「あて」は古くから使われている関西の方言
「つまみ」は漢字で「摘まみ」とも書くように、手でつまんで食べられるような簡単な食べ物のことをいいます。ほとんど説明のいらない、そのまんまの語なんです。
「あて」はもう少し複雑です。もし国語辞典がお手近にあったら、引いていただきたいのですが、辞典によっては意味が載っていないものもあると思います。なぜなんでしょう。
実は「あて」は、関西方言だったのです。方言ですから、意味を載せていない辞典もあるというわけです
でも最近は、「あて」と言う人は増えていますよね。千葉県出身の私はほとんど使いませんが、私の周りでも関西出身ではないのに、「あて」と言う人がけっこういます。そのようなこともあって、辞典によってはこの意味を載せるものが出てきました。
関西方面では「あて」はけっこう古くから使われていたようで、『大坂繁花風土記(おおさかはんかふどき)』(1814年)という本には「酒の肴を、あて」と書かれています。この本は大阪の風俗、習慣、行事、ことばなどについて書かれたものです。
ただ、関西方面でなぜ「あて」と言うのか、この本にも書かれていないし、実はよくわかりません。やはり江戸時代に、芝居関係者が、食事のおかずを「あて」と言っていたという記録が残っていますので、ひょっとすると、それと関係があるのかもしれません。