【元教員が伝授】コロナ禍3年…小学校でできなかった「体験学習」を夏休みに取り戻す方法

この3年間、幼稚園・保育園や学校では、コロナ禍でできなかったことがたくさんあるのをご存知ですか。楽器の演奏、社会科見学、調理実習などの体験活動です。毎年実施していたのに、感染対策のために制限され実施できないまま過ぎてしまったものもあります。

今回は、元小学校教員が3年間でできなかったことと、家庭でフォローする方法をご紹介します。

コロナ禍生活3年目、学校で体験できなかったこと

感染対策をしながらの生活も、もう3年目となりました。子どもたちは、マスクでの日常生活、しゃべらずに前を向いての給食にもすっかり順応しています。

 実はこの3年間、感染対策のため、実施できなかったことがたくさんあるのです。
その多くが、小学生の学習には必須と言える体験活動です。体験をしながら身をもって学ぶことで、教科書の学習だけでは気づかなかったことに気づいたり、より強い印象をもって記憶に残ったりします。

「できなかったことは、コロナが落ち着いてからやればいいじゃないか」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。水泳や楽器の演奏なら、次の学年でカバーしながら技能を高めていくことができるかもしれません。しかし、理科や社会、生活科は、次の学年に上がるとまた次の分野の学習にレベルアップしますので、なかなかそうはいかないのです。

特に対策をしなければ、その学年の子どもだけが体験せずに大人になってしまうこともあるかもしれません。
そこで、この3年間でできなかったことと、家庭でフォローする方法を元小学校教員がご紹介します。まだまだ感染対策が必要な毎日ですが、家庭で意識的に取り組んでみましょう。

やれなかったことを、そのままにしたくない!夏休みだからできる「体験活動」取り戻し作戦とは?

【全学年】音楽:鍵盤ハーモニカやリコーダーの演奏、歌うこと

小学校では、一年生から鍵盤ハーモニカ、さらに三年生からはリコーダーを使うのが一般的です。
しかしこの3年間は、吹いて音を出す楽器・みんなで歌うことは飛沫感染のリスクがあるとされ、演奏自体が禁止されたり、子ども同士の間隔をかなり開けたりしての実施でした。現在も自治体によって、それなりの制限があります。

 鍵盤ハーモニカやリコーダーを家に持ち帰っている夏休みには、ぜひ自由に演奏できる環境を作ってあげましょう。朝や夜は、楽器の音が近所に迷惑にならないか気になる方もいるかと思います。
夏休みなら日中でもエアコンをつけていて、窓を閉めていることが多いですから、音も近所に聞こえにくいですよ。

楽器の演奏は、音感や楽譜読みだけでなく、指先の器用さにも通ずる活動です。低学年のうちにたくさんやっておきましょう。 

【2~4年生】生活科:町たんけん

2年生の生活科では、自分たちの学区域内の商店街やお店、駅、名所、公園などについての学習があります。
実際に町に出かけて施設について調べたり、お店の方にインタビューしたりする活動です。しかし、現2~4年生は、この活動ができていないかもしれません。お店や施設側が、子どもの見学を受け入れられないことが多かったのです。

家の近所とはいえ、なかなか行かない場所、親も知らない道などもありますよね。
夏休み中は、親子で外出する際にちょっと工夫をしてみましょう。例えば、普段通らない道をあえて通ったり、目的地までの道を子どもに任せたりします。
自分たちの住んでいる町について、新しい発見があるかもしれません。また、いつもなら車や自転車で素通りする道も、歩いてみると「こんなのがあったんだ!」と気づくことがあります。

新しいものを見つけるだけでなく、近所の危険な場所を把握しておくことにもつながります。地震のときに崩れそうなブロック塀、夜は真っ暗になる道など、親子で知っておけると安全対策になります。

【3~5年生】社会:社会科見学

年生の社会では、「公共施設」「スーパーマーケット」「住んでいる市区町村めぐり」などの社会科見学を実施するのが一般的です。
しかし、現3~5年生は、見学に行くことができず、教科書や動画のみでの学習となっていることが多いです。

普段のお買い物のとき、お子さんと一緒にスーパーマーケットに行ってみましょう。3年生では、「身近なものの流通」「お店の人の工夫」などを学んでいます。「この野菜どこから来たんだろうね」「なんで野菜はスーパーマーケットの入り口にあるのかな」など、話題にしながら買い物をしていくと、学習を思い出せるでしょう。

 【小5年~中2】家庭科:調理実習

家庭科は、小学5年生から始まる教科です。料理・裁縫・洗濯・掃除・消費者教育など「衣食住」に関することを学びます。その中でも制限があったのが、調理実習です。調理実習はグループで行うので、他の人が切ったり炒めたりしたものを食べることになります。

感染対策として、自分たちで調理したものを食べる活動はすべてNGだったため、現小5年~中2年生はほとんど調理実習ができていません
宿題で調理をしてくるように指示された学校もあるようです。

大学生になると一人暮らしをする子も出てくるかもしれませんので、それまでに一通りの家事ができるようにさせたいですよね。中学校以降になると部活などの予定も増えてくるので、小学生の夏休みは料理に慣れるチャンスかもしれません。

 小学校の調理実習でメジャーなのは、ゆで卵・ジャガイモ料理・ごはん・味噌汁・野菜炒め・サンドイッチです。包丁やコンロの使い方、火の通りにくいものから炒めるなど、基本的な調理技能を重視しています。
朝ごはんのおにぎり、お弁当の卵焼き、夕飯のカレーなど、簡単なものから作れるようにさせていきたいですね。

 他にも、こんな活動が制限されていた…

小学校の学習で、制限の多かった活動は他にもたくさんあります。
水泳指導、跳び箱やマット(消毒が難しい用具を使った運動)、電車やバスを使っての校外学習、異学年交流、宿泊学習などが挙げられます。現在、そして今後も感染状況に応じて、感染対策は続く見込みです。

 やれなかったことを親が知っていると、意識的に家庭でフォローできます。デジタルに慣れている子どもたちですが、実際に見て・聞いて・触って体験したことは、大きな学びになります。一緒に買い物に行ったときに一言声をかけてみる、たまには公園ではなく近所を散歩してみるなど、無理なくできることから始めてみましょう。

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文・構成/yurinako

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