「つまみ」と「あて」の違いって何?【知って得する日本語ウンチク塾】

「あて」は古くから使われている関西の方言

「つまみ」は漢字で「摘まみ」とも書くように、手でつまんで食べられるような簡単な食べ物のことをいいます。ほとんど説明のいらない、そのまんまの語なんです。

「あて」はもう少し複雑です。もし国語辞典がお手近にあったら、引いていただきたいのですが、辞典によっては意味が載っていないものもあると思います。なぜなんでしょう。

実は「あて」は、関西方言だったのです。方言ですから、意味を載せていない辞典もあるというわけです

でも最近は、「あて」と言う人は増えていますよね。千葉県出身の私はほとんど使いませんが、私の周りでも関西出身ではないのに、「あて」と言う人がけっこういます。そのようなこともあって、辞典によってはこの意味を載せるものが出てきました。

関西方面では「あて」はけっこう古くから使われていたようで、『大坂繁花風土記(おおさかはんかふどき)』(1814年)という本には「酒の肴を、あて」と書かれています。この本は大阪の風俗、習慣、行事、ことばなどについて書かれたものです。

ただ、関西方面でなぜ「あて」と言うのか、この本にも書かれていないし、実はよくわかりません。やはり江戸時代に、芝居関係者が、食事のおかずを「あて」と言っていたという記録が残っていますので、ひょっとすると、それと関係があるのかもしれません。

 

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神永(かみなが・さとる)
辞書編集者、エッセイスト。元小学館辞書編集部編集長。長年、辞典編集に携わり、辞書に関する著作、「日本語」「言葉の使い方」などの講演も多い。著書『悩ましい国語辞典』(時事通信社/角川ソフィア文庫)『さらに悩ましい国語辞典』(時事通信社)、『微妙におかしな日本語』『辞書編集、三十七年』(いずれも草思社)、『一生ものの語彙力』(ナツメ社)。監修に『こどもたちと楽しむ 知れば知るほどお相撲ことば』(ベースボール・マガジン社)。NHKの人気番組『チコちゃんに叱られる』にも、日本語のエキスパートとして登場。新刊の『辞典編集者が選ぶ 美しい日本語101』(時事通信社)が好評発売中。

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