子どもの発達障害やストレスにも有効なアロマセラピー。現役ママ医師がすすめる取り入れ方

育児中にアロマテラピーをうまく生活に取り入れれば、悩みが緩和されるケースも多いと現役医師の桐田泰江さんは話します。今回は小学生以上のお子さんが学校生活をおくるうえで役立つアロマセラピーをご紹介します。

小学生からのアロマセラピーの取り入れ方

6歳頃、小学生になると芳香浴のみならず、マッサージや、一緒にバスソルトを作ったりアロマクラフトなどを楽しめるようにもなり、アロマセラピーの応用の幅も広がります。ご家庭でアロマセラピーを楽しむために高価な芳香器具を購入する必要はありません。ティッシュに精油を2−3滴垂らすだけで簡単に芳香浴も施行可能です。

子どもの学習効果や集中力を高める精油があります

子どもたちも大人と同じように社会生活でストレスを抱えています。小学生になると、宿題や小テスト等、何かとお子さんにプレッシャーのかかってくる環境変化があることと思います。

テストで良い結果だったら褒めるのはもちろんのことなのですが、たとえ思っていたような結果が出なくてもその子の頑張りを認め、前向きな気持ちになれるよう、親としてもサポートしたいですよね。

最近では、子どもの勉強の効果や集中力を上げるようなアロマセラピーの効果が研究でわかってきています。

2017年にイギリスのNorthumbria大学の研究者の報告によると、11歳の学童に対してローズマリーの芳香浴行うと学習効果が向上し、芳香浴非施行群と比較し、試験の成績が5−7%良かった¹⁾という結果が示されました。この研究発表の直後、ローズマリー精油を買い求める教育関係者や保護者が急増し一時的に精油が品薄になるなど、社会反響が大きかったようです。

日本での研究結果もありますのでご紹介しましょう。

オレンジスイートとペパーミントの精油の芳香浴で小学校6年生の計算ミスの減少がアロマセラピー実施群において非実施群より優位に認められました²⁾。また、これらの精油により頭がスッキリする、など子どもの気分に好影響が与えられることもアンケートより分かっています。

リラックス、安眠のためのアロマセラピー

ある研究者の統計によれば、日本の子供たちの睡眠時間は世界でも短い傾向にあることが知られています³⁾。免疫を始めとした健康のためにも、また学習に欠かせない記憶の定着のためにも、良質な睡眠が重要と考えられています。

現代の子供たちは小学生からスマートフォンを所持したり、タブレット学習をするなど、スクリーンタイムが確実に長くなってきていると考えられています。リラックスをして安眠をするためにアロマセラピーを応用するのは効果的と言えるでしょう。眠る前にスマホ等の使用を制限する(例:親がスマホを預かる、ナイトモードに設定する)のはもちろんのことでですが、軽く運動したり呼吸法を試されるのも良いでしょう。そういった際にアロマの芳香浴やマッサージを試してみて下さい。以下にご紹介する精油をお子さんの好みや体調に合わせて試してみて下さい。

ラベンダーやゼラニウムなどのフローラル系の精油

副腎や視床下部に働きかけ、自律神経のバランスを調整する効果があり、心身の不調に効果的です。

カモミール

酢酸リナリルという鎮静作用の優れた成分が多く含まれる精油です。神経が過敏になっていたり、夜泣きや不安に特におススメしています。

オレンジスイートやベルガモットなど、柑橘系の精油

不安や落ち込み、イライラなど、緊張とストレスを緩和し、明るい気分にさせてくれます。

 

ラベンダーはストレス、不安症状を軽減効果が

うつや不安などの気分障害に対して補完療法としてアロマセラピーを併用することがよくあります⁴⁾。新型コロナウィルスの感染拡大の影響により、休校や登校自粛などで学校生活のペースを乱されてしまったケースも少なくないでしょう。たびたび欠席を繰り返し、そのまま不登校になってしまった場合は、一日の規則正しいリズムをキープするのは非常に困難です。

そんな場合は、まず前述の方法で睡眠障害への介入をします。

ラベンダー精油でストレスが軽減され、うつや不安の症状が軽減されることも分かっています。パニック発作が原因で不登校になってしまった児にオレンジスイートの芳香浴を施し、自律訓練効果、復学に効果がみられたという報告もあります⁵⁾。睡眠リズムが改善されても、うつや不安の気分障害が継続する場合は、一度、心理相談室や心療内科などで専門家への相談をお勧めいたします。

 

