を過ぎたものや、飲み残しは破棄します。赤ちゃんが母乳を飲むときに、口から自然に細菌が混入して繁殖するので、飲み始めてから1~2時間以上たったものの残りは破棄しましょう。

常温保存

それでは、具体的に保存する方法を確認します。

常温:16℃~25℃

母乳に含まれる抗酸化成分は、常温で保存しても劣化しない効果を持ちます。ただし、清潔な容器で保存してください。

常温での安全な保存期間

最大4時間が目安です。

冷蔵保存

搾乳から4時間以上保存したい場合は、冷蔵庫へ保存します。家庭用の冷蔵庫で保存する方法を確認します。

冷蔵:4℃以下

冷蔵庫のドアポケットは温度変化が激しい場所ですから、温度が安定している奥側に保管してください。また、自動霜取り機能のある冷蔵庫の場合は、庫内の壁から離して置いてください。

冷蔵での安全な保存期間

最大3日間が目安です。

冷蔵保存後の温め方

【1】母乳の入った容器を、ぬるま湯が入ったボウルなどに数分入れます。体温(37℃前後)まで温度を上げてください。
【2】外側についた水滴を清潔なガーゼなどで拭き取ります。
【3】母乳パックを使っている場合は、哺乳瓶に移し替えてください。哺乳瓶を優しく振って、分離した脂肪分を混ぜ合わせます。

冷凍保存

搾乳後の母乳を、冷凍・解凍して温めるまでの手順を確認します。

冷凍:⁻18℃以下

【1】搾乳した直後の母乳を、こぼさないように冷凍パックの中へゆっくりと注ぎます。その際に、お椀や口の広い容器を受け皿として使うと、安定します。
冷凍すると母乳は膨張するため、パックの3/4以上は入れてはいけません。
【2】パックの空気を抜き、しっかりと封をします。
【3】外側についた水滴を拭き取って、日時を記入したラベルを貼ります。速やかに冷凍庫へ入れてください。

冷凍時の安全な保存期間

家庭用の冷凍庫の場合は1か月以内が目安です。−18℃の環境であれば3か月までが推奨、最大6か月まで保存可能です。

なお、解凍後の母乳は、常温で最長2時間、冷蔵庫で最長24時間は保存できます。

さらに日付が違う冷凍母乳は混ぜて飲ませることもできます。

解凍方法

母乳の免疫体や成分が壊れないように、熱湯や電子レンジでの解凍は控えます。ゆっくり解凍するので、あらかじめ時間がかかることを念頭に用意します。次のいずれかの方法で解凍してください。

・自然解凍

冷凍した母乳を冷凍庫から取り出し、冷蔵庫に移して12時間前後で解凍できます。

・流水解凍

ボウルに水道から少量の水流を流し、母乳の入った容器を浸けておきます。

冷凍後の温め方

【1】母乳パックの外側についた水滴が哺乳瓶に入らないよう、清潔なガーゼなどで拭き取り、中身を哺乳瓶に移し替えます。
【2】ぬるま湯で湯煎して、体温(37℃前後)まで温めてください。
【3】哺乳瓶を優しく振って、分離した脂肪分を混ぜ合わせます。

搾乳と保存に便利なグッズ

搾乳する際に必要は搾乳器や、母乳の保存専用に販売されている母乳パックをご紹介します。

搾乳器

母乳の搾乳には、手絞りと搾乳器を使う方法があります。頻繁な搾乳が必要な場合は、手絞りで腱鞘炎になる心配があるため、搾乳器の使用をおすすめします。手動タイプ、電動タイプがあり、形も様々なので、ライフスタイルに合わせてじっくり選んでください。

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ピジョン  母乳保存用 哺乳びんキャップ

母乳を哺乳瓶に搾乳して、冷蔵庫に保存する際、密閉できるキャップを使用すると便利です。移し替えが不要になり、一本の哺乳瓶で授乳まで使用できます。

Pigeon(ピジョン) 母乳フリーザーパック 80ml 50枚

冷凍保存専用の母乳パックです。40ml、80ml、160mlと容量が選べ、枚数も20枚入りと50枚入りがあるので、赤ちゃんの成長に合わせて選べます。

冷凍の場合は、少量のほうが解凍しやすく、無駄も出ません。解凍した母乳は足し合わせることもできますので参考にしてください。

ママ以外の育児参加にも

赤ちゃんのお世話でお父さんにできないことは、母乳の直接授乳だけだった、とSNSで発信した方が話題になりました。衛生的な保存方法を確認して配慮すれば、周囲の方がお手伝いできることが増えます。赤ちゃんを預ける相手とも相談しながら、安心して飲ませてあげられる母乳の保存の参考にしてください。

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構成・文・写真(一部を除く)/もぱ(京都メディアライン)

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