「 朝起きられない…」原因は子どもの自律神経の乱れ?睡眠ファースト育児が解決のカギ

朝が苦手、集中力がない、グズグズすることが増えたなど、子どもに対して「体調不良ではないけど、なんとなく不調」とを感じることはありませんか? もしかしたらそれは、自律神経が乱れているかも⁉  専門家の話を参考にしながら、子どもの自律神経について考えていきましょう。

子どもの朝の寝起きがよくないことで、ママやパパが必要以上にイライラしたり、準備に時間がかかったりすることがありますよね。どうすれば、朝すっきり起きることができるのでしょうか?

大ヒット中の書籍「子どもにいいこと大全」(主婦の友社)から抜粋して紹介します。

発達脳科学者・成田奈緒子先生に聞く、睡眠ファースト育児

この本の監修を担当した小児科医・発達脳科学者の成田奈緒子先生は、本の中で「子どもの睡眠の大切さ」を伝えています。

「日本に暮らす子ども達は世界的に見ても睡眠時間が短く、寝不足ぎみであると報告されています。日本全国の小学生の平均睡眠時間は8時間15分(※1)ですが、理想はおおよそ10時間なので、おおよそ2時間足りないことになります。

大人のノンレム睡眠とレム睡眠は90分周期に定まっていますが、子どもはそのリズムが整っていません。効率よくノンレム睡眠、レム睡眠を交互にくり返せないため、大人よりも長めの睡眠が必要なのです。

さらに、睡眠には論理的思考力や感情の安定に欠かせないセロトニン神経を育てる働きもあります。年齢に合った正しい睡眠がとれていないために、“キレやすい”“ちょっとのことで心が折れてしまう”といったもろさ抱えてしまう子もいます」

※1「幼児健康度に関する継続的比較研究」日本小児保険協会 2011」

成田先生の育児も「とにかく睡眠第一!」

「私も共働きで、娘を1人育てました。ですから、夜8時に子どもを寝かせるのがいかに大変か、痛いほどにわかります。すべてをちゃんとしようと思うと、パンクしてしまいますよね。ですから、『勉強なんかしなくていい、8時には寝なさい』というのが私の育児のモットー。宿題が終わっていなくても、見たいテレビがあっても、とにかく8時に寝るのは、成田家のオキテでした。

帰宅後に手の込んだ夕食を作るなんてとても無理。夕食は、いつも朝ごはんの残りや野菜スープなど、質素なものでした。そのかわり朝は4時ごろに起きてアクティブに動き回ります。朝から揚げ物、お肉どっさりのメニューもよく登場していましたね。夕食の分まで多めに作っておくと、帰宅してからもパパッと準備ができてラクでした」

実際にどのような行動をとることが、子どもの良質な睡眠や寝起きをよさにつながるのか、成田先生も実践したおすすめの方法をご紹介します。

早起きが苦手な子には「朝ミッション」を

生活リズムの改善は、“寝かせる”よりも“起こす”ことから始めるのが成功のポイント。どんなに寝るのが遅かったとしても、朝6時になったらカーテンを開けて部屋を明るくしましょう。

どうしても朝が苦手な子には、“朝ミッション”が有効です。例えば「外に出て天気を見てくる」「お母さんと犬の散歩に行く」「新聞をとってくる」。年齢に応じて、その子が無理なくできるミッションを設定してあげましょう。『〇〇のおかげで助かるよ』『いっしょに散歩に散歩に行ってくれると、お母さんもうれしい』。お母さんやお父さんから頼りにされる誇らしさが早起きのモチベーションになります

4歳以降は昼寝はさせず夜の睡眠を大事に

1才のころは午前と午後に1回ずつ、1時間程度の昼寝をすることが一般的。2才ごろには午後に1回、1時間半程度の昼寝で十分になり、3~4才には昼寝の必要はなくなります。4才ごろになると、「朝になったら活動し、夜になったら眠る」という体内リズムが完成し、夜に連続して深い睡眠をとれるようになるためです。4才になっても昼寝をしたがる場合は、夜の睡眠が十分にとれていない可能性があります。4才児の睡眠時間の目安は約11時間です。十分な睡眠時間を確保できているか、見直してみましょう。

時間のない夜はシャワーにして睡眠時間を優先させて

シャワーだけでは疲れがとれない、毎日湯船につかることが大切、と思い込んでいる人が多いようです。リラックスできるイメージのお風呂ですが、実は、入浴中、体は決してリラックス状態ではありません。体があたたまると心臓の拍動が早くなり、交感神経が優位に。寝つきをよくするためにも、消化のためにも、夜の入浴は夕食前がベストです。夜はシャワーだけでサッとすませ、湯船につかるのは朝にするのもよいでしょう。交感神経が優位になる朝風呂は、一日のスタートに最適です。

夜ふかし厳禁!睡眠が大事なワケを子どもに教える

頭ごなしに「寝なきゃダメ!」「朝やりなさい!」としかっても、子どもは素直に受け入れられません。睡眠がなぜ大事なのか、その理由をきちんと伝えていくことも必要です。「サッカー選手になるには、体を強くしなきゃいけないよね。寝ている間に成長ホルモンが出て、背を伸ばしたり、体を強くしてくれるんだよ」。こんなふうに子どもの夢や目標にからめて睡眠の重要性を教えていきましょう。

子どもの成長にとって睡眠はとても重要なこと

成田先生が育児の中で実践していたことや、本で紹介していることからもわかるよう、子どもの成長にとって、睡眠は必要不可欠なこと。学校や習い事で夕方バタバタすると、つい寝るのが遅くなることもありますよね。しかし、子どもの“なんとなく不調”を解決するためにも、睡眠ファーストの育児を心がけてみてはいかがでしょうか?

本では、睡眠以外にも子どもの自律神経をととのえるための習慣がたくさん紹介されています。

 

子どもにいいこと大全 自律神経をととのえる62の習慣

1,430円 主婦の友社

小児科医、発達脳科学者の成田奈緒子先生と、内科医、イシハラクリニック副院長の石原新菜先生が監修。普段の生活に取り入れやすい子どもの自律神経をととのえるための習慣を紹介しています。

 

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