発達障害の子のストレスの軽減に有効な、アロママッサージやアロマ浴

2010年代後半に入ってから放課後デイサービスでアロマが導入されるようになり、ADHDや自閉症など、いわゆる発達障害児へのアロマセラピーのケアも最近注目をされ始めています⁶⁾⁷⁾。

香りが大脳辺縁系にダイレクトに入り、作用することで効果が期待できます。特に入眠にお困りの方は前述のラベンダーやオレンジスイートの芳香浴をお試しください。ペパーミントとユーカリの精油は作業効率が向上するので、集中力に問題がある方にお勧めします。

マッサージや手浴、足浴も

また、マッサージをすることで緊張をほぐし、親子の情緒的な関係を深めることに役立ちます。ハンドマッサージは脱衣の必要なく、簡単に施行できます。手の甲を優しくなでたり、母指の付け根に軽く圧迫を加えるなどします。子どもが痛がったり嫌がる場合は無理をせず、まずは短時間からゆっくり優しく触れることから始めます。また、バケツや洗面器に40℃くらいのお湯をはり、精油を0.1ml落とし、10分間程度の手浴、足浴などもリラックス効果がありお勧めです7)。発達障害とひと言で申し上げましても、皆様のお悩みはそれぞれあることと思います。療育アロマをされているクリニックやサロンも近年では増えていますので一度ご相談ください。

tobiraco サイトより
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ニキビの予防・改善にも、アロマは効果的

 

青春の象徴とも言われるニキビですが、思春期には悩まれる方も多いことでしょう。ニキビは皮脂の分泌が過剰になることで起こります。また毛穴にはアクネ菌と呼ばれる細菌が棲んでおり、溜まった皮脂を分解します。分解された皮脂は分厚くなって毛穴に溜まり、塊となって毛穴を塞ぎます。そこに炎症が起きると赤くなります。

ニキビの予防、改善に役立つ殺菌作用や皮脂分泌調整作用のある精油を紹介します⁸⁾。

①皮膚の代謝を高めるゲラニオールという成分を含むレモングラス精油がお勧めです。詰まった皮脂や老廃物の排出を促進します。

②赤みのあるニキビには殺菌作用のあるティートリー、ラベンダーがお勧めです。

 

以上の精油を単独、またはブレンドして、肌のタイプに合わせてキャリアオイルや市販の無香料のローション、精製水(+無水エタノール ※)などで希釈し、患部に1日数回塗ります。

※精製水を材料とする場合のローション50ml分の材料は、精製水45ml +無水エタノール5ml です。

 

アロマの知識が育児ライフを豊かにしてくれます

 

アロマセラピーはあくまでも補助療法であり、必ず全員に効果が認められるとは限りません。しかし、パパ、ママがアロマの知識を知って、ご自身やお子さんをセルフケアすることで、健康維持や日頃の不安の解消、家族関係の改善に役立ちます。

私も子育て真っ最中のママとして、医師として、そしてアロマセラピストとして、皆様の健康とご多幸を陰ながら応援しています。

 

参考文献

1)https://www.news24.com/you/Archive/students-should-smell-rosemary-for-exams-success-20170728

2)小学生の計算力と気分に与える精油の影響、熊谷千津、永山香織. アロマセラピー学雑誌、Vol.16,No.1, 7-14,2015

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4)アロマセラピー標準テキスト 臨床編 日本アロマセラピー学会 編(丸善)

5)臨床で使うメディカルアロマセラピー 川端 一永 ほか 著 (メディカ出版)

6)Laconic, Emily J.. (2014). Health Professionals’ Use of Aromatherapy with Children and Adolescents with Mental Illness. Retrieved from Sophia, the St. Catherine University repository website: https://sophia.stkate.edu/msw_papers/3

7)日本アロマセラピー学会誌 第20回学術総会号(2017年)

8)医師が薦める「アロマセラピー」決定版 川端 一永 ほか 著(マキノ出版)

記事を執筆したのは

桐田泰江|麻酔医
神戸海星病院麻酔科医長。浜松医科大学医学部を経てを経てシドニー大学医学部で、Pain Management修士号修得。自身が痛みに苦しんだ経験から麻酔科を志す。麻酔科医として勤務の傍ら、アメリカ、カナダなど海外では普及している「子どもの痛みのケア」を日本でも定着させるべく活動中。『イタイのイタイの飛んでけー 子どもの痛みに寄り添う』の翻訳を手がける。2児の母。日本アロマセラピー学会所属。麻酔科標榜医・日本麻酔科学会認定医。日本アロマセラピー学会認定医、IFAアロマセラピスト。日本医師会認定産業医。
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