国宝「犬山城」の歴史と見どころ、城下町まで詳しく解説

犬山城は、国宝に指定された天守と古い城下町の風景が魅力の人気観光スポットです。有名な戦国武将ともかかわりが深く、天守に登れば築城当時の雰囲気を存分に体感できます。犬山城の歴史や見どころを、城下町の観光情報と合わせて解説します。

犬山城とは?

「犬山城(いぬやまじょう)」は、戦国時代に建てられた、貴重な歴史的建造物です。建てた人物や場所、現在までの歴史を見ていきましょう。

愛知県に位置する国宝の城

犬山城は、愛知県の北部に位置する犬山市にあります。JRや名鉄の名古屋駅から最寄りの犬山駅まで、30~40分で到着します。木曽川(きそがわ)沿いの小高い丘の上に立っており、天守からの素晴らしい眺望が人気です。

また、犬山城は日本に五つある、国宝に指定された城の一つとしても知られています。多くの城が戦乱で焼失したり、取り壊されたりするなか、天守が築城当時の姿で残っている貴重な史跡なのです。

江戸時代に城主を務めた「成瀬家(なるせけ)」が、2004(平成16)年まで個人で所有していたことでも注目されています。

犬山城の歴史

犬山城は1537(天文6)年に、織田信長の叔父にあたる織田信康(のぶやす)が築いた城です。このときは、現在の天守の2階部分までが建造されました。

犬山は、重要な街道に近く、木曽川を使った交易が盛んな場所でした。正面に川が流れ、背後が崖になっている犬山城は、敵の攻撃を受けにくいことから、交易や政治の拠点として重宝されます。

築城から10年後、信康は信長の父・信秀(のぶひで)が起こした美濃(みの、現在の岐阜県)攻略戦に出陣して、亡くなってしまいます。息子の信清(のぶきよ)が跡を継ぎますが、間もなく信長に倒され、信長の家臣だった池田恒興(いけだつねおき)が新たな城主となりました。

その後は、信長の次男・信雄(のぶかつ)の家臣が城主となり、織田家が滅んだ後は、豊臣秀吉や徳川家康が家臣を送り込んでいます。

江戸時代に入ると、尾張徳川家の重臣・成瀬正成(まさなり)が城を拝領し、以後は成瀬家が代々の城主を務めます。現在の天守の形は、1617(元和3)年、正成が入城した際に改良を加えたものです。

夕焼けの「犬山城」(愛知県犬山市)。尾張国と美濃国の境に位置し、右手の木曽川沿いの高さ88mの丘の上に造られた平山城。別称「白帝城(はくていじょう)」は、そのたたずまいから、李白(りはく)の詩にちなんで、江戸中期の儒学者・荻生徂徠(おぎゅうそらい)が命名したという。

犬山城の特徴や見どころ

犬山城には、国宝の天守を含め、見どころがたくさんあります。ポイントを押さえて、効率よく見学しましょう。

日本最古の木造天守

犬山城の天守は、現存する天守の中でも最も古いといわれています。1537年に建てられて以来、数度の改良を重ねながら、江戸時代初期に現在の姿になったそうです。

使われている木材の多くは築城当時のもので、床のすき間や、歩くときの軋(きし)みに、歴史の長さを感じます。1階では中央部分の四つの部屋と、部屋を取り囲む「武者走り(むしゃばしり)」と呼ばれる通路を見学できます。

それぞれの部屋が、どのように使われていたのか想像したり、武士の気持ちになって通路を歩いたりすると、より臨場感を楽しめるでしょう。

しめ縄で祀られた神木「大杉様」

天守の東側には、「大杉様」と呼ばれる神木があります。もともとは天守よりも背が高い大きな木で、1959(昭和34)年の伊勢湾台風では、強風や落雷から天守を守ってくれました。

数年後に枯れてしまった後も、城の守り神として感謝の気持ちを込め、しめ縄を施し、神木として保存されています。太い幹とたくさんの枝の跡がたくましく、枯れ木とは思えないほどです。

木の隣には石垣が迫っており、すぐ近くで見学できます。天守見学の帰りに、立ち寄ってお参りするとよいでしょう。

春には桜が満開に

犬山城は、お花見スポットとしても有名です。城内はもちろん、木曽川河畔の遊歩道にも桜並木があり、のんびりと散策を楽しめます。

城内の桜の一部は、1960年代に東京にあった成瀬家の自宅から分け木したものです。数十年経った現在、桜は見事に成長し、犬山城に欠かせない存在となりました。

また、4月の第1土曜日と日曜日には「犬山祭(いぬやままつり)」が開催されます。江戸時代から続く伝統行事で、夜には、たくさんの提灯(ちょうちん)をつけた車山(やま)が連なり、桜並木を練り歩きます。スケジュールが合えば、花見と祭見物を兼ねて訪れるのもおすすめです。

犬山祭。1635(寛永12)年に始まる針綱(はりつな)神社の祭礼。国の重要無形民俗文化財に指定されている。三層の車山13輌が繰り出し、笛や太鼓に合わせて、江戸時代から伝わる「からくり人形」を披露している。夜には、各車山に365個の提灯がともされ、その様は、まるで錦絵を見るがごとく。

観光するなら、犬山城下町もおすすめ

天守を見学した後は、城下にも立ち寄ってみましょう。国宝の茶室がある庭園や、おしゃれなカフェなど、見ごたえ十分です。犬山城下の楽しみ方を簡単に解説します。

歴史を感じる街並み

天守の南側にある犬山城の城下町は、築城と同時に整備されました。天守とともに、戦火を逃れ、現在も当時と変わらない町割り(町の区画)が残っています。

通りには、古い屋敷や町屋(まちや)が並び、レトロな雰囲気を醸し出しています。建物を見ながら歩くだけでも、観光気分を満喫できるでしょう。

城下の東側にある庭園「有楽苑(うらくえん)」では、織田信長の弟・有楽斎(うらくさい)が建てた茶室「如庵(じょあん)」を見学できます。茶道の歴史を伝える重要な文化財として、国宝に指定されています。

食べ歩きが楽しめる

城下町には、伝統工芸品やお土産品を買ったり、食べ歩きを楽しんだりできるお店がたくさんあります。

特に飲食店が充実しており、散策のお供にぴったりな串団子や餅(もち)、写真映えするパフェなどのスイーツが人気です。

ジューシーなソーセージをつまめる地ビール店や、牛肉が入ったタコ焼き、犬山名物の田楽(でんがく)を出す店もあり、お腹が空いた子どもも辛党のパパママも安心です。

目の前にそびえる国宝を眺めながら、ここでしか味わえないグルメを満喫しましょう。

犬山城下町。犬山城から南に延びる城下町で、総構えと呼ばれる城郭の町割りが400年以上も続いている、まさに歴史そのもの。「尾張の小京都」と称されるレトロな街並みは、女子旅や親子旅に人気のスポットがたくさんあり、フォトジェニックなグルメやカフェを満喫できる。

犬山城で歴史の息吹を感じよう

犬山城は天守から町割りまで、数百年も前の状態で残っている、日本でも珍しい場所です。地理的に重要な場所だったこともあり、戦国の世が終わっても長く大切に受け継がれてきました。

また、犬山市周辺は織田信長ゆかりの地でもあります。天守から目を凝らすと、信長が天下統一へと踏み出した岐阜城(ぎふじょう)も見えます。多くの武将の運命を見守ってきた犬山城で、歴史の息吹を実感しましょう。

参考:国宝犬山城

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構成・文/HugKum編集部

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