「フルぼっこ」とは関係なし。「日なたぼこ」「日なたぼっこう」から変化した語が「日なたぼっこ」
結論を先に言いますと、実はよくわからない謎のことばなのです。
「ぼっこぼこにする」「フルぼっこにする」などと言うときの「ぼっこ」と同じですが、何の関係もありません。こちらの「ぼっこ」は、何回も殴ったりけったりするさまを言う俗語です。
もともとは別の言い方があった
話が少しややこしくなりそうですが、「日なたぼっこ」はもともと別の言い方がありました。
何かというと「日なたぼこ」「日なたぼっこう」で、「日なたぼっこ」はその変化した語だと考えられています。
「日なたぼっこう」の方は、「ぼっこう」は「北行」の意味だという説があります。確かに、日なたでお日さまの光を背に浴びると、体は北向きになります。でもそういうことなのかどうかはわかりません。さらに「日なたぼっこう」が変化して「日なたぼこう」という語も生まれました。
しかも、「日なたぼこ」にはさらにもとの語があり、「日なたぼこり」だとされています。文献例を見る限りでは、「日なたぼこり」が一番古い形のようです。平安後期の説話集『今昔物語集』でも使われています。「ぼこり」ですが「ほこり(埃)」とは何の関係もありません。いかにも暖かそうなさまという意味で使われる「ほっこり」にも似ていますが、これとも関係はなさそうです。
ただ、「ほっこり」に似ているせいか、「日なたぼっこ」は、ことばそのものが、何となく暖かさを感じさせるような気がしませんか。同じように日光を浴びることをいう「日光浴」よりも、ずっとのどかな感じがします